【日産編】メカニック・自動車査定士を経て思う自動車メーカー | カーライフマガジン

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自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」

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プリンス自動車を前身に持つ【日産自動車】は、経営者を日本人から変えたことによって世界に通用する自動車メーカーと変身しました。
どの国内自動車メーカーも、日本人が経営していることで凝り固まった考えが抜けていませんが、日産自動車だけはその考えから抜け出し、広い視野を手に入れたのです。

メカニックとして、日産車は可能性の宝庫です。
RBエンジンを完成させるまでに、HRエンジンで嫌というほどトライアンドエラーを繰り返し、出来上がったものを更にRBエンジンでグレードアップしたものを【GT-R】として完成させ、一般仕様にグレードダウンしたSRエンジンで有名となったのが【シルビア】です。

理解できますか?

自動車メーカーが1つのエンジンに【松・竹・梅】のランク付けをしているのです。 エンジン性能に応じて各種装備品の強度などにも区別をつけていますし、あなたの手でも自動車を最高の状態に進化させることができるかも知れないという可能性がある自動車を故意に作っている移動車メーカー。

それが【日産自動車】という自動車メーカーなのです。

1.カルロス・ゴーン氏によって進化した日産車

日産自動車創業以来、最高の経営者となったのがこの【カルロス・ゴーン】氏です。
カルロス・ゴーン氏は、フランスの自動車会社【ルノー】社の取締役会長兼CEO(PDG)でありながら、日産自動車と三菱自動車工業の会長を兼任するほどの人物です。

つまり【自動車業界に計り知れないほどのコネクションのある人物】だということです。
また、2010年以降【ルノー・日産アライアンス】というパートナーシップの社長兼最高経営責任者でもあります。

このことから、日産自動車にはルノーにおける自動車技術も流入しているということが分かります。
経済提携のみで技術提携をしていなかった【スズキとシボレー】の関係性とは違い、日産車にルノーで培われてきた技術さえもインスパイアした自動車にさせたのは、紛れもなくカルロス・ゴーン氏の功績と言えるでしょう。

日産自動車が、これまで通りの考えのもと自動車企画をしてきていたとしたら、現代に追いつくまでに10年は軽く遅れていたでしょうし、下手をしたら会社再生法の道をたどっていたかも知れません。
垣根を越えたつながりを持てたことで、日産自動車は大きな一歩を踏み出すことができたのです。

2.日本で唯一日本流から外れた日産車

カルロス・ゴーン氏が徹底した経営管理をしたおかげで、日産自動車は生まれ変わりました。
小さなことからコツコツとトライアンドエラーの繰り返しという日本流のやり方から、完全なる効率的な海外流を取り入れることによって、日産自動車の自動車造りは製産ロスが減っていきました。

分かりやすいところで【セドリック】【グロリア】という2車種分けをを廃止し、【フーガ】1車種に絞ることで売れ残り数の減少に力を入れ、さらに【フーガ】のグレードアップにより【シーマ】との高級セダンによる競合に力を入れるところに視点を変えていきました。

そして、カルロス・ゴーン氏の凄いところは、日産車である【シーマ】を三菱自動車の【ディグニティ】としてOEM供給することで、昔からのシーマ愛好者を手放さないまま三菱自動車の売上向上を図ったところです。

【スズキ】【マツダ】の軽自動車枠で同じ様式を取り入れていますが、高級セダン枠で同じことをしてしまうということは、どちらかの売上が減少してしまうということになります。
しかし、日産自動車には【フーガ】という新車種が同ランクで同時販売されたことで、どちらの売上も底上げに貢献しました。

これは、確実に日本流な経営方針に当てはまりません。 両社のCEOを兼任しているからこそできる強行です。 もし、トヨタとホンダで経営者が同じだったとしたら同じことができたでしょうか。 トヨタ・スバルでは【86】【BRZ】で同じことができましたが、決して【クラウン】【セルシオ】ではできていません。

これが日本人と外国人との差なのだと思います。

3.日産車のメリット

ルノーの技術が介入したことによって、外車のポジティブ面を取り入れられたことが最大のメリットでしょう。 これは、現代の自動車の理想的な形です。

【外車の精巧な造りと、日本車の精密な仕上げ方と、電気系統にまで意識が向く日本の技術者の結晶】とも言える現代の日産車の形です

これからの国産車で安定の造り込みができるのは【海外との技術交歓が容易】な日産車だと考えられるでしょう。

4.日産車のデメリット

日産車の最大のデメリットは【カルロス・ゴーン】氏の力がいつまで及ぶかということになります。
現在は日産自動車という企業に可能性を感じているから、早々に手放すという選択肢はないかも知れません。

しかし、日本人との感覚の違いで【企業に魅力を感じられなくなった途端、手のひらを返すことに躊躇いがない】ということが言えます。
もし、これから製造していくニューデザインの自動車が、相次ぐコストダウンによって不具合が多くなってしまった場合、いつ手放されるか分かりません。

ただし、日産自動車の背景には【芙蓉グループ】という【みずほフィナンシャルグループ】がついています。
三菱自動車同様、金融関係が強い日産自動車は手放すには惜しい企業ですので、当分は心配はなさそうです。

5.まとめ 日産車の強さはレース場にある

日産車はGTカーレースに参戦していますが、フォーミュラーには参戦していないと思っていませんか?

先述の通り、カルロス・ゴーン氏によって日産は【ルノー】との提携ができあがっています。 ルノーのフォーミュラーには、しっかりと日産の技術が役立っています。 やはり日本製の電気系統は、海外製のものに比べて精密に造られています。

そのおかげで、ルノーはフォーミュラーで勝つことができているという背景があるのです。

GTカーレースでは、逆にルノーの技術が介入したことで、今まで以上に力を発揮できるようになったのは結果を見れば明らかです。 一般公道を走行するには持て余してしまうようなハイパワー自動車を造っている日産自動車は、レース場でこそ真価を発揮することができます。

いえ、レース場でしか思い切り走らせることができないほど完璧に近い自動車を造ることができているのです。

軽自動車から高級セダン、スポーツカーという乗用車枠で楽しめる自動車が日産自動車にはあります。
その背景には、レース業界でしっかりとした裏付けのとれたパフォーマンス性があることを忘れないで下さい。

私はメカニックとして日産車を多く手掛けてきました。 どの自動車よりも簡単に速さを求めることが出来て、修理することも簡単なのが日産車です。

そして【どの自動車よりも壊れづらいのもこの日産車である】ということをあなたに伝えたいと思います。

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