自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
ホイールの素材は、スチールとアルミニウム合金の2つに大別されます。
この他にも高級スポーツカーにはマグネシウム合金やカーボンを使用したものもあります。
アルミホイールはアルミニウム合金でできたホイールの事です。
スチールホイールと比べ、錆や腐食に強く、軽いといった特徴があります。
アルミそのものは加工しやすい素材です。
その為、バラエティに富んだデザインに加工しやすいといった利点があります。
スチールホイールは価格の安い車種に装着され、アルミホイールは中堅クラス以上の車種に装着されているのが実情です。
このアルミホイールは意外と傷が付きやすく、知らない間にいわゆるガリ傷ができていたりします。
アルミホイールの傷は業者に依頼すると高くつきますが、自分で修理すれば意外と安くできるものです。
アルミホイールの傷の修理方法と手順を知って、まさかの事態に備えておきましょう。
1.アルミホイールの種類
アルミホイールには、デザイン性などの条件により、次の4つに分類されます。
❏スポークタイプ
中心からスポークが放射線状に伸びているタイプです。 デザイン面では軽量化できる事が利点です。
放熱性があり、冷却に優れているのが特徴で、スポーティな装いとなっています。
❏ファンタイプ
スポーツタイプの放射線状のスポークをより細くして、数を増やしたタイプです。
スポーツタイプよりは豪華に見えます。
❏メッシュタイプ
網目状になっているタイプ。
網目が細かいと高級感が出て、スポークタイプよりも剛性が強いのが特徴です。
❏ディッシュタイプ
ディッシュ=皿の通り、全体が覆われているように見えるデザイン。
空気抵抗が少なく、強度は4つの中で最強ですが、その分重量があるのが難点です。
上記は形状で仕分けましたが、製造方法によっては、
•鋳造
•鍛造
構造によっては
•ワンピース •ツーピース •スリーピース
に分けられます。
2.アルミホイールの傷の種類
アルミ素材のホイールは傷つきやすいものですが、知らぬ間に傷ができてしまうことが多いのです。
傷の種類は大別すると3種類あり、そのどれも意外と簡単にDIYで補修できます。
➢ガリ傷
アルミホイールは自動車の足に相当する部分で、傷が付きやすい場所です。
縁石などに擦っただけでもガリ傷と呼ばれる、こすれたような傷が付いてしまいます。
➢クリア剥がれ
アルミホイールのクリアが剥がれてしまう事です。
➢腐食
一般的にアルミホイールは腐食しないと考えられていますが、実際にはある程度錆びます。
3.アルミホイールが傷つきやすい状況
アルミホイールは次のような場所や状況の時に傷が付きやすい為、注意が必要です。
•立体駐車場のような幅の狭い場所 •縁石や段差 •パンク時にホイールに負担がかかってしまった場合
•雪道走行中、雪に隠れた石にぶつかる
次に、こうした代表的なアルミホイールの傷の修理方法と手順を紹介しましょう。
その前に、傷の修復に必要なアイテムを揃えます。
一般的なカー用品店の価格を参考にしました。
❖カーシャンプー:569円~(スポンジ付き) ❖カーシャンプー用スポンジ ❖マスキングテープ:279円~ ❖研磨用耐水ペーパー:359円~ ❖脱脂剤:649円~ ❖カー用品補修用パテ:699円~ ❖ヘラ:539円~ ❖コンパウンド(研磨剤):799円~ ❖剥がし液:377円~ ❖クリア剤:899円~
❖ホイールペイント:659円~
これらのアイテムを持っていると、いつでも自分で車の傷を修復する事ができます。
補修用品は常に家に置いておく事をオススメします。
特にコンパウンドはホイールだけではなく、自動車の傷を補修するのに便利です。
それでは、まずガリ傷の修復です。
4.ガリ傷の修復方法
1.汚れたホイール自体を綺麗にする。この際に使用するのが、カーシャンプーとスポンジです。
ホイールに付着している泥や砂なども洗い落としておくと仕上がりが綺麗になります。
2.アルミホイールの周りにマスキングテープを貼ります。
これはタイヤにパテや研磨剤が付かないようにする為です。
3.耐水ペーパーでホイールを研磨します。 この際に注意するのは、耐水パーパーは目の粗い順から使用する事です。
ペーパー100番でバリなどを取り除き、その後320番で傷の周辺を整えるのがコツです。
4.傷に付着している脂分を拭き取る為に脱脂剤を使用します。
この作業を怠ると仕上がりが悪くなるので注意して下さい。
5.カー用品補修用パテでガリ傷を埋めます。
ヘラで傷を隠し埋めるように塗り込むのがコツです。
この作業も仕上がりに大きく影響するので、慎重に行って下さい。
その後、塗った跡が凸凹にならないように、コンパウンドで研磨します。
この作業によりガリ傷が綺麗に埋まるので、丁寧に行う事が大切です。
6.1時間後にマスキングテープを剥がします。
7.12時間以上乾かして下さい。
8.アルミパテで研磨します。
パテを塗った部分を、耐水ペ―パー320番、600番そして1,000番の順番で研磨して下さい。
補修箇所が目立たないようにするには、ホイールペイントで仕上げる方法があり、これが一層綺麗に仕上げる為のコツです。
これで、アルミホイールのガリ傷は綺麗に消えます。
もちろん、ガリ傷の大きさにもよりますが、作業そのものは意外と簡単です。
5.クリア剥がれの補修方法と手順
アルミホイールのクリア剥がれとは、ホイールのクリアが剥がれてしまう症状です。
これは、クリア塗装部を再塗装すれば補修できます。
1.アルミホイールの周りにマスキングテープを貼る。
タイヤにクリア剤などが付着しないようにする為です。
2.剥がし液を使って剥がれた部分の塗装を剥がします。
剥がし液を塗ったら、液が乾く前に拭き取り、再度同じ作業を繰り返します。
塗装が綺麗に剥がれるまで根気よく作業を続けてください。
塗装が剥がれたら、研磨剤を使って平らに整えます。
この時に少しでも腐食があれば、それを削り取ります。
腐食が少ない場合は、この補修方法が腐食に対しても有効です。
3.塗装を剥がした部分にホイール専用のクリア剤を塗ります。
4.最後は乾かすだけです。
作業上の注意事項
DIYで作業をするには、それなりのTPOが必要です。
そして、手順の中でも特に注意しなければならないものもあります。
1.晴れの日に行う事。
仕上げ前にパテや塗装などを【乾燥】させる事が重要です。
雨の日などは湿気も多く、塗装の仕上がりに影響する事がある為です。
2.ホイールに必ずマスキングするのを忘れない事。
これは新たな傷を増やしたり、ムダな塗料が飛散したりするのを防ぐ為です。 マスキングはタイヤとホイールのぎりぎりの場所と、ホイールの傷周辺に施しま
す。
3.耐水ペーパーは目の粗いものから使います。
つまり、番号の小さいものから順番に使用する事を忘れないよう注意してください
4.できればタイヤを外して作業する事をオススメします。
タイヤがはまったままだと作業効率が悪くなる為です。
どうしても、タイヤを外すのが嫌な時は、この限りではありません。
まとめ DIYは修理に出すよりも遥かにお得です!
ガソリンスタンドやカーショップなどの業者に補修作業を依頼すると高くつきます。
その傷の大きさや状態にもよりますが、10,000円~25,000円が一般的な相場です。
最初は補修用のアイテムを揃えるのに多少の経費はかかります。
しかし、一度揃えてしまえば次からはサンドペーパーなどの消耗品以外の経費は不要です。
小傷程度の補修は自分の手で完了できれば、まさかという場面で悔やむこともなくなります。
ちょっと踏み込んだメンテナンスに挑戦してみてください。
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