メーカー資本のディーラーと地場資本のディーラーの違いとは? | カーライフマガジン

同じメーカーのディーラーが立て続けにあって不思議に思ったことはありませんか?

例えば「Honda Cars〇〇」と「Honda Cars△△」(※〇〇や△△には地域名などが入ります)といった同じホンダのお店が、同じ道沿いの数百メートルほどしか離れていない距離に並んでいることもあります。

このような場合、同じホンダの看板を掲げていたとしても、それぞれのお店を違う会社が経営している可能性があります。

実は全く同じ車種やサービスを扱っているディーラーでも、違う会社によって運営されていることは珍しくありません。
同じメーカーの車を扱っていたとしても、運営する会社が違えば、少しずつ特徴に違いが出てきます。

今回はその中でも「メーカー資本」と「地場資本」の会社の違いについてご紹介したいと思います。

メーカーとディーラーの関係とは?

まずはメーカーとディーラーの関係性について解説していきます。

自動車ディーラーとは、特定の自動車メーカーと特約店契約を結んだ販売会社のことです。
特約店契約とは代理店契約と似ているようで、少し違います。

特約店契約とは、メーカーの製品を販売するために、メーカーから特別な価格で製品を仕入れることができる契約です。

一方で代理店契約は、メーカーの代理として販売活動を行いますが、あくまでメーカーと顧客の売買契約の仲介をしているだけで、製品を仕入れて販売しているわけではありません。

つまり自動車ディーラーとはメーカーの代理店ではなく、独立した販売会社ということです。
ディーラーはメーカーから製品を仕入れて、それを自社の責任で販売をしています。

ディーラーは契約を結んだメーカーの車種や製品のみ扱うことと、整備方法や販売方法にメーカーから求められる基準を満たすことを条件に、他よりも優位な価格でメーカーの製品を仕入れることができています。
メーカーの特約店としての基準を満たしていることから正規ディーラーと呼ばれることもあります。

このように、メーカーとディーラーは別会社であり、各地の販売店はメーカーが直接運営しているわけではありません

そのため、同じ地域の販売店でも違う販売会社によって運営されていることも少なくありません

メーカー資本?地場資本って?

ディーラーはメーカー資本の販売会社と、地場資本の販売会社の2つに分けられます。

メーカー資本の販売会社とは、会社を運営するための資本をメーカーから多く出資してもらっている会社です。

一方で地場資本の会社とは、地域に拠点を置く企業が運営している会社のことです。

メーカー資本のディーラー

資本の多くをメーカーによって出資してもらっているので、メーカーが直接運営しているわけでなくとも、運営方針はメーカーに沿ったものであることが多いです。
メーカーから出向している人間が社長や重役として就任していることも多いです。

資本の100%がメーカー出資である場合は、メーカーの連結子会社となるので、よりメーカーの意向が強くなります。
このようにメーカー資本のディーラーは、メーカーとの間に親会社と子会社の関係性が強くなります。

地場資本のディーラー

特約店契約をメーカーと結んでいますが、メーカーから出資を受けているわけではないので、メーカーの子会社というわけではありません。
そのため、メーカーと対等に近い取引関係であることが多いです。

経営理念も独自のものである場合が多く、メーカー資本のディーラーとは違った運営方針であることも少なくありません。

それぞれの運営方針の違いとは?実は値引きにも影響が!

資本が違うことで、同じ特約店契約を結んだディーラーでも異なる特徴を持っています。

メーカー資本のディーラーはメーカーの意向に沿った運営が行われます。
メーカーは「売上台数」を特に重視しています。

メーカーにとっての競うべき相手とは、他社のメーカーであって、一つひとつの販売会社の成績よりも、全体でどれだけ自社の製品が売れているかを意識しています。
そのためメーカー資本のディーラーは「売上台数」を意識した運営方針であることが多いです。

一方で、地場資本のディーラーは「利益」を重視する傾向にあります。
もちろん売上台数を意識していないわけではありませんが、利益を出すためにより多くの売上台数を目指しているのであって、メーカー資本が売上台数を重視する理由とは異なります。

基本的に地場資本のディーラーよりもメーカー資本のディーラーの方が資本金が多い傾向にあります。
メーカー資本のディーラーは、いわばメーカーの実績を上げるための実働部隊のようなものです。

メーカーによる充分な資本を基に、多くの在庫を確保したり、販売台数を伸ばすことに集中することができます。
値引きにおいても原資を多く抱えているので、販売台数を伸ばすために赤字ギリギリのような値引きも比較的に行いやすいです。

一方で、資本力で劣る地場資本のディーラーはまずは自社を成長させていくことに集中しなければいけません。
そのため、どうしても利益を追求しなければいけなくなってしまい、値引きに対しても消極的な傾向にあります。

本来、ディーラーはメーカーとの特約店契約を結んだ独立した会社なので、売買によるリスクは自ら背負わなければいけません。 たとえ多くの台数が売れたとしても、コストがかかりすぎてしまったり、値引きしすぎて赤字になってしまうようでは意味がないのです。

特に地場資本のディーラーは限られた資本の中で会社を大きくしていかなければいけないので、利益を重視した運営方針になりがちです。

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