自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
自動車に少し興味を持って触れるようになると、電装関係に興味を持つユーザーの方が多く見受けられます。
しかし、電装パーツの効果は余りにも不確かで分かりづらいものばかりです。
スピーカーの交換1つですら、実際にどれだけ性能がアップしているのかという指標がつかめないのが電装パーツのチューニングになります。
そんな電装パーツチューニングの基本となるのがバッテリーチューニングです。
今回は、誰もが半信半疑で自己満足としか考えていないバッテリーチューニングについて、メカニック視点だけではなく、自動車チューナーとしての見解も踏まえてあなたにご説明していきたいと思います。
■バッテリーチューニングとは何ぞや?
バッテリーチューニングとは、起電力の貯蔵庫であるバッテリーに対し、外的要因による機能向上を目的としたサポート的チューニングのことを指します。
また、一時的な効果を狙ったものではなく、チューニングアイテムを設置している期間であれば継続的な効果を見込むことができるチューニングであり、オイル添加剤と同様にケミカル的な背景を持っています。
■1.夏だからこそバッテリーチューニング
バッテリーチューニングが最も威力を発揮するのは夏と冬の寒暖の最高潮時です。
そして、バッテリー液の弱りやすい夏こそがバッテリーチューニングを一番効率よく体感することができる季節なのです。
では、バッテリーチューニングとは実際どのようなものが存在するのでしょう。
とても有名になったのがアーシングチューニングです。
同時にコンデンサーチューニングも様々な種類の商品が販売されています。
そして、忘れてはならないのがバッテリーそのもののチューニングです。
今回はこの3ポイントにフォーカスを合わせてみたいと思います。
■2.プラシーボ効果? アーシングの効果
少し自動車の知識やドレスアップに興味が出てくると、エンジンルームの中に手を入れたくなるものです。
しかし、いきなり大掛かりなパーツ交換やエンジン内部に手を入れるような、思い切った行動に出られるものではありません。
そこで、誰にでも手軽に手を出せるアーシングチューニングが人気を得ることになりました。
ケーブルの被覆の色にドレスアップ効果を求め、ケーブルの素材と太さにチューニング効果を期待した商品です。
しかし、実際にアーシングチューニングを施工してみても、体感を得られずにこのチューニング自体を無意味なものとユーザーたちは認識するようになってしまいました。
本当に無意味なものなのでしょうか?
自動車チューナーとして断言致します。
【アーシングチューニングはしっかりと効果をもたらします。】
多くの場合、アーシングキットとして販売されているケーブルのほとんどが銅線や鉄線で作られています。 価格帯が一気に上がりますが、24金メッキのケーブルのものも存在します。
これらの一般販売されているアーシングケーブルは、自動車チューナーとして見た場合、抵抗値の大きな粗悪なケーブルだと言えます。
私はこれまで、伝導率の良いオーディオケーブルをチューニング用に使用してきました。
しかも、細いケーブルの撚線ではなく、1本の太い番線を使用することで抵抗値を最小限まで抑えたアーシングラインをお客様に提供させていただきました。
このアーシングチューニングで1番大切なのは、いかに効率よく電気をバッテリーに戻すかなので、抵抗値を極力なくすことが肝になります。
もしアーシングチューニングを施工する場合には、市販のケーブルキットではなくオーディオケーブルをご使用することをオススメ致します。
■3.第二のバッテリー コンデンサーチューニング
バッテリー端子に直接取り付けることで効果を発揮するとされているコンデンサーチューニングは、これまで様々な商品が展開されてきました。
しかし、大々的に説明されているのは燃費アップについての内容ばかりで、実際に何がどうなることで燃費アップにつながるのかということは、とても濃いモヤの中に隠されています。
そもそもコンデンサーチューニングというものは、高効率での充放電が可能な電気エネルギーを効率よく使用することで、自動車の電気的負荷を軽減させることが目的のアイテムです。
もっと噛み砕くと、全開に蛇口を開いたかのような予備バッテリーといえるでしょう。
なぜこのコンデンサーチューニングが燃費向上につながるのか。
それは、あらゆる電気パーツへ充分な電気供給が可能となるからです。
あなたは、自動車の電気がどこから生まれてくるかご存知ですか?
まずはバッテリーです。
そして、オルタネータージェネレーターで発電し、バッテリーの充電をしながら各パーツへの電気供給を同時に行います。
しかし、常に一定の電気使用量というわけではありません。
ヘッドライトをつければ使用量は増え、ブレーキを踏めば使用量が増えと、何かアクションを起こすごとに電気の使用量は増えるのが自動車です。
したがって、一時的に電力不足を起こしながら自動車というものは走行し続けているのです。
この電力不足を補ってくれるのが、何を隠そうこのコンデンサーチューニングなのです。 電力不足をコンピューターが感知すると、燃料を余計に送りエンジン回転数を増やし、オルタネーターの発電量を増やそうとします。
これが結果的に燃費悪化につながってしまう原因です。
ましてや、最近では車内で使用する携帯充電器やモニター等の電子アイテムが増えているので、電力不足は頻繁に起こすことなのです。
コンデンサーチューニングの最大のメリットは高効率での充放電が可能なところです。 少しの発電に対し、昇圧機能で一気に満充電状態へと維持することができます。
そして、確実な高電圧を供給することで自動車の電力不足を回避することができるのです。
コンデンサーチューニングのデメリットは充電状態の維持ができないことです。 どんなに効率の良い予備バッテリーだといっても、それだけでは自動車を動かす力がありません。
起電力を発生することができないのです。
つまり、オルタネーターで発電された電気の一時的な貯蔵庫でしかないのです。
しかし、絶対的短時間で満充電にすることができ、確実な電気供給をサポートすることができるコンデンサーチューニングは、自動車にとってかなり優れたハイパフォーマンスチューニングといえるでしょう。
■4.バッテリーサイズアップで高出力化
バッテリーが電気を発生しているのは誰もがご存知のことだと思いますが、このバッテリー自体をサイズアップするというチューニングも存在します。
乗用車のバッテリーで発生できる電圧も電流も定格なので変化するわけではありません。
このサイズアップで何が変わるのかというと、電気供給次の電圧降下の抑止です。
【3.第二のバッテリー コンデンサーチューニング】でも触れましたが、自動車は一時的に電力不足を起こしています。
しかし、電気供給のスタート地点であるバッテリー自体が大きな電気を蓄えておくことができるのであれば、使用に伴う電圧降下が少なく済むということになるのです。
たとえば、10の容量から2を使用すれば8の残量になります。 この場合、電圧降下は20%です。
これが、100の容量であれば電圧降下は2%で収まります。
この電圧降下の割合が小さいほど、バッテリーの性能を維持することができるというのが、電気の単純な説明となります。
バッテリーサイズをアップさせるためには、バッテリーの規格について理解しておく必要があります。
【55B24L】
このサイズのバッテリーの場合、それぞれの意味合いは以下の通りになります。
55=容量 B=バッテリーの幅と高さ 端子の規格 24=バッテリーの長さ
L=マイナス端子の位置
一般的にはこの中の【55=容量】の部分を変更するのがバッテリーのサイズアップの最良な方法です。
この方法であれば、ケースサイズの変更がないため加工を一切必要としません。
【B=バッテリーの幅と高さ 端子の規格】を変更希望するユーザーも存在しますが、端子の変更には手間がかかる上に設置のために必要なスペースを確保するために各パーツの設置位置を変更しなければならないという大手術が必要になります。
さらに、バッテリー自体の重量が変わってきますのでウェイトを積載してしまうことにもつながります。
バッテリーというのは、使用していな状態でも常に放電をし続けています。
これを自己放電といいますが、サイズアップしたバッテリーであれば電圧降下の割合も小さく抑えられるため、エンジン始動不可のトラブル対策にもつながるのです。
5.まとめ.目に見えない電気のチューニングで快適な自動車ライフ
電気というのは、実はプロのメカニックでさえ頭を悩まされるトラブルの宝庫だったりします。
多くの場合、バッテリーの交換サイクルを守らないことで起こるものが多いですが、バッテリーチューニングに興味を持ったユーザーは電気的トラブルに敏感に反応するようになります。
これは、致命的なトラブルとなる前に対処できるという良い傾向です。
是非あなたにも、自動車の電気的部分に触れることで今まで以上に自動車への関心を持っていただきたいと思います。 目に見えないフィーリングの世界だとしても、自動車はあなたとしっかりと対話してくれます。 ■チューンナップやメンテのことをもっと知りたい方はこちら!■
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