フォルクスワーゲン(VW)、三菱・・・なぜ排ガスや燃費の不正は起きたのか?(前編) | カーライフマガジン

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近年世間を騒がせている自動車メーカーの不正問題。

2015年にはフォルクスワーゲン社(以下VW社と記載)の排ガス不正、2016年4月には三菱自動車の燃費不正が発覚しました。

現代において、環境性能の高さはマイカー選びの基準となる重要なポイント。

その環境性能に関する不正を行っていたのですから、2社が犯した罪は大きいと言わざるを得ません。

しかしなぜ、VW社と三菱自動車はこれほど重大な問題を起こしてしまったのでしょうか。

両社ともに世界的な自動車メーカーであり、製品の開発技術もトップクラスのはずです。

はたして、自動車業界全体の信頼を失墜させかねないほどの事件の背景にあるものとは?

今回は、VW社と三菱自動車の不正問題について、前後編にわけて詳しく迫ります。

■世界トップクラスの企業が起こした不正問題

世界的な自動車メーカーが起こした不正問題を理解するために、記事前編では問題のあらましをおさらいしましょう。

事件全体の流れを確認したうえで、後編で事件の原因を追求します。

最初におさらいするのは、世界トップクラスのシェア率を誇るVW社の排ガス不正問題です。

VW社が排ガス不正を認めたのは、2015年9月18日のこと。

当初発覚したのは、アメリカ向けに開発したディーゼル車の排気ガステストに関する不正でした。

アメリカの厳しい排気ガス規制をクリアするために、VW社はテストを受ける車両に“ある細工”を行っていたのです。

その細工とは、違法ソフトウェアの搭載。

VW社はテスト車両のエンジンコントロールユニットに違法ソフトを組み込み、排気ガステストを受ける間のみ排ガスがクリーンになるように仕組んでいたのです。

●不正が行われた車両は1千万台以上

前述の仕掛けにより、2014年?2015年に製造された「ゴルフ」「ジェッタ」「ビートル」「パサート」の米国向けディーゼルモデルが排気ガス規制をクリアしています。

さらに傘下ブランドのアウディが2009年?2015年に生産した「A3」のディーゼルモデルについても、同様の偽装が施されていたと発表されました。

上記のアメリカ向けモデルの出荷台数は、合計約48万2千台に上ります。

かなりの台数ですね。

しかしVW社が行っていた不正は、これだけではありませんでした。

なんと世界に販売された約1100万台ものVW車に、同様の排ガス不正が行われていたことが判明したのです。

排ガスの偽装は、地球環境にまで影響を及ぼしかねない大問題。

こうした事実の発覚により、VW社はその信頼を大きく失うこととなったのでした。

■90年代から続いていた三菱の燃費不正

前述のとおり、VW社の行った排ガス不正は重大な問題です。

しかし日本の車ファンにとっては、三菱自動車の燃費不正のほうがショッキングな事件かもしれませんね。

三菱の不正が発覚したのは、2016年の4月20日。

三菱自動車は日産にOEM供給している2車種を含む計4車種について、燃費試験の際に不正操作を行っていたことを発表しました。

燃費不正の対象となった車種は「eKワゴン」「eKスペース」と、この2車種の日産版である「デイズ」「デイズルークス」です。

以上のモデルは、どれも三菱の軽自動車としては主力製品といえます。

その主力製品の燃費性能を実際よりも高く見せかけるために、三菱自動車は燃費性能試験において不正なデータ操作を行っていました。

●改ざんされた抵抗値

三菱の行ったデータ操作を理解するには、シャシーダイナモについて知っておく必要があります。

シャシーダイナモとは、車の動力性能や燃費の測定に使われる装置です。

シャシーダイナモの上で車の駆動輪が回ると、駆動輪に接しているローラーが回転します。

この仕組みにより路上を走っている時と同じ状態を作り、動力性能などを細かくチェックできるというわけです。

ただし、シャシーダイナモで正確な車の性能を測定するには、「慣性抵抗」や「走行抵抗」といったデータをコンピューターに入力しなければなりません。

これらの数値を入力してローラーの負荷を調整することで、はじめて実際の走行時に近い動力性能や燃費を計測できるのです。

ところが三菱自動車自動車は、上記のデータを操作して実際より低い抵抗値でeKワゴンなどの燃費の計測を行いました。

その結果、燃費データは5%から10%も向上。

上記4車種のカタログには、偽りの燃費性能が記載されることとなったのでした。

この偽装だけでもユーザーの信頼を裏切る行為ですが、三菱自動車の行っていた燃費偽装はこれにとどまりません。

2016年5月には過去の燃費不正が発覚。

なんと1991年以降に発売したほとんどの車種で、違法な燃費の計測を行っていたことが判明したのです。

これにより、三菱自動車の信頼性は完全に地に落ちてしまいました。

■前編のまとめ

ここまでに見てきたとおり、VW社と三菱自動車がおこなった不正はユーザーを裏切る行為にほかなりません。

VW社のファンの中には、環境性能に着目して同社のディーゼル車を選んだ人が多いはずです。

また、他社に負けじと燃費の向上に励む三菱自動車を応援していたファンも多いはず。

にもかかわらず、なぜ今回のような不正がおこってしまったのでしょうか。

後編では、いよいよ不正問題の原因を徹底追求します。

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