近年人気が高まっているトヨタの「アルファード」と「ヴェルファイア」。
従来であれば大型ミニバンと呼ばれていたこの2車種は、現在高級サルーン的な位置づけを得ています。
以前は国産の高級サルーンといえば、クラウンやレクサスLSが人気を集めていました。
しかし現在は、アルファードを移乗用の車に選ぶ会社の重役も多くなっています。
また、マイルドヤンキーと呼ばれる人々に人気があることも、アルファードとヴェルファイアの特徴のひとつ。
特にヴェルファイアはマイルドヤンキーの支持を集めており、トヨタ側もこの購買層を強く意識しています。
しかしなぜ、アルファードとヴェルファイアはこれほどまでに人気を集める車種となったのでしょうか。
その答えを知るために、本文でアルファードとヴェルファイアの魅力に迫ってみましょう。
旧モデルの中古車に関する話題にも触れますので、ぜひご一読ください。
■高級さを身にまとった「まったく新しいミニバン」
アルファードとヴェルファイアの魅力を知るために、まずこの2車種の歴史を紐解いてみましょう。
初代アルファードが発売されたのは、2002年のことです。
当時のミニバン市場では、日産のエルグランドが絶大な人気を誇っていました。
エルグランドといえば、それ以前のミニバンにはないスタイリッシュさを備えて登場したモデル。
この新しいタイプのミニバンに、トヨタのハイエース系モデルは苦戦を強いられていたのです。
この状況を打破すべく、アルファードは世に生み出されました。
初代アルファードの特徴となったのは、ウッドパネルを配した内装やパワーバックドアなどの豪華装備。
モダンな印象のエルグランドに対し、アルファードは豪華さで攻勢をかけたのです。
この戦略が功を奏して、初代アルファードは一躍大ヒットモデルとなりました。
2008年5月には2代目モデルが登場。
先代のコンセプトを踏襲しつつも、スマートでより洗練されたボディデザインで人気を博しました。
さらに、この代からネッツ店販売モデルとしてヴェルファイアが登場。
アルファードとは違ったアグレッシヴなフロントマスクは、若い世代を中心に人気を集めることとなります。
約6年半に渡って活躍した後、アルファードとヴェルファイアは共にフルモデルチェンジ。
2015年1月に、現行型である3代目モデルが登場しました。
●現行型から探るアルファードの人気の秘密
現行型である3代目アルファードは、歴代モデルが培ってきた魅力が結集したモデルとなっています。
ここで現行型のもつ特徴から、アルファードの人気の秘密を探ってみましょう。
現行型アルファードのエクステリアは、押し出しの強さが印象的です。
ロアグリルと一体となったフロントグリルのデザインは、さながら「メタル製の腹筋」のよう。
堂々とした面構えは威圧感さえ感じさせます。
この一方で、現行型アルファードの内装は高級感が抜群。
ダッシュボードやシフトノブまわりなどに木目調パネルがあしらわれており、セレブ感のあるインテリアに仕上がっています。
特に最高級モデルである「エグゼクティブラウンジ」の内装は、まるで飛行機のファーストクラスのようなゴージャスさ。
シートの表皮にフェラーリなどにも採用されている「セミアニリン本革」がおごられており、豪華さを肌で感じさせてくれます。
このほか最新鋭の機能を与えられていることも、アルファードの魅力です。
車庫入れや縦列駐車をアシストしてくれる「インテリジェントパーキングアシスト2」は、その最たるもの。
切り返し操作もサポートしてくれるので、運転があまり得意でない方も気負わずに駐車を行えます。
続いて、アルファードの走行面の特徴を見てみましょう。
エンジンの力強さもさることながら、何より注目すべきはその乗り心地と静粛性。
「大空間高級サルーン」をテーマに開発されただけに、3代目アルファードの快適さは高級セダンに引けを取りません。
空間の広さを含めると、移動手段としての心地よさはトヨタ車随一といってよいでしょう。
以上のように、さまざまな特徴をもつ現行型アルファード。
これらの特徴を総合的に見ると、一つのキーワードが浮かんできます。
そのキーワードとは「わかりやすさ」。
アルファードには「高級感と威圧感」「使い勝手のよさ」「快適さ」の3つが、非常にわかりやすい形で備わっているのです。
この3つのわかりやすい特徴は、マイルドヤンキーや企業の重役などに対するストレートなアピールとなりました。
アルファードとヴェルファイアの人気は、単純明快な魅力によって成り立っているのです。
■販売データでみる売れ行きの好調さ
アルファードとヴェルファイアは、実際にどの程度の人気があるモデルなのでしょうか。
新車販売のデータを見ると、具体的な人気の高さが見えてきます。
先にご紹介したとおり、3代目アルファードは2015年に発売されました。
このときのアルファードとヴェルファイアを合わせた前受注数は、なんと2万1000台。
この数値をみるだけで、両モデルの人気の高さがうかがえます。
このような人気は、先代モデルから引き継がれたものにほかなりません。
特に初代ヴェルファイアは人気が高く、モデル末期においても月に5,000台程度がコンスタントに売れていました。
通常、モデルチェンジ前は買い控えが起こるものですが、ヴェルファイアはその時期でも好調な売り上げを見せていたのです。
ちなみに日本自動車販売協会連合会のデータによると、2015年のヴェルファイアの新車販売台数は54,180台に達しています。
この販売台数は同年の国産車の中で15位。
高級車としては、かなりの高順位となっています。
■中古市場での動きをチェック
現行モデルが売れに売れているアルファードとヴェルファイアですが、旧モデルが忘れ去られてしまったわけではありません。
3代目以前のアルファードは初代が「10系」2代目が「20系」と呼ばれ、現在もファンの人気を集めています。
といっても、これらの旧モデルは基本的に中古でしか手に入りません。
ここで、アルファードとヴェルファイアの中古市場に目を向けてみましょう。
アルファードは歴史が長いモデルであるだけに、中古車の球数が豊富です。
値段はピンきりですが、10系であれば本体価格120万円程度で距離4万Km前後の2.4Gあたりを狙えます。
10系と比べると、20系のアルファードはやや高額です。
2014年のモデルとなると、走行距離5万Kmの240Xで本体価格250万円前後の値段が付いています。
20系のヴェルファイアもやはり高額。
走行距離4万Km台の2.4Zが、本体価格300万円前後で取り扱われています。
現行モデルである30系となると、新しいモデルであるだけに玉数はかなり少なめです。
新車同然の車両が多く、本体価格は安くても300万円前後となっています。
ちなみに、中古車価格が高いだけに、アルファードとヴェルファイアは買取価格も高めです。
20系アルファードの240Xの参考買取価格は、2014年モデルで180万円から200万円弱。
型落ちモデルとしては、かなり高額な買取価格といえるでしょう。
この一方で同年式のヴェルファイア2.4Xの参考買取価格は、170万円から190万円弱。
アルファードより10万円程度安くなっています。
なお、30系ヴェルファイアの3.5エグゼクティブラウンジとなると、買取価格は600万円台まで跳ね上がります。
さすがにかなりの高額ですね。
●中古車で気になる故障
前述のとおり、アルファードとヴェルファイアの中古車価格は全体的に高額です。
10系は値段が下がっていますが、古い車両だけに故障が気になるところですね。
10系のアルファードは、スライドドアの故障が多いといわれています。
具体的には、電動スライドドアが動かなくなるトラブルがかなり多いようです。
こうしたトラブルは、ワイヤーの劣化とそれに伴うワイヤーの詰まりが原因で起こることがほとんど。
この症状は10系の前期型に多く、後期型では改良されてトラブルは少なくなっています。
もし10系のアルファードを狙うなら、後期型を探した方がよいでしょう。
■まとめ
以上、アルファードとヴェルファイアの人気の秘密や、中古車価格についてご紹介いたしました。
「マイルドヤンキー御用達のミニバン」といった印象があるアルファードとヴェルファイアですが、決して見かけ倒しの車ではありません。
乗車経験のない方も、機会があればそのスムーズな走りを体感してみてください。
あまりの快適さに、次の愛車に選びたくなるかもしれませんよ。