自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
日本車にはない、エレガントなデザインが魅力的なイタリア車。
かっこよくイタリア車を乗りこなせば、オトナとしての格がアップしそうですよね。
ただ、イタリア車には、“こわれやすい”というイメージがあります。
いかに外見がかっこいい車も、あまりに壊れやすくては安心して乗れませんよね。
はたしてイタリア車は、本当に故障しやすいのでしょうか? 本文で、疑問の答えに迫ってみましょう。
中古のイタリア車との付き合い方や、オススメモデルもご紹介しますので、ぜひご一読ください。
■ホント?うそ?イタリア車にまつわるウワサの真相
イタリア車には、その壊れやすさにまつわるウワサ話が多数あります。
たとえば、「頻繁に警告灯が点灯するが、ほとんどの場合は誤作動」といったウワサ。
このほかにも「故障箇所が自然に直る」なんて話を聞くこともあります。
はたして、こうしたウワサに信憑性はあるのでしょうか。
また、イタリア車は本当に壊れやすいのでしょうか。
まず警告灯の誤作動については、実際に多数のオーナーが経験しているようです。 また、故障箇所がいつのまにか直っていた、という体験をしたオーナーも実在します。
このような経験をしたイタリア車オーナーが存在することから、ウワサには真実味があると考えてよいでしょう。
また、こうした実話を多数聞けることから、イタリア車は壊れやすいと判断することができます。
ただし、壊れやすいといっても、あくまで「日本車と比べると壊れやすい」というだけの話です。 そもそも、日本車と同レベルで壊れにくい車は、この世界に存在しません。 日本車と比べてしまえば、ドイツ車でさえ壊れやすいといえます。 日本は季節による寒暖差や湿度差が激しく、車にとってかなり厳しい環境です。
その環境下で壊れずに走り続けられるように、日本車は特に高品質かつ精密に作られているのです。
この点を踏まえた上で、なぜイタリア車が壊れやすいのかを検討してみましょう。
そもそもヨーロッパでは、車は「修理をしながら長く乗り続けるもの」と認識されています。
このため、部品の耐久性が日本車のように高くありません。
特にゴムパーツや電装系部品の耐久性は低く、日本車と比べると頻繁な交換が必要となります。 先にご紹介したような警告灯の誤作動も、電装系部品の劣化によって起こるものと考えられます。 組み付け制度の低さによって、誤作動が起こることもあるでしょう。
日本の厳しい環境化では、イタリアの気候に合わせて設計された車は余計に故障が多くなります。
また、急激な温湿度の変化で、故障箇所が正常な状態に戻ったとしてもおかしくありません。
とはいえ、2000年代に入ってからは、イタリア車の品質は大きく向上しています。 たとえばフィアットグループでは、会長にルカ・ディ・モンテゼーモロ氏を据えて以来、製品の品質が大幅に改善されているようです。
近年発売されたモデルであれば、そこまで神経質にならずに乗れると考えてよいでしょう。
■中古イタリア車を楽しもう!
前節でご紹介したように、近年販売されているイタリア車であれば、安心して乗ることができます。
ただ、新車のイタリア車はやや高額。 アルファロメオの場合だと、低価格なMITOでも330万円とお安くありません。
若い方には、手の届きにくい金額ですよね。
一方、中古車市場に目を向けると、100万円以内で購入できるイタリア車が数多く見つかります。 アルファロメオでも、10年落ちモデルなら50万円〜150万円程度で購入可能。
日本車と変わらない値段で、イタリア車の世界に足を踏み入れることができます。
ただ、やはり気になるのは壊れやすさ、ですよね。
買ったはいいが、故障ばかりして乗れないのでは意味がありません。
しかしご安心を。
先にご紹介したとおり、ヨーロッパの車は部品を交換することで、長く使い続けられるように設計されています。
つまり、整備と部品交換を怠らなければ、長期間に渡って乗り続けることができるのです。 中古のイタリア車を手に入れたら、わがままな恋人に尽くすように、メンテナンスに手間暇をかけてください。
パーツの状態に気をつけてさえいれば、突然の故障に悩まされずに済みます。
また、ちょっとした修理が必要になった場合も、イタリア車はそれほど修理費がかさみません。
少なくとも、ドイツ車よりは安価に修理できますよ。
・粋な心があれば楽しめる!
日本車と比べると、イタリア車は管理に手間がかかります。
中古車なら、なおさらメンテナンスに気を配らなければなりません。
しかし、手間暇をかけて乗り続けることこそ、イタリア車の醍醐味です。
愛馬の世話をするように、マイカーのメンテナンスを楽しんでみてください。
もし整備や部品の交換を楽しめないなら、中古のイタリア車を買っても後悔するだけかもしれません。
手をかけなくても壊れず、安心して乗り続けられる車が欲しいなら、どうぞ日本車を選んでください。
日本車が精巧なデジタル腕時計だとすれば、イタリア車は味わい深い手巻き時計のようなものです。
手巻き時計はゼンマイを巻く手間がかかりますし、時間もたびたび狂います。
しかし、所有することで得られる満足感は格別です。 イタリア車も同様に、メンテナンスを楽しむ粋な心意気さえあれば、所有満足感と官能的な走りを楽しめるようになります。
日本車にはない快感を得たいなら、ぜひイタリア車の世界に一歩足を踏み入れてみてください。
■おすすめモデルをチェック!
本記事の最後に、オススメのイタリア車を2モデルご紹介しておきましょう。
まず、新車で手に入るイタリア車としてオススメなのが、「FIAT 500」です。 FIAT 500は、クラシカルなデザインが魅力的なコンパクトカー。
その可愛らしい外見は女性からの支持も厚く、現在日本で最も人気の高いイタリア車となっています。
また、価格が安いことも、FIAT 500の嬉しいポイントです。
「500 1.2 Pop」なら、約200万円から購入できますよ。
続いて、中古で見つかるオススメのイタリア車をご紹介しましょう。
2000年にデビューしたアルファロメオ「147」は、中古市場で安価に購入できるオススメモデルとなっています。 特におすすめしたいのが、「1.6TSツインスパーク」の5MTモデル。
2005年式あたりの車両なら、支払総額50万円強で見つかります。
この程度の値段であれば、購入後のメンテナンスにお金を回すことが可能。
きちんと整備することで、長く付き合えるパートナーになってくれますよ。
なお、同モデルにはセレスピード(オートマ)の車両もありますが、こちらはあまりオススメできません。
というのも、年式の古いアルファロメオのセレスピードは、何かと故障しやすいからです。
また、中古のアルファロメオは、タイミングベルトに支障が出やすい傾向にあります。 距離5万Km以上の車両を購入する際は、購入時にタイミングベルトを交換してください。
この一手間をかけることで、車の寿命が大きく延びるはずです。
■まとめ
車の選び方には、その人の人生観が現れるものです。 あなたは平坦で安全な人生を選ぶでしょうか?
それとも、険しいながらもスリルと楽しさにあふれた人生でしょうか。
後者を選ぶあなたには、イタリア車を強くオススメします。
本記事の内容を参考にして、イタリア車の魅力を存分に楽しんでください。
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