自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
自動車に乗っている皆様なら、当然のことながら愛車の日常メンテナンスは欠かせないものとなってくると思います。 また、新車購入時でなければ受けられないサービスの必要性や中古車購入時に気をつけたいこともあります。
そんな日常的なことでも自動車査定時にポイントとなってくることや、普段から気にしておきたいポイントを、元自動車査定士があなたにこっそりお伝えします。
1.新車購入時のコーティングの必要性
新車購入時にのみ上掛けできるボディコーティングですが、購入した自動車ディーラー以外での自動車査定をする際には全くもってこれは査定基準の中に入りません。 ボディコーティングの有効期間は各社それほど差がなく3年前後でその効果が薄れます。ちょうど初回車検時に再度塗り直しをするかを選べますが、今後の洗車を定期的にする気があって、自動車ディーラー以外での自動車査定をするおつもりでしたら、正直なところ必要ありません。
元自動車査定士としてアドバイスをするならば、このコーティングに初回5〜8万円のコーティング費用を掛けるぐらいでしたら、初回車検のためにでもとっておいてください。
2.中古車購入時のチェックポイント
中古車の取り引きは特に気をつけておかないと痛い目を見ます。 皆様、自動車購入時にどこを気にして店頭を見て歩くでしょうか。 ボディの状態、塗装の状態、タイヤの残り溝、内装の状態、そんなところでしょうか。 正直、見て当たり前な部分です。表立って良く見える部分ですので、誰にだって見られます。
元自動車査定士としては、次の2ポイントをしっかりと見てから購入に至って欲しいと思います。
・ホイールハウスから見えるゴム部品 これは絶対に見て下さい。これから手に入れようとしている自動車のゴム部品が劣化していたとすると、確実に数カ月後には不具合を生じます。 このゴム関係は実査定する場合にも自動車査定士は確認しています。 ゴム部品を使用している部分は、グリースやオイルに直結する部分になるので実は意外と大きなダメージを喰らいます。
自動車査定士はこれを見極めながら、後の販売までの手間を計算に入れて査定額を算出しています。
・記録簿は確実に確認しよう 記録簿(メンテナンスノート)がない自動車は前歴が全く分からないので、できれば余程気に入ったというものでない限り手を出さないで欲しいと願うのが正直な気持ちです。 自動車査定をする際に前歴などは全く関係ありません。現状に対してシビアに見ていくだけの話なので、記録簿がない場合は自動車査定に通常よりも時間を掛けます。 これも、後の販売までの手間の問題です。
手間がかかる自動車という認識を持った対象には高価格の査定額なんて提示できませんので注意しておきましょう。
3.洗車時の注意
通常の自動車ユーザーであれば外装を水洗いして拭き上げ、少し気を遣うユーザーであればピラーなどに溜まる水滴にまで気が向いて拭きあげたり、カーシャンプーを使ってみたりするでしょう。 しかし、自動車査定士として気をつけて頂きたい洗車ポイントはウィンドウのウォータースポットです。 簡単に言えば水滴跡です。 これがない自動車にはかなりの好印象を覚えます。 ボディの方は基本的に経年劣化によって擦り傷などが出来て当然と割り切っていますが、ガラス関係にはこの常識が通用しません。 内外に汚れがない状態を保てている自動車は、ただそれだけで個人的に上乗せポイントとして判断できる査定ポイントになります。
ウォータースポット、気にしてみて下さい。
4.日常見落としがちなチェックポイント
パッと見綺麗な自動車でも中を開けてみればボロボロなものなんていくらでもあります。 それは、外見にしか目が行っていない証拠です。 自動車の主となる要素は中身になります。 そのシグナルとして自動車が発してくるのは【音 臭い 振動】になります。 音が教えてくれるのはエンジン関係です。 その最たるものは吸気音で、エアーフィルターの詰まりによって失火を伝えてきます。 臭いは冷却系、ブレーキ系です。 LLCの焼ける臭いはラジエターキャップの劣化を教えてくれますし、焦げ臭さはブレーキのフェードとベーパーロックを予兆しています。
振動が出たら基本的に多くの部分に欠陥が生じているので、出来れば全体の劣化状況を調べてもらったほうが良いでしょう。
5.元自動車査定士として、自動車を高く買い取ってもらうためにしておきたいこと
誰もが知っての通り、自動車は機械であって物なわけです。 この物の発するシグナルをどれだけ早く察知して、しっかりとメンテナンスしていけるかが高額買い取りの肝となります。 車検ごとに交換油脂だけをメンテナンスしているだけでは高額査定なんて出せません。 3ヶ月程度でのオイル交換や、ブレーキダストの掃除、ラジエター周りの清掃などで自動車はいくらでも新車の頃を維持していくことが出来るものです。 どれだけ愛情を持って自動車に接してきたかというところは、自動車査定士は読み取ることが出来ます。
高額買取を望むのであれば、まず自動車との付き合い方を丁寧にしていきましょう。
クルマに関する豆知識や旬な情報をお伝えする「クルマの基礎知識」