自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
環境省から施行された法規制により、大手タイヤメーカーがスパイクタイヤ製造を中止して早20年が経過しています。
その姿形を知るシニア世代はもちろん、耳慣れないユーザーにとっても、今や冬タイヤの代名詞といえばスタッドレスタイヤになっています。
昨今では、国土交通省による大雪時チェーン規制が始まり、タイヤチェーンにも新たな関心が高まっています。
ラジアルタイヤへの装着はもちろん、スタッドレスタイヤへのW装備で安全かつスムーズな雪道走行を目指してください。
ワンタッチ装着できる今どきのタイヤチェーン特選をご紹介します。
1.タイヤチェーン装着義務化スタート!
まず、知っておきたいのが「道路ネットワーク機能への影響を最小化」する事を目的とした大雪時のチェーン規制です。
2018年2月、福井県福井市が積雪147cmの記録的な大雪に見舞われたニュースは、まだ記憶に新しいものがあります。
ノーマルタイヤ装着車の立ち往生が引き金で交通網が麻痺状態となり、1,500台もの車両が数日間滞留する事態が発生しました。
•陸上自衛隊派遣 •近県の除雪応援要請
•地域住民やボランティア活動
昼夜を問わず大規模な復旧作業が行われたのです。
また1月には、首都高速道路の山手トンネル内で立ち往生が発生し、本線の除雪作業では通行止め解除まで10時間もかかっています。
これらを受けて国土交通省と警察庁では
❏大雪特別警報もしくは、大雪に対し緊急発表が行われるような異例の降雪時
❏勾配の大きい峠部において今まで大規模な立ち往生などが発生した区間
上記を対象とした、全国13区間においてチェーン規制を実施する事を発表しました。
※2018年12月時点での調整箇所は下記の通り
<一般国道6区間>
•山形県 月山道路(西川町志津~鶴岡市上名川) •山梨県/静岡県 山中湖~須走(山梨県山中湖村平野~静岡県小山町須走字御登口) •新潟県 大須戸~上大鳥(村上市大須戸~村上市上大鳥) •福井県 石川県境~坂井市(あわら市熊坂~あわら市笹岡) •広島県/島根県 赤名峠(広島県三次市布野町上布野~島根県飯南町上赤名)
•愛媛県 鳥坂峠(西予市宇和町~大洲市松尾)
<高速道路7区間>
•新潟県/長野県 上信越(信濃町IC~新井PA) •山梨県 中央道(須玉IC~長坂IC) •長野県 中央道(飯田山本IC~園原IC) •石川県/福井県 北陸道(丸岡IC~加賀IC) •福井県/滋賀県 北陸道(木之本IC~今庄IC) •岡山県/鳥取県 米子道(湯原IC~江府IC)
•広島県/島根県 浜田道(大朝IC~旭IC)
それにより従来であれば通行止めとされる状況であっても、タイヤチェーン装着車のみ通行可能になったのです。
2.チェーン規制はいつどこに表示される?
国土交通省では、2018年11月にチェーン規制等に関する改正案についてパブリックコメントを実施しました。
それによりチェーン規制区間において、
❏予告情報板の設置 ❏情報板による規制標識表示
❏新規制標識「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の設置
これらの導入が決定しています。
チェーン規制は、下記の条件を満たした規制区間で実施されます。
•チェーン着脱場を設置できる場所
•通行止め解除までの待避所の確保
実施される旨は予告情報板に表示され、規制区間の手前でチェーン装着状況の確認が行われますので指示に従ってください。
チェーンの無い場合、周辺の民間施設や駐車場等を活用した待避所が設置されますので、通行止めが解除されるまで待ちます。
チェーン規制中はスタッドレス装着車であっても通行不可です!
大雪が予想される2~3日前に情報板では大雪警報の表示が行われますので、あわせて渋滞情報も注意深くチェックしてください。
規制区間の走行があらかじめ予想される等の必要性に応じ、早めのタイヤチェーン準備をオススメします。
3.チェーン規制区間に限らず、防滑措置の義務がある!
雪道による法令厳守はそれだけに限るものではありません。
積雪または凍結路面を走行時、ドライバーはいかなる時も防滑措置を行うよう定められているのです。
積雪や凍結している道路を通行する場合、
•全輪にスタッドレスタイヤ装着
•ノーマルタイヤは駆動輪にタイヤチェーン装着(FFは前輪/FRは後輪)
上記のいずれかが義務付けられています。
四輪駆動車(4WD)であっても、駆動輪のどちらか一方もしくは全輪にタイヤチェーンを装着しなければいけません。
未装着で走行した場合、
❏罰金:5万円以下
❏反則金:大型車7千円/普通車6千円
道路交通法に基づき、これらの罰則が科せられる事を知っておいてください。
4.タイヤチェーンを選ぶなら?
昔と違って今のタイヤチェーンはワンタッチチェーンといわれ、ジャッキアップ不要で簡単に装着できるタイプに進化しています。
ネット通販やカー用品専門店には様々な種類のタイヤチェーンが揃い踏みしています。
直感で選ぶものではないので、それぞれの特徴やメリット・デメリットを知って選択肢を広げてください。
5.タイヤチェーンのタイプと特徴
大きく分けて金属製と非金属タイプ、布製の3種類あります。
【金属製】(スチール)
<メリット>
❏凍結路に強いグリップ性能 ❏コンパクト収納できる
❏価格が安い
<デメリット>
❏走行時の振動と騒音が大きい ❏乗り心地が良くない ❏乾燥路で使用すると切れやすい
❏チェーンに重量がある
更に、チェーンの形状は二種類あり、それぞれに特徴があります。
はしご型(ラダー型)
•タイヤの駆動力が路面に伝わりやすい •坂道での登坂能力に優れている
•凍結路には弱く横滑りしやすい
亀甲型(リング型)
•雪道、凍結路ともに強いグリップ性能 •凍結路での横滑りに強い
•はしご型よりも乗り心地が良い
【非金属タイプ】(ウレタン/ポリウレタン/ゴム製)
<メリット>
❏雪道、乾燥路ともに静かで振動が少ない ❏乾燥路で使用しても切れにくい
❏種類が多く用途に合わせ選択しやすい
<デメリット>
❏金属製に比べて収納性が低い
❏価格が高い
【布製】(ポリエステル繊維)
<メリット>
•圧雪路・凍結路に強いグリップ性能 •タイヤに被せるだけの簡単装着 •騒音・振動を感じない快適な乗り心地 •軽量・コンパクト収納
•価格が安い
<デメリット>
•耐久性が低い •雪道では水分を含みやすい
•チェーン規制時に対応できない可能性がある
6.購入する際は、必ず適合サイズを確認!
タイヤチェーンは必ずタイヤサイズに適合したものを選んでください。
たとえわずかなサイズ違いで装着できたとしても、たわみが発生したり走行時に外れる恐れがあり極めて危険です。
そして、気をつけなければならないのがタイヤハウスクリアランスです。
タイヤとフェンダーに十分な隙間がなければ、タイヤチェーンが車体に干渉してしまい装着する事ができません。
1.車体側面のタイヤとフェンダーの隙間 2.タイヤ手前と奥の隙間
3.ハンドルを切った状態での隙間(前輪)
上記の確認をしっかり行ってください。
チェーン装着時は、安全性や耐久性を考慮し制限速度が決まっています。
それぞれ制限速度は、
❏金属製 30km/h以下 ❏非金属タイプ 50km/h以下
❏布製 50km/h以下
また、トンネル内などの乾燥路では金属製は切れやすいので、更に減速を心がける事が大切です。
7.オススメのタイヤチェーン!
豊富なラインナップの中から利便性の高いものを厳選してご紹介します。
•コイズミダイレクト(直販)Yeti Snow net WDシリーズ
日本・ドイツ・アメリカ等、世界19ヶ国で認可されているスイス生まれのスノーネットは信頼性抜群です。
金属材料に特殊鋼やステンレス鋼等の高級素材を使用しており騒音・振動が少なく、他には無い圧倒的な乗り心地を誇っています。
<特徴>
1.緻密なラバーネットによる静音性 2.超硬スパイクピン(埋め込みタイプ)による安定性 3.特許のロック機構
4.スマートでコンパクト収納
タイヤハウスクリアランス20mmで装着できるスマートタイプながら、タイヤサイズ12~20インチの豊富なバリエーションです。
ネットを伸ばす・タイヤに被せる・内側と外側2ヶ所を指先でロックして作業終了、徐行による自動締め付けで装着が完了します。
•CHUHATSU KONIG P1 MAGIC
機能性と快適性が調和されたKONIGの最高傑作です。
チェーンのゆるみやズレを見逃さず、走行しながら常時チェーンをタイヤに対してベストなポジションに移動させる優れものです。
<特徴>
1.マジックテンションシステム採用 2.10mmリンク・補強リンクによる快適性と耐久性 3.NEWダイヤモンドパターン採用
4.サイドリンク調整
左右非対称の亀甲パターンが走行時の直進安定性を高め、全方向に強いグリップ性を発揮し横揺れや横滑りを防ぎます。
引っ張る・引っ掛ける作業のみで装着が完了するマジックテンションシステムは、チェーン装着後の締め直しも必要ありません。
•カーメイト BIATHLONクイックイージー
非金属チェーンの国内売上No.1を誇るバイアスロンは、その信頼と実績から国内自動車メーカーの純正品に採用されています。
両輪で108本のスパイクピンを採用したクイックイージーの魅力は、全方向の最適なバランスと強いグリップ力です。
<特徴>
1.3ヶ所ロック方式/クイックロック機構 2.超硬マカロニ型スパイクピン採用 3.高性能ポリウレタンエラストマー採用 4.フィット性を高めた立体構造
5.高品質素材採用(厚設計 MAX 12mm)で約5倍の耐久性
ロックを3ヶ所に配置する事で装着時の力を分散し、走行中の遠心力を利用したクイックロックで素早く簡単な装着が可能です。
トレッド部の高性能ポリウレタンエラストマーは氷点下にも強い柔軟な素材で固くならず、極寒の装着作業に大きく貢献します。
•YUKIDOURAKU エコメッシュII
雪道楽シリーズのエコメッシュIIは、全方向に強いネットパターンが雪をガッチリと掴んでいかなる路面状況にも動じません。
凍結路をしっかりグリップする大径4.5mmの超硬マカロニピンも強い味方です。
<特徴>
1.全方向対応ネットパターン採用 2.両側ワンプッシュロック式 3.大径4.5mmの超硬マカロニピン採用
4.新設計ハードケースでコンパクト収納
両側ワンプッシュロック採用で最終ロックがスムーズになり、従来品よりも装着作業の早さを実感できます。
•Clack&Go UNIQA M32
TUVによる欧州スノーチェーン認定を受けているユニカは、横滑りに強い亀甲型の金属チェーンです。
特殊合金を採用した強固なチェーンが、氷雪路で駆動力と制動力を最大限に発揮します。
<特徴>
1.欧州スノーチェーン認定 2.オーストラリアONORM規格認定 3.フィンガーガード付きテンショナー採用 4.9mmリング採用
5.コンパクト収納
走行しながら自動的に増し締めする特許の自動増し締めテンショナーは、ケーブルを繋いでセットするだけでチェーン装着完了です。
タイヤクリアランスの狭い車種にも対応する9mmリングは快適性・静粛性にも優れています。
•SCC JAPAN アイスマン
見た目のシンプルさが際立つアイスマンはグリップ性能とコーナーリング性能を備え、幅広い車種に対応するケーブルチェーンです。
<特徴>
1.キーホールロック式 2.エアクラフトワイヤー採用 3.サイドバンド不要
4.合金鋼使用/軽量で耐久性約5倍
内側と外側を留めるだけのキーロック方式で、チェーン装着後20m走って増し締めし、S字フックで留めれば装着が完了します。
•コイズミダイレクト(直販)SNOWTEX
日本で開発された特殊繊維生地を使用した、夏タイヤ専用チェーンです。
バイアスカットで伸縮性がある生地は装着がスムーズで急な降雪にも素早く対応し、滑りやすい雪道で高いグリップ力を発揮します。
<特徴>
1.走行中の巻き込みを防ぐストッパー採用 2.タイヤにジャストフィットするウェーブカット
3.排水性に優れた特殊繊維の生地
特許の特殊繊維生地を使用したスノーテックは、布製チェーンながら保安基準に適合した安心のチェーン規制対応です。
まとめ タイヤチェーンへの関心と備えを!
スタッドレスタイヤ装着率が高い地域ほどタイヤチェーンへの関心は低い傾向ですが、チェーン規制の施行により変化が感じられます。
しかし、概観すると需要性と普及率は一致していないのが現実です。
たとえば簡易型タイヤチェーンであっても、雪道でのトラブルや緊急時において役立つ場合があります。
早々に必要性を感じられない地域であっても、またはいざという時の為にも、タイヤチェーンを携行しておく事をオススメします。
また、一般的に使用できるものでも、チェーン規制時には通行できないタイプもありますので確認が必要です。
できるだけ工業標準化法JIS規格、日本自動車交通安全用品協会JASAA認定品を選んでおくと間違いありません。
購入後は、取り扱い方法を覚える為にも必ず装着を試してください。
ニーズに合わせたタイヤチェーンを1つ持っておくと安心です。
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