自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
「冬でもキャンプがしたい!でも、テントはさすがに厳しい…」
冬のアウトドアには、寒さに負けないキャンピングカーが最適です。
年中キャンプを楽しめる上、作り上げた空間ごと移動でき、キャンプする場所にも所持品にも制限がありません。
楽しいひと時をより濃密な時間にするためにも、キャンピングカーの基礎知識を持ちましょう。
1.キャンピングカーの種類
キャンピングカーは、大きく分けて3つの種類があります。
❏キャブコン ❏バンコン
❏軽キャンパー
キャンピングカーと一口にいっても、種類によってベストなシーンが異なります。
ニーズにあったチョイスをしましょう。
2.大人数に対応できる王道のキャブコン
キャブコンは、キャンピングカーと聞いて大半の人が思い浮かべる定番のスタイルです。
カーゴトラックのように運転席部分だけを残してコンバージョンするスタイルで、キャブオーバーまでキャンピング居室を設置していきます。
キャブコンの最大の特徴は高さです。
大人が立って歩ける高さをもつキャブコンは、海外でも多くのユーザーを獲得しています。
まるで家を自動車に連結させて走っているような感覚は、キャブコンならではの持ち味です。
❏室内が一定の広さ ❏断熱性能が高い ❏広い駐車場が必要 ❏重厚な走り
❏大人数に対応
これらの特徴を持つキャブコンは、キャンパーに幅を与えます。
居室は箱型で、後部座席エリアにいっても天井を任意の高さに設定して作成しているため、オーナーの希望をそのまま反映できます。
ボディの断熱性能が高いため、冬は暖かく夏は涼しい快適な居室を保てます。
キャンピングカーだからといって、居心地を妥協しなければならないのは過去の話です。
居心地の良さも兼ね揃えているキャンピングカーが、今の世の中では当たり前になっています。
トラックベースのキャブコンは、苦労する部分も出てきます。
•立体駐車場に入れない •車幅が広く通れない道がある
•一般者用駐車スペースの利用が困難
走行性能もトラックと同じ感覚で、あまりスピードを出す自動車ではありません。
大きな居室部分が振り回されてしまうため、小回りは基本的に求められず、ゆったりとした運転が求められます。
良くいえば重厚な走りです。
タイヤを安定させるなどの技術的アプローチで乗り心地アップを徹底すると、元トラックに乗っているとは思えない感覚を居室空間で味わえます。
ゆったりとした移動時間を経ていざドアを開けたら、夢のような大自然が目の前に広がります。
なお、もっとも乗車定員の多いキャブコンはトヨタ カムロードランドスピリットです。
カムロードランドスピリットは、10人までの乗車が可能です。
大人数が乗車できるため、ちょっとしたパーティーを車内で開催する事も可能です。
キャンプに使うだけでなく、複数人で遠征に行く際にも便利です。
2.キャブコンにコンバージョンできる車種
キャンピングカーにコンバージョンする場合、安定のベース車両はトラックです。
キャブコンのように大きなキャンピングカーであれば尚更、トラックベースで制作するとトルクの太い力強さを走りに期待できます。
❏トヨタ カムロード ❏いすゞ エルフ
❏いすゞ Be-cam
2tトラックベースで制作することで、大きすぎないサイズ感のままトラックのトルクフルな特性を確保できます。
中でもカムロードは、キャブコンの定番ベース車両といわれる程、多くのキャンパーに選ばれています。
トヨタ自体が乗用車を主体とするメーカーのため、キャブの快適性が高いです。
居室の快適性を求めるのは、キャンピングカーとしては当然の追及です。
しかし、運転席の快適性はデフォルトの状態が良くなければ実現しづらい部分です。
カムロードは、ドライバーにも快適性を与えるキャンピングカーを実現させたベース車両なのです。
いすゞ エルフは、後輪がダブルタイヤになっているため安定感が高く、重量が増える仕様になった場合にも横滑りしづらい特徴が人気を集めます。
シャワーや水道を設置する場合には特に威力を発揮します。
いすゞ Be-camは、エルフをキャンピングカー専用の設計変更を施した、キャンピングカーのための1台です。
全国のいすゞサービスセンターでの修理を受けられるといった、安心のアフターフォローが付いています。
3.日常生活との両立ができるバンコン
バンコンは、ハイエースやキャラバンなどのフルサイズバンを、キャンピングカーにコンバージョンしたハイブリッドキャンピングカーになります。
通常のバンサイズでありながら車内はキャンピング仕様となり、キャブコンのデメリットをカバーしてくれるものです。
❏キャンピングカーに見えないコンパクト感 ❏街中でもスイスイ走れる ❏趣味程度の頻度が最適
❏日常と両立ができる
バンコンはキャブコンと違って、一見キャンピングカーには見えません。
大人が車内を歩き回ることはできませんが、道幅を選んだり駐車スペースを探し回ることはありません。
街をキャブコンのような大型キャンピングカーで走ることに抵抗がある場合は、周囲にも溶け込めて街乗りにも使いやすいバンコンがオススメです。
バンコンは「ガッツリキャンプがしたい!」という方よりは、週末や過ごしやすい時期だけのアウトドアを楽しみたいという人に向けられたコンバージョンモデルです。
キャブコン程の居室空間はありませんが、荷物などの収納に困るほどではありません。
普段は大人数の移動に活かせる上に、キャンプにも対応できるという2面性が、束の間の癒しを求める現代人に好評です。
日本国内でキャンピングカーを利用する多くのキャンパーが、キャブコンよりもバンコンを選ぶ現状です。
4.バンコンにコンバージョンできる車種
バンコンは大きめ箱バンが定番になっています。
❏トヨタ ハイエース ❏日産 キャラバン
❏三菱 デリカD:5
トヨタ ハイエースは、バンコンの中でも最もベース車両に選ばれている自動車です。
ボディタイプは全部で4種類あり、最も大きなスーパーロングバンワイドボディハイルーフは、全長5,230mmと文句なしの大物です。
日産 キャラバンは、エマージェンシーブレーキを搭載したモデルが出た事もあり、遠出が多くハッとする機会に遭遇しやすいキャンパーには喜ばれています。
最も大きなボディサイズを誇るモデルは、トヨタ ハイエースと同じく5,230mmを誇っています。
上記2車種とは少し特性が違う個性的なベース車両のデリカD:5は、確実な固定層を確保しつつキャンピングカー展開をしています。
全長4,695mmと、上記2車種と比べてもコンパクトであるものの、悪路での走破性の高さがキャンパーに喜ばれているポイントです。
雪道でも力強く走り抜けるその実力は、季節に左右されることなく思い切りアウトドアを楽しみたいユーザーの心強いパートナーとなってくれます。
5.小さくても楽しめる軽キャンパー
キャンピングカーに興味はあれど、大型のキャンピングカーに手を出すのはまだ勇気がいるという方に選ばれるのが軽自動車をキャンピング仕様にコンバージョンした軽キャンパーです。
❏低価格 ❏小回りの利く走り ❏停泊場所に困らない
❏気楽な一人旅に最適
軽キャンパーの最大のポイントは、制作コスト500万円台のキャブコンやバンコンに比べ低価格な予算で手に入れられるところです。
キャンピングカーに憧れてはいるものの、そこまでコストを用意できないというユーザーにも手が届くスモールキャンピングカーになっています。
相場は大体200~300万円台で、安いものであれば100万円台で手に入れる事もできます。
軽自動車の持ち前である燃費や車検・税金などのコスト面も、従来のキャンピングカーよりも低コストで抑えられるのが最大の魅力です。
「趣味でちょっと始めてみようかな?」
という軽い気持ちから手を出せるキャンピングカーは他にありません。
また、軽自動車がベースとなるため、狭い道や不慣れな道でもスイスイ運転でき、同時に駐車スペースに困るという事態もありません。
キャンピングカー初心者にとっては、気負いせず運転を楽しめる選びやすいボディサイズです。
素敵なスポットを見つけたのに、自動車がそのスポットの規格に外れてしまい停泊できないということはまずあり得ません。
ちょっと気分転換に一人旅、定年して妻と2人でのんびり旅。
ちょっとした遠出にすぐに対応できるのが、軽キャンパーの魅力です。
ペット同伴に適したモデルも用意されています。
愛犬と素敵な思い出を作りに出かけませんか?
6.軽キャンパーにコンバージョンできる車種
軽キャンパーは、軽自動車のワゴンやバン・軽トラ】がベースとなっています。
❏ホンダ アクティ ❏スズキ キャリイ
❏ダイハツ ハイゼット
ホンダ アクティは、運転席も広くドライバーのストレスを軽減できます。
ロングドライブでは、窮屈さを感じない広さがドライバーの集中力に直結してきます。
また、軽トラックと思わせない程の重厚なエンジンフィールが特徴です。
ホンダ独自のミッドシップ・リアドライブ方式が、他のFF方式の多い自動車とは違うスポーティさを与えてくれます。
スズキ キャリイは、多くのメーカーの展開している軽トラックのOEM元となっているため、他の二次メーカーモデルをコンバージョンするよりもコストを抑えられます。
荷台部分の交換が可能な所も、アフターフォローの手厚さに頭が下がります。
ダイハツ ハイゼットは、ベース車両の中でも最もデザイン的に洗練されています。
スバルがトヨタと合併したことにより、スバル サンバートラックを継承したスバル ディアストラックのOEM車両になります。
ディアストラックの特徴でもある4輪独立懸架のサスペンションシステムを唯一採用している軽トラックです。
他の軽トラックとは違う突き上げ感のない乗り心地は、ドライバーのみならず居室でくつろぐ者にも人気があります。
アウトドアだからこそ、小さくても頼もしいベース車両が注目されています。
まとめ 遊びの幅を広げるならニーズにあったキャンピングカーを!
•あなた自身が、どれくらいのスパンでキャンプに出かけるのか。 •一人旅なのか、複数名なのか。
•滞在日数は何日なのか。
あなた自身が要求する項目をしっかりと確認してから、そのニーズに合致するキャンピングカーを選びましょう。
キャンピングカーは改造車です。
構造変更の公認を受ける必要がある自動車なのです。
つまり、維持するだけで通常の乗用車よりもコストがかかるということを理解しておきましょう。
全てをまかない切れる完璧なキャンピングカーが必要なのか。
それとも、ある程度は自分の努力で乗り越えていきたいのか。
落とし所を明確にすることで、あなたに最適なキャンピングカーが自ずと見えてきます。
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