自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
オリジナリティのある車に憧れる方なら、「いつかは愛車を自分なりにカスタムしたい!」と考えていることでしょう。
オリジナルの改造を施した車には愛着がわきますし、外装がカッコよく決まっていれば周囲の注目を集めることができます。
ただ、車をカスタムする際に気をつけたいのが違法改造。
うっかり法律の定める範囲を超える改造を行うと、車検が通らないばかりか違反切符を切られる可能性もあります。
安全にカーライフを楽しむためにも、改造に関する知識は正しく身につけておきたいところ。
本記事で、どんなカスタムが違法改造になるのか、詳しくチェックしてみましょう。
■こんなドレスアップは違法
車の改造と聞いて、ドレスアップを真っ先に思い浮かべる方は多いかもしれませんね。
煌めく大径アルミホイールや流麗なエアロパーツは、いつの時代も車ファンを惹きつけます。
ただ、車の外装改造は、一定の基準を守って行わなければなりません。 たとえばヘッドライト。
HIDやLEDへのライト交換はお手軽なドレスアップといえますが、ヘッドライト交換はケルビン(色温度)に注意が必要です。
というのも、ヘッドライトの色は白色と法律で定められているからです。
2005年12月31日までに販売された車であれば黄色も認められますが、基本的には白色がヘッドライトの色だと思ってください。
近年は、ケルビンの数値が高く青白いヘッドライト色が好まれていますが、あまりに青みが強いと車検を通らない可能性があります。
また、逆にケルビンが低く、黄色みを帯びたヘッドライト色も要注意。 やはり車検でNGとなる場合があります。
ヘッドライトを交換する際は、3,000〜6,000ケルビンの製品を選んでおくと無難です。
ただし、同じケルビンのライトでも、白に近いものと青みが強いものがあるので注意しましょう。
車検を考慮するなら、白に近いものを選んだ方が賢明です。
なお、ヘッドライト以外のランプ色は、以下のように法律で定められています。 ・ウインカー・・・橙色 ・フォグランプ・・・白もしくは黄色 ・ナンバー灯・・・白 ・バックランプ・・・白 ・ブレーキランプ・・・赤色 各ランプを上記以外の色に変えると、取り締まりの対象となります。
これらランプ類の改造は、基本的にあまりおすすめできません。
・サイズ変化に要注意
愛車にエアロパーツを取り付ける際は、車のサイズ変化に注意しなければなりません。
あまりに大きなパーツを装着すると、法律の定める「軽微な改造」の範囲を超えてしまいます。
外装を改造する際は、車体寸法の変化が以下の範囲に収まるようにしてください。 ・長さ・・・プラスマイナス3cm ・幅・・・プラスマイナス2cm ・高さ・・・プラスマイナス4cm
・最低地上高・・・9cm以下
上記サイズを超える改造を行うと、後述する構造等変更検査を受ける必要が生じます。
検査を受けずに公道を走行すると、違法改造車として取り締まられるのでご注意ください。
なお、車重に関しては、普通乗用車はプラスマイナス100Kg、軽自動車はプラスマイナス50Kgまでの変化が軽微な改造の範囲とみなされます。
・カラーリングやホイールについて
車のカラーリングに関しては、特別な規定は設けられていません。 萌えキャラを描こうがターミネーターを描こうが、所有者の自由です。
カラーだけであれば、パトカーの塗装を真似しても罰せられません。
ただし、車のカラーを変更すると、売却時の査定額が大幅に下がってしまうのでご注意を。
このほか、アルミホイールに関しては、車体からはみ出すものの装着はNGです。
必ずボディの横幅に収まるものを装着してください。
また、ハンドルをいっぱいに切った際にフェンダーと接触するホイールを取り付けると、違法改造となります。
ホイールについては、カー用品ショップで相談のうえ選ぶようにしましょう。
■構造変更って何?
先にご紹介した「軽微な改造」の範囲を超える改造を行うと、構造変更の申請が必要となります。
構造変更とは、いわゆる改造車に該当する改造を行うこと。
構造変更を行った車両も、保安基準に達している車両と認められることで公道を走行できるようになります。
ただし、安全な改造だと認められるには、厳しい書類審査をパスしたうえで陸運局の検査を受けなければなりません。
この検査が、先に名前が登場した構造等変更検査です。
保安基準をクリアしていると認められた場合、車検証に「改」の文字が入ります。
この状態になって初めて、堂々と公道を走ることができるというわけです。
なお、構造変更が必要な改造としては、以下のようなものがあげられます。 ・乗車人数の変更 ・積載量の変更 ・エンジンの交換
・サスペンションのスプリング形式変更
軽量化のために後部座席を取り外すと、構造変更とみなされるので注意しましょう。 リフトアップのためのスプリング変更も、構造変更の対象となる場合があります。
大幅なカスタムを行う際は、一度整備工場やカスタムショップに相談を行った方が賢明です。
■マフラーの騒音について
スポーツカーのオーナーなら、スポーツマフラーの装着を一度は考えたことがあるかもしれませんね。
マフラーを交換すると、外見と排気音がよりスポーティーになります。
ただし、車外品のマフラーを装着する際は、排気騒音に注意しなければなりません。
車重1.7トン以下の普通乗用車の場合、近接排気騒音が97dbを超えると違法となってしまいます。
近接排気騒音とは、最高出力を発揮する回転数の75%までエンジンを回し、アクセルを離した時に発せられる騒音量のことです。
この音量を超える騒音を発するマフラーを装着すると、違法改造車となるのでご注意ください。
車外品マフラーが公道で使用できるものか否かは、マフラー本体の記載で確認できます。
JQR、JATA、JMCA、JARIのいずれかの記載があれば、保安基準を満たしたマフラーだと思って間違いありません。
■まとめ
本文で見てきたように、外装の改造も違法となる場合があります。 いかに愛車を派手に仕上げても、警察に取り締まられてはカッコよくありませんよね。
愛車のカスタムは、法律を遵守したうえで行ってください。
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