電気自動車?ハイブリッド?NOTE e-POWERの正体に迫る | カーライフマガジン

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自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」

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「全く新しいカタチの電気自動車」という看板をひっさげて登場した、日産「ノート e-POWER」。 新しもの好きな方なら、この未知なるタイプのモデルに興味津々かもしれませんね。

日産の電気自動車といえば「リーフ」が有名ですが、ノート e-POWERはどのような点が全く新しいのでしょうか。

また、走行性能や実用性は? 本文で、疑問の答えに迫ってみましょう。

e-POWER独自の魅力であるドライブフィールにも触れますので、ぜひチェックしてみてください。

■NOTE e-POWERはハイブリッド?電気自動車?

冒頭でお伝えしたように、ノート e-POWER(以下e-POWERと表記)は新しいタイプの電気自動車として売り出されています。

一方、e-POWERはハイブリッド車として紹介されることもあるようです。 はたしてe-POWERは、日産のいうように電気自動車なのでしょうか。

それとも実はハイブリッド車?

…答えを述べましょう。
e-POWERは、「シリーズハイブリッド」と呼ばれるタイプのハイブリッド車です。

シリーズハイブリッドとは、エンジンを発電機として利用し、駆動はモーターのみで行うタイプのハイブリッド車。
本田のアコードハイブリッドや三菱アウトランダーなどが、シリーズハイブリッドに該当します。

つまり、e-POWERは全く新しいタイプの車というわけではありません。 さらにいえば、正確には電気自動車でもないのです。

「全く新しいカタチの電気自動車」という表現は、少し紛らわしいですね。

とはいえ、e-POWERが魅力のない車というわけではありません。
このモデル最大の特徴である、駆動システムをチェックしてみましょう。

e-POWERの心臓部は、1.2Lガソリンエンジンと、最大109psを発揮するEM57型モーターで構成されています。 エンジンが担うのは、基本的にバッテリーへの充電のみ。

急加速時や登板時だけは、バッテリーではなくモーターへの給電を行います。

また、給電用のエンジンは、走行中常に稼働しているわけではありません。 バッテリーに余裕があるときは停止し、バッテリー残量が少なくなってくると充電のために稼働します。

必要な時にのみ稼働することで、燃料の消費を抑える仕組みになっているのです。

ちなみにe-POWERのJC08モード燃費は、最高で37.2Km/Lとなっています。

ただしこの数値は、最廉価グレードである「S」だけのもの。
上級グレードである「X」や「メダリスト」では、燃費が34.0Km/Lとなります。

最廉価グレードの方が燃費に優れているなんて、ちょっと矛盾しているように感じるかもしれませんね。
Sグレードの燃費が優れている理由については、後ほど詳しくご説明いたします。

■独自の操作感覚が生み出す新しい運転感覚

e-POWERには、「NORMAL」「ECO」「S」の3つの走行モードが備わっています。

3つのモードのうち特徴的なのは、「ECO」と「S」。
この2つのモードを選ぶと、「e-POWER Drive」を活かした運転を楽しむことができます。

e-POWER Driveとは、e-POWER独自の走行機能。
アクセルペダルを離すだけで強い回生ブレーキが効くため、アクセル操作のみで加減速を積極的にコントロールすることができます。

ちなみに回生ブレーキとは、ごく簡単にいうと発電機の抵抗を活かしたブレーキのこと。
減速時に発電機を回してバッテリーへの充電を行うとともに、その際に生じる抵抗によって車速を落とすことができます。

このe-POWER Driveを上手く活かせば、e-POWER独自のキビキビとした走りを楽しむことが可能です。
アクセル操作だけでメリハリの効いた走りを行えるため、一度慣れると従来の車を運転しづらく感じるかもしれません。

ちなみにe-POWERのトルクは、25.9Kgmとかなり太め。 トヨタ86のトルクを軽く上回ります。 この太いトルクによる加速とe-POWER Driveを上手く活かせば、ワインディングでスポーティーな走りを楽しむことも可能です。

コーナーの続く峠道でもアクセルとブレーキの踏みかえが少なく済むので、今までの車と違ったフィーリングのドライブを楽しめますよ。

・渋滞時での負担を軽減できる

e-POWER Driveは、渋滞時にドライバーにかかる負担を軽減してくれます。 渋滞時はストップ&ゴーを繰り返すため、どうしてもアクセルとブレーキの踏みかえが多くなりがち。

無意識に行う操作とはいえ、長時間に渡って繰り返すと疲労が溜まってしまうものです。

一方e-POWER Driveなら、ほぼアクセルの操作だけで渋滞のノロノロ運転を乗り切ることができます。
ブレーキは完全に停止するときにだけ踏めばいいので、車のコントロールに伴うストレスは少なめです。

なお、e-POWER Driveで走行している際にブレーキを踏んだ場合、回生ブレーキはキャンセルされます。
また、一度踏んだブレーキを離すと、通常のオートマ車と同じようにクリープが始まるのでご注意ください。

■燃費のみを追求したSグレードについて

先にご紹介したように、e-POWERの燃費は最廉価グレードである「S」が最も優れています。
なぜ「S」の燃費が優れているのかというと、一般の車では考えられない特別仕様になっているからです。

といっても、「S」に革新的なシステムが搭載されているわけではありません。 むしろ、“何も搭載されていない”といった方がよいでしょう。

というのも、パワーウインドウやエアコンといった装備をすべて非搭載とすることにより、「S」の低燃費は実現されているからです。

驚きましたか? パワーウインドウはともかくとして、エアコンがなければ「実用性もなし」と言わざるを得ませんね。 こうした奇妙なグレードは、自動車メーカー間の激しい燃費競争の産物にほかなりません。 カタログ上の最高燃費を高めるためだけに、実用性を無視したグレードを設定する…。

こうしたメーカーの姿勢は、あまり褒められたものではありませんね。

とはいえ、ノート e-POWER自体に独自の魅力があることは事実です。 「X」グレードであれば、実用性を保ちつつ定価が約196万円からと安価。

ハイブリッド・コンパクトカー選びの候補にe-POWERを入れる価値は、十分にありますよ。

■まとめ

本文で見てきたように、ノートe-POWERの目新しい点はe-POWER Driveのみです。 とはいえ、この独自の運転システムが、新しいドライブフィールを生み出していることは確か。

今までと違った感覚の運転を体感してみたい方は、日産の店舗でノートe-POWERを試乗してみてはいかがでしょうか。

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