自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
年間を通して自動車は汚れていきます。
多少汚れていても自動車の走行性能に影響を及ぼすものではないと侮ってはいませんか?
汚れとは恐ろしいもので、自動車の老朽化を進ませる一番の原因になります。
ここでは、その老朽化を阻止するために洗車をすることの大切さ、外装の大切さについて元プロメカニックからの視点であなたにお伝えさせて頂きたいと思います。
1.自動車の外装は大切
自動車は甲殻類と同じで、ボディーが骨格となります。 骨がしっかりしていないと、スムーズな動作の妨げになります。
そのため、外装の汚れが塗装を侵食しサビの元になっては、自動車の走行性能に直結する大きなトラブルの原因になるのです。
外装は走行中に多くのダメージを受けてくれる大切なパーツです。
傷みが進み、外装が侵食されればボディーにはサビが発生し、そこから歪みになっていきます。
ボディーの歪んだ自動車は、真っ直ぐ走行する力を失います。
各部位でつじつま合わせをすることで、かろうじて走行することが出来るレベルには保てますが、安心して命を乗せられるシロモノではありません。
あなたは、自動車に命を乗せて移動しているのです。
安心という保証は、あなたの日常的な自動車との触れ合いから生まれるのです。
2.洗車のすすめ
上でご説明した通り、自動車のボディーをいたわるためには、外装の日常的なメンテナンスが必要となります。
その最たるものが【洗車】です。
水洗いだけで汚れを洗い流すだけでも、外装のダメージを蓄積しないことへとつながります。
しかし、外装へのダメージを防ぐためには不十分です。
走行による外装へのダメージ、風雨による侵食、砂塵の付着、乗降時のちょっとしたキズなどからボディーを守っているのが【塗装】です。
自動車は、色付きの塗料の上にクリアーの補強塗装を重ねることで何層ものボディーコーティングをしてあります。
しかし、塗装に対してのコーティングというものは施されていません。
紫外線や熱、酸性雨などで侵食されてしまうのを防ぐ必要があります。
そこで必要になるのが、しっかりと汚れを洗い流した上で【ワックス】をかけることです。
汚れを落とさずにワックスを重ねてしまうと、外装の侵食を促進してしまいます。
そのため、しっかりとした洗車が重要となるのです。
洗車に手を抜かずに綺麗になった後はワックスです。
ワックスには【ソリッド】【半練り】【リキッド】と種類があります。
【カルナロウワックス】と【ポリマーワックス】それに両方を混合した【ハイブリッドワックス】とに分けられます。
3.ワックスの種類と特徴
ソリッドワックス
俗にいう【艶出しワックス】です。 研磨剤を含まないものが一般的で、スポンジで塗り込み塗装面の保護を目的として作られています。
塗装面の撥水性を旨とし、カルナバロウによる艶が特徴です。
植物油脂が多く含まれるため、汚れを吸着する特性がありボディーコーティングとしての特性は低いです。
ハイブリッドワックスであっても、絶対的なコーティング性能が今ひとつです。
半練りワックス
市販ポリマーワックスの多くはこのタイプになります。
艶出し性能はソリッドワックスに劣るものの、研磨剤を含み小キズや塗装面に刺さっている鉄粉を除去する能力が高く、汚れを落とす特徴が強いです。
ハイブリッドワックスとして販売されている半練りワックスは、カルナバロウが少なく霞がかかった感じの仕上がりになります。
磨き上げることでこの霞は晴らすことができますが、コーティング性能も同時に薄くなってしまうので効果の持続性は少なくなります。
塗装色によって研磨剤のタイプが違うため、使い分ける必要があります。
リキッドワックス
艶出し性能のみを追求したものや、超微粒子研磨剤を混合したタイプがありますが、液体であるがゆえに研磨性能は半練りワックスほどではありません。
手軽さで言えばリキッドワックスが最も容易で、最もポリマー効果を見込めるのがリキッドワックスの特徴です。
リキッドワックスは、かけっぱなしで構わないものが多いですが、磨き上げることで艶出し効果が発揮されます。
さらに、磨き上げ効果によって塗装面の凹凸にポリマーが噛み込み効果の持続が見込まれます。
4.新車時のボディーコーティングは必要?
新車購入時にオプションとしてボディーコーティングが用意されていますが、自動車ディーラーで働いていた経験から申しますと、ずっと乗り続けるつもりであれば特に必要なものとは言えません。
乗り換えすることを前提としている場合、自動車査定時に還元されるオプションとなりますので、予算に余裕があるのであれば頼んでおいて損はありません。
ボディーコーティングを頼んだ場合、あなた自身が洗車するよりもディーラーに任せることをオススメ致します。
専用ソープを同時購入する形にはなるのですが、毎月一度ディーラーが保有している専用ソープにて洗車してもらう方が確実なコーティング性能の維持を期待できます。
どの自動車ディーラでも、毎月一度キャンペーンを開催しています。
そのキャンペーンを利用することで、洗車料金も抑えることができます。
5.まとめ 外装を綺麗にしておくことでトラブルを防ごう
冒頭でもご説明した通り、外装の劣化によって自動車は真っ直ぐ走行することができなくなる事実があります。
そして、命に関わる重大な事故を起こしかねない原因となるのです。
プロメカニックは、工具を手に自動車を整備するばかりが仕事ではありません。
ちょっとした点検や洗車も大切な仕事なのです。
自動車に乗るあなたが、日々の洗車程度のメンテナンスを疎かにしなければ、自動車は健康なままあなたとの時間を歩み続けてくれます。
あなたが今後どのような自動車ライフを送りたいか、今一度見つめ直してみませんか。
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