2017.10.03
先日(9月29日)の緊急記者会見により判明した、日産自動車の無資格検査問題。
「日本の自動車市場まれにみる大規模な不祥事」と呼ぶ声も聞こえてきますが、いったいなぜこのような問題が発生し、今後考えられる影響としてどのようなものがあるのか。
元・某大手自動車メーカーのプロメカニックであり当サイト「カーライフマガジン」のライターを務めるnonoが、自身の経験と業界筋などから得た情報をもとに、今回の日産自動車無資格検査問題について緊急解説します。
現状日産自動車で問題になっていることですが、一部検査を検査資格保有者がしていなかったことでリコールに繋がってしまうという問題が勃発してしまいました。
リコールが問題なわけではなく、本来検査員として常駐していなければならない有資格者が検査業務に携わっていなかったということが問題なのです。
そもそも製造ラインは、季節労働者の無資格者が組み立てていることがほとんどですので、仮に問題が起こったとしても不思議ではありません。
しかし、ルーティンワークであることから、目の前に流れてきた仕事に関しては既にプロフェッショナルの域にいる立派な作業員であることを忘れてはいけません。
しかし、それでも国として、一大企業として、今後もし問題に繋がってしまったとすると、その矛先は自分たちへと向かう大問題なのです。
それを予見しての今回のリコールというわけです。
何が問題なの?
さて、今回のリコール内容ですが、これといって自動車に問題が発生しているというものではありません。
一部検査を無資格者が行なっていたという事実を、平成29年9月18日に国交省の抜き打ち検査で明らかになってしまったことがリコールの原因となります。
121万台という莫大な台数を、有資格者が再検査するということだけで今回の問題は一時的に終息するでしょう。
それでも、その再検査終了までにかかる費用は200億円はくだらないものとなるはずです。
検査員への徹底した意識再教育と、迅速な再検査を期待されると思われますが、正直なところ茶番です。
確かにあってはならない由々しき事態なのかもしれませんが、今現在世の中に出回っている日産車のほとんどが同じ環境下で作られてきているのです。
その中で、どれほどのリコール件数がヒットしているのでしょうか。
ハッキリ申し上げまして、製造過程の問題から発生しているリコールなんて0とはいいませんがほぼあり得ません。
設計段階、パーツ段階での問題がリコールの大部分を占めています。
今回検査担当をしていた無資格作業員の方々に、悪い印象を持たないでください。
有資格検査員の怠慢とも思えますが、無資格者への実施訓練だったのかもしれません。
仮にそうだとすれば、指導教育していただけということになりますが、それを現場の判断だけで進めていたということは考えなければならないことではあります。
実際の声を聞いてみますと、検査を受け持っていた作業員の方は「自分が検査をしても良いと思っていた。」というように、日常的に検査業務をしてきたことが分かります。
少なくとも検査自体は完了している自動車が世に出回っていたということですので、現状日産車を所有されている方も安心して乗り続けていただければ良いと思います。
もし安心できないと感じる場合は、お近くの日産ディーラーまでお伺いを立ててみても良いかもしれません。
今後の対応は?
まずはリコール対象となる該当車両の再検査を一日も早く完了していくことになります。
それと同時に、今後の製造ラインに従事していく作業員全体に対し、責任の重さと意識の再確認が徹底されるものと考えられます。
責任の取り方が今後注目されそうですが、とかげの尻尾切りで終わらないことを願います。
今回の件によって、経営陣の進退や作業員検査員の入れ替えなどをするよりも、今後より良い安心安全な自動車を世の中に送り出してくれることを期待したいです。