車に優しい日常メンテナンス<オイル編>元プロメカニックが教えます! | カーライフマガジン

自動車の血液である【オイル】は、大きく分けて【潤滑油】と【作動油】に分けられます。
この二つをしっかりとメンテナンスしていくことで、あなたの自動車の寿命は確実に長く延びていくものになります。

全体を通して、その中でも潤滑油である【エンジンオイル】に強く着目してみたいと思います。

あなたの現状と比べてみて下さい。

1.オイルメンテナンスの必要性

自動車を走行させていくメインパーツは、オイルを用いていないパーツはほとんどありません。
エンジンはもちろん、トルクコンバータ トランスミッション デファレンシャルと、これらはオイルによって潤滑されたり作動しているパーツです。

インジェクションは燃料が潤滑油となっています。
作動油式パワーステアリングにはATF(オートマチックトランスミッションフルード)が使用されています。

これらのパーツのオイルメンテナンスに手抜きがある場合、自動車は多くのトラブルにぶつかります。

特に、エンジンの熱にさらされているエンジンオイルは劣化が早く、どの潤滑油・作動油よりも交換頻度が多くなります。

エンジンオイル以外にオイルフィルターを使っている場所はありません。
そのため、オイルメンテナンスを怠ると徐々に各所の潤滑・作動力が低下してしまうのです。

エンジンオイル以外のオイルは熱の影響を受けないため交換は必要ないとされていますが、確実に劣化していきますので定期的に交換することをオススメ致します。

2.エンジンオイルの種類

エンジンオイルは【鉱物油】【部分合成油】【化学合成油】というベースオイルを主体に、各種添加剤を混ぜ合わせて作られています。

現在標準オイルとして使用されているのは部分合成油をベースとしたオイルで、ハイブリッド車や高燃費を意識されているものになります。

エンジンオイルに求められているのは【潤滑性】と【清浄性】それに【冷却性】です。
この3要素を【粘度】によってエンジンオイルに付加しています。

【SAE規格】で定められていて、【10W-30】などの数字で表記されています
10の方が低温時の粘度、30の方が高温時の粘度です
また、WはWinterを表しています
低温時の数字は、小さくなるほど低温での性能の維持が可能なことを、高温時の数字は大きくなるほど高温時での性能が維持できることを示しています。

そして、エンジンオイルの性能を表すのが【API規格】と【ILSAC規格】の2種類になります。

API規格のガソリンエンジン用は【SA~SN】の14種類、ディーゼルエンジン用が【CA~CF CF4】の7種類になります。
ILSAC規格は、API規格のSH以上で【GF-1~GF-5】の5種類が存在します。

3.各ベースエンジンオイルの特徴

鉱物油

原油から不純物を除去して精製したオイルで、性能としては一番低いものになります。
劣化が早く酸化 乳化しやすいという特徴があります。

しかし、こまめなオイルメンテナンスが可能であるならば、コストパフォーマンスに優れた扱いやすいオイルとなります。

部分合成油

鉱物油に20〜30%の上級ベースオイルを混ぜ合わせたもので、鉱物油よりも潤滑性能や清浄性能が向上したものになります。

現在の標準オイルがこれに当たります。

添加剤の種類も、鉱物油よりも清浄性の強いものが入っているため、オイルラインに溜まるカーボンスラッジなどのコレステロールが溜まりにくくなっています。

化学合成油

潤滑性能を追求し、オイルを分子化した上で最適な割合に化学的に合成したオイルになります。
潤滑性能 清浄性能ともに他のベースオイルよりも優れていて、さらに性能低下を遅らせることができる割合に添加剤が付加されています。

高性能がゆえにコストパフォーマンスは望めませんが、オイルメンテナンスの頻度を減らすことができるので、メンテナンスに時間をかけられない方はこちらを使用することをオススメ致します。

ただし、年式の古い自動車に乗られている場合、化学合成油を使ってしまうとオイル漏れを引き起こしてしまうので注意しましょう。

4.エンジンオイルを適正化していない場合の不具合

ここでいう適正化とは、劣化の進んだエンジンオイルを新しいエンジンオイルに交換することを言います。

適正化をしていない状態では、潤滑性能が足りなくなりピストンの摺動性が悪くなってしまいます。
油膜を保持できずに、最悪の場合ピストンの焼き付きを起こします。

カーボンスラッジの清浄も満足にならず、オイルラインが細くなってしまうことでオイルポンプの負荷が強くなり、ポンプ周りのオイル漏れの原因にもなります。

冷却性能も落ちてしまうので、オーバーヒートを引き起こす要因の1つです。

エンジンヘッド側でも問題が起きます。

吸排気バルブにカーボンスラッジが付いてしまい、しっかりと閉じないまま燃焼行程を繰り返してしまい、バックファイアーまたはアフターファイアーを起こしてしまいます。
それ以上に、オイル下がりによって規定オイル量を満たさなくなることで、潤滑不良となりピストン カムシャフト クランクシャフトなど、エンジン全体で焼き付きを誘発してしまいます。

しっかりとしたオイルメンテナンスを心掛けましょう。

5.まとめ エンジンオイルが自動車の寿命を左右する

エンジンオイルは自動車の血液です。
血液が汚れていては、人間でさえ不調をきたし最後には目覚めることができなくなってしまうほどです。

自動車も同じで、エンジンオイルが汚れていれば壊れていきます。
いつまでも安心した走りを望むのであれば、オイルメンテナンスはあなたの義務と覚えておきましょう。

エンジンオイルさえいつも適正化してあれば、エンジンの状態は悪くなりません
乗り続ける場合も乗り換える場合も、あなたにしっかりとフィードバックしてくれる大切なメンテナンスです。

車検ごとのオイルメンテナンスだけではなく、できれば季節ごとにメンテナンスすることをオススメ致します。    

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