マニュアル車好き必見!「トランスミッションに優しいメンテナンス」を元プロメカニックが教えます! | カーライフマガジン

オートマチック車全盛のこの時代に、マニュアル車なんてマイノリティーだというユーザーも少なくないでしょう。

レーシングカーであっても、最近ではオートマチック車・セミオートマチック車が主流となりつつあります。

それなのに、なぜわざわざマニュアル車のメンテナンス方法なんて?

それは、数は少なくてもマニュアル車ユーザーは確実にいますし、自動車ディーラーのメカニックでさえしっかりとした整備ができないなんてこともあるからです。

おかしな話ですが、実際問題、自動車ディーラーでは修理をしません
故障箇所全体を交換するいわゆる「アッセンブリー交換」で対応します。

修理だけであれば、間違いなく個人経営の自動車整備工場の方が得意でしょう。

費用面でもいくらか融通が利くので頼みやすいです。

しかし、メカニックに丸投げで日頃からのメンテナンスを怠れば、致命傷を負うまで自動車の故障に気付くことができません。
特に、トランスミッションの不調は気付きづらいものです。

ギヤのつながりを容易にするためのシンクロナイザー機構が存在するからです。

気付いた時には手遅れなんてことはよくあることなので、今回の記事を参考に、まずはあなた自身の手でできることから始めてみてはいかがでしょうか。

1.マニュアルトランスミッションのメンテナンス方法とトラブルの原因・特徴

まず、あなた自身が取れるトランスミッションに対するメンテナンス方法だけお伝えします。

誰にでもできるメンテナンスは、やはりオイル管理です。

マニュアル車の場合、クラッチ機構がギヤから離れているためオイル交換による不調というものは滅多に発生しません。

もし発生するとすれば、規定量を守らなかった場合のオイル漏れ焼き付きでしょう。

エンジンオイルと違い、ミッションオイルはカーボン汚れがないため透き通っています。
そのため、オイルに沈殿している金属片などは比較的見つけやすいです。

これは必ず確認する習慣をつけておきましょう
ミッションオイルだけでなく、エンジンオイルの廃油も毎回確認した方が良いでしょう。

金属粉や金属片は摩耗や破損の証拠です。
金属粉が混ざらない廃油は存在しませんが、金属片はいただけません。

ミッションオイルの場合、ギヤの欠けよりもシンクロナイザー機構の破損の方が多発します。

ギヤが欠けるということは、何かしらの異物が混入しない限りありえません。
なかなか金属疲労によって破損するというのは考えられないのです。

その異物というのが、大概の場合シンクロナイザー機構の破損により発生した金属片です。

多少欠けたりしていても難なくギヤを噛み合わせることができてしまうのですが、時折噛み合わせが悪くなったりギヤ抜けが起きやすくなります。
そして、欠けた金属片がギヤの間に噛み込むことによって破壊が始まるのです。

ミッションオイルの交換スパンは20,000km走行毎と目安付けられています。
およそ車検毎の交換で構わないということです。

しかし、私が推奨するのはその半分。
約10,000km、毎年交換することをオススメ致します。

熱からの干渉を受けづらく、性質変化がないとされているミッションオイルですが、エンジンからの熱はケースを伝わり、ギヤ同士の金属摩擦は確実に発熱します。
さらには、そのギヤ間で圧縮されたミッションオイルが発熱して酸化していきます。

ということは、確実にミッションオイルも性質変化による劣化が起きるということです。

2年毎の交換でももちろん問題はありませんが、トラブル回避のためにやり過ぎるということはありません。
ミッションオイルの管理はしっかりしておきましょう。

他にトランスミッションのためにできることは何でしょう。

何かを交換したりというものでないのであればクラッチワークを丁寧にするというものがあります。

クラッチはエンジンの回転エネルギーをトランスミッションへ伝えるための大切なパーツです。

しかし、正確な意味合いは緩衝材です。

停車状態は抵抗値100%ですが、それを無理矢理動かそうとすればエンストします。
そうならないために半クラッチを駆使して自動車を動かしますが、このクラッチ操作はトランスミッションへのダメージを軽減するためのパーツでもあるのです。

強化クラッチというアフターパーツが販売されていますが、一般使用の場合コチラへの変更は必要ありません

クラッチのキャパシティーを増やすことはできるのですが、スプリングの力が強くなってしまうので操作しづらくなってしまいます。

クラッチワークを丁寧にしたいのに、操作しづらい状況では運転に集中することができません。

クラッチワークを丁寧にするために1番大切なのがシートポジションです。

近過ぎても遠過ぎてもダメです。
いちいちポジションを直すのは面倒かもしれませんが、できれば毎回気にしてセットしていきたいポイントです。

どうにも面倒くさくて乗り降りしやすい位置で運転し始めてしまうというあなたには、ステアリング脱着機能の付いたステアリングボスをオススメしておきます。

よりスポーティーな見た目と、盗難防止にも役立ちます。

最後にお伝えするトランスミッションのための優しいメンテナンスは、ミッションオイルのグレードです。

ミッションオイルというのは、エンジンオイルの規格と異なる性質があります。

エンジンオイルのグレードは、等級を上げていけば必然的に高品質なものへとランクアップしていくのですが、ミッションオイルというのは極圧性が上がっていく特性があります。

極圧性とは、ギヤとギヤの間に入り込んだミッションオイルがその場に留まろうとする保持力、圧縮により押し出されないように反発する力のことです。

グレードが低ければ極圧性が低く、ギヤの動きはスムーズなもののギヤ間にオイルがなくなる瞬間ができてしまい、グレードが高ければその逆です。

適正グレードのオイルを使用しないと、ギヤの焼き付きを起こしたり働きそのものを阻害してしまうので、下手にグレードアップを考えるのはやめておきましょう。

2.まとめ トランスミッションはあなたの走りを左右する

トランスミッションを丁寧に扱うことによって、自動車の寿命を延ばすとともにあなたの今現在の走りを維持することにつながります。

トランスミッションを入れ替えた場合、走り心地が大きく変わってしまいます。

慣れ親しんだ走行感を維持したい、長く使い込まれて当たりのついた機械の調和を壊したくないというあなた。

トランスミッションの管理にまで踏み込んで、周りよりも進んだマニュアル車ユーザーになってみませんか。

Copied title and URL