エンジンオイルのメンテナンスに目覚めると、できる限りエンジンの中を清浄な状態に保ちたいという感情に駆られるようになってきます。
毎週のようにオイル交換をして、廃油の色は程良いアメ色のまま。
ここまでくるとほぼ病気です。
さて、エンジン内部の掃除というとフラッシングというキーワードが耳に入ってくると思います。
粒子の荒い洗浄作用の高いフラッシングオイルを使い、強制的にオイルラインのスラッジやカーボンを洗い流す作業です。
これは本当に必要なことなのでしょうか?
結果を先にいってしまえば【不要】です。
わざわざフラッシングをする必要は全くありません。
その理由について、元プロメカニックがお伝え致しましょう。
1.なぜフラッシングは不要なのか
あなたがもし、普段の自動車のメンテナンスをガソリンスタンドなどでしているという場合、フラッシングが不要とはいいません。
しかし、自動車ディーラーや個人の自動車整備工場にてメンテナンスを頼んでいるのでしたら、フラッシングはあまり意味をなさない行為となります。
大きな理由として使用オイルの質の差というものがあります。
いま日本中で最も高品質で安定したケミカル用品はワコーズの商品になります。
大きな声ではいえませんが、ガソリンスタンドのように独自ブランド商品の販売を促される形態ですと、独自ブランド最上ランクのオイルであってもワコーズの最下ランクのオイルよりも若干低品質となってしまいます。
交換をする一般オイルはさらに数段階下のものとなりますので、そんなエンジンオイルを長期間使用し続けていれば、スラッジやカーボンが溜まってしまうのは必然です。
自動車ディーラーで使用している通常のエンジンオイルも、ここまでではありませんが決して高品質ではありません。
ただし、高単価な化学合成オイルなどはしっかりとしたものを使っているため、その限りではありません。
さて、なぜエンジンオイルの質の差でフラッシングの必要性が変わるのでしょうか。
それは、エンジンオイルの持つ洗浄作用の違いに起因します。
エンジンオイルは、配合される添加剤によって特性が変わってきますが、高性能なものほどその洗浄作用は確実に強くなっていきます。
さらに、添加剤の粒子も細かくなっていくため、スラッジやカーボンの付着自体を抑制してくれます。
つまり、フラッシングする必要はないということになります。
2.フラッシングがもたらす弊害
フラッシングをするということは、エンジン内部を強制的に洗浄するということになります。
強固な汚れも根こそぎ洗い流すということですので、汚れの付着が少ない部分も同じレベルで洗浄するという意味をご理解いただけるでしょうか。
例えば、クリスタルグラスを金だわしで擦ってみたらどうなるでしょうか。 キズだらけになってしまいますよね。
オイルラインの中で同じことが起きるのがフラッシングなのです。