自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
愛車のメンテナンスに欠かせないツールの代表格である工具。
一口に工具といっても様々なメーカー、アイテムが有ります。
ホームセンターに行けば、ある程度必要な物が揃っているセット工具が手頃な価格で販売されています。
しかし安価で買える工具の中には、ネジを舐めてしまったり力が掛け難いなど品質的問題がありますし、実際に使用して使い辛さを実感している人も多いと思います。
メンテナンスのプロであるメカニックはどんなメーカーの工具を使っているのでしょうか。
プロメカニックは、工具1つが仕事の量やスピードだけでなく、整備の仕上がりにまで影響する事を知っていますので工具へのこだわりは半端ではりません。
ホームセンターで購入するような日曜メカニックから脱却したいというあなたに向けて、プロメカニックも愛用するこだわりの特選工具メーカーをご紹介します。
1.海外工具メーカー
まずは世界的人気の海外工具メーカーをご紹介します。
自動車の歴史と共に進化してきただけあって、種類も豊富ですし品質も高いものが多いです。
❏スナップオン
世界的工具メーカーの代表格ともいえるスナップオン。
機能性だけでなく、輝くメッキの美しさにも魅了されるという、手にする事自体がメカニック達のステータスともなっている憧れのトップブランドです。
1920年代にアメリカで誕生したメーカーで、国内では80%のシェアを誇ります。
様々なサイズに交換可能なソケットレンチを最初に発明した事でも有名。
開発技術はそれだけに留まらず、従来の点接触でネジやナットを回していたのを、より正確に力が加わる「面接触」にしたのもこのメーカーです。
この技術はボックスソケットやレンチ等に採用され、のちに特許を取得しています。
スナップオン工具を一般の方が目にする機会が殆どない理由は、販売形式が直販のバンセールスのみだからです。
日本国内では、FC加盟している販売店が工具を満載したウォークスルーバンで自動車ディーラーや整備工場に直接営業に来てくれた時のみ購入が可能です。
また、トップブランドらしく誰もが気軽に買える様な価格設定では無い事もスナップオンの希少性を後押ししています。
バンセールスで購入した工具には原則永久保証が付きますので、永い目で見るとコスパは良いといえるでしょう。
そして値段が高い理由は、工具を使ってみるとすぐに分かります。
例えば錆ついたボルトを緩める時、他メーカーでは回せなかったり舐めてしまう様な場合でも、レンチ自体の喰い込みの強さと剛性の高さであっさりと解決できてしまう等、例を挙げればキリがありません。
これは作業時間の短縮に繋がるだけでなく、愛車の部品を壊してしまわないなどのリスクヘッジにもなります。
この辺りは、まさしくプロメカニックに選ばれる条件を十分に満たしているといえます。
最近ではネットや店頭でも買えるという声も聞きますが、バンセールス、正規代理店以外の並行輸入品は補償対象外ですので、購入の際は下調べをしっかりと行ってください。
❏マックツールズ
1938年創業。
スナップオンに次ぐ世界的なアメリカの工具メーカー。
•モータースポーツ関係者に人気 •バンセールスが主要な販路 •永久保証付き
•高価である
上記のように、スナップオンと共通する点が多々あり、表面加工が美しいメッキ仕上げである点も含め、スナップオンをライバル視しているメーカーです。
業界ではこの2大ブランドが代表的なハイエンドツールメーカーとして知れ渡っています。
とはいえ後発メーカーであるマックツールズですので、ライバルであるスナップオンをも凌ぐアイテムが多々あります。
個人的に使い勝手がよく重宝しているのはフレックスヘッドのミニラチェット。
フレックスヘッドとは先端のラチェット部が垂直方向に調節できる機能の事です。
狭いエンジンルーム内では回ししろが取れない事もよくありますが、全長が100mmに満たない超小型でしかも先端の首振り機能のおかげで、従来よりもかなりアクセスできるポイントが増えました。
しかもアメリカ製工具の共通点でもある高い剛性を持つボディーが、ミドルサイズのボルトに高負荷をかける際でもしっかりと力を伝えてくれます。
また、ラチェットのギア数も72段階設定。
わずかな隙間でもしっかりとネジを回すことができ、ギア数の差のみならず噛み込み精度の高さが安心の使用感と快適さをもたらしてくれます。
これはホームセンターで購入できるラチェットとの圧倒的な違いの1つ。
一度使ったら元には戻れなくなります。
❏PBスイスツール
創業140年になるスイスの老舗工具メーカー。
ドライバーの精度は世界でもトップクラスなのに、価格は値ごろで比較的手に入れやすいという嬉しい特徴を持っています。
1878年、ポール・ボーマン氏によって農業関連工具メーカーとして立ち上げられ、日本ではPBボーマンの愛称で知られています。
日本に輸入され始めて約50年になりますので、知っている人も多いのではないでしょうか。
他のメーカーとは違い、100%スイス国内で製造しているのも特徴です。
同社のモノづくりへの拘りは環境のみならず、RoHSやREACH規制に反する製品は一切使用しないという、製造者およびユーザーの安全と健康への配慮が徹底しているという大変すばらしい企業でもあります。
肝心な工具としての性能ですが、PBスイスツールといえばやはりドライバーを語らない訳にはいきません。
ドライバーのラインナップは多くの種類があるだけでなく、ユーザーの使用環境に応じて様々な工夫が凝らされています。
中でもグリップへの拘りと種類は多岐に渡りますので、それぞれの特徴からあなたにぴったりのグリップを探してみましょう。
•クラシックグリップ
工具箱内でかさばらないスリム形状、人間工学に基づいた溝のデザインと
滑らかな表面仕上げが特徴で高いトルクを補助します。
•マルチクラフトグリップ
クラシックグリップに比べ中央付近が樽状に丸みを帯びているのが特徴。
日本でも人気のロングセラーツールで、手のサイズや大きさに左右されません。
•スイスグリップ
サントプレンという柔らかい素材のグリップ。
その柔らかさゆえ手の平に良くなじみ、水や油などが付着する滑りやすい
環境下でも威力を発揮します。
•レインボーグリップ
カラフルでかわいい見た目が特徴的ですが、これはサイズによって色分けがされているので
必要な工具を一目瞭然で手にすることで作業効率をアップさせます。
•蛍光グリップ 畜光素材を採用しているので暗い場所でもじんわりと光ります。 夜間に外で作業する際に大変便利な機能です。
グリップ形状はスイスグリップになっています。
特に最新のスイスグリップは先端とグリップの柔らかさが絶妙で大変疲れにくく、またドライバーの先端がネジに吸い付くような感覚で楽に回すことができます。
工具を使い慣れないビギナーの方であれば、このPBスイスツールは最適といえるでしょう。
ちなみに、PBスイスツールで検索すると「臭い」などのワードがヒットしますが、これは同社が拘っている環境への配慮から、リサイクル可能なCAB樹脂を使用しているのが理由です。
もちろんその理由には諸説ありますが、どうしても気になるのであればホームセンターに行って実際に確かめてみてください。
❏シグネット
1990年、カナダにて誕生した若い工具メーカーです。
実はこのシグネット、正確にいうと他社の工具を自社ブランド化してOEM販売している会社で、自社開発工場を持たないことで手に入れやすい価格を実現しています。
その新しくユニークな発想はまさしくベンチャーらしい気風ですが、後発メーカーらしく他社をよく研究して、如才ない製品チョイスが大衆に受け入れられています。
近年、主要市場及び地域にてグローバル化を実現している事を見ても、そのマーケティング能力は同業他社の脅威となっていることでしょう。
工具としての実力は、品質と価格のコストパフォーマンスは既にトップクラス。
世界中のプロからサンデーメカニックまで幅広い顧客層に支持されています。
シグネットの名を一躍有名にした代表的工具といえばギアレンチです。
メガネレンチとラチェットが一体になった機能を持つこの工具は大変使い勝手がよく、ある程度のトルクまで対応する事で飛躍的に作業効率をアップしています。
また、シグネットのギアレンチは明らかに他メーカーより精度が高く、首振り機能を持つ72ギヤのラチェットと薄めのボディーは、あらゆる場面で活躍してくれます。
デザイン製での評価も高く、安定のメッキ加工からブルーとブラックを基調としたクールな格好良さは若いメカニック達を虜にしています。
コスパを求めすぎるあまり、デメリットもあるのがシグネットの特徴です。
よくあるトラブルはスイベルラチェットのギア飛びです。
ギアレンチの性能が高いだけに、同じ感覚で使うとガッカリの度合いが大きくショックを受けます。
このように、アイテムによっては値段相応の工具もあるという品質のバラつきは今後の課題といえるでしょう。
とはいえ現時点ではコスパ最強のシグネットです。
価格や品揃え的にも、これからメンテナンスにチャレンジするビギナーの方にはお勧めのメーカーであることは間違いありませんよ。
❏ハゼット
1868年、世界的な刃物の生産地、ドイツのレムシャイドにて鍛冶屋として創業されたのがハゼットです。
ドイツといえば産業及び技術分野においては世界のトップリーダーとして名を馳せていますが、その名の通りハゼットの鍛造工具は世界No.1の信頼性を誇ります。
特にハゼットのヘキサゴンレンチにおいては、間違いなく世界一の強度と精度だといっても過言ではないでしょう。
精度の高さでは最もその性能が必要とされるトルクレンチでも、ハゼットはNo.1だといわれています。
その品質の高さは、BMWやメルセデスなどドイツの有名自動車メーカー各社にスペシャルツールを供給してきたという歴史が証明しており、現在ではポルシェモータースポーツのサポートを行いながら、ヨーロッパ有数の工具メーカーとしての地位を不動のものとしています。
日本では取り扱っている企業が限られており、なかなか目にする機会も少ないのですが、その強度の高さからトラックなど大型機械の整備工場では御用達の工具となっていることは有名な話です。
また、アメリカの工具メーカーが表面仕上げにメッキ加工を主流としているのに対し、強度、作業性、安全性にこだわるハゼットは、高精度の梨地仕上げを採用しています。
徹底された品質管理はハゼット独特の人間工学設計に基づくものだそうで、強度のみならず独特の粘りにまで拘るところは他社との美学の違いが鮮明になっているといえるでしょう。
ハゼットは「使い続けるほどにその高品質を実感頂けると自負しています」とホームページで誇らしげに謳っています。
質実剛健という言葉が申し分なく当て嵌まるその機能とデザインに派手さはありませんが、アメリカ製品と対極に位置する企業姿勢はお国柄も見え隠れしています。
海外の工具メーカーを紹介してきましたが、もちろん日本にも世界に誇れる工具メーカーが沢山あります。
その中でも、筆者一押しのメーカーをご紹介しましょう。
2.国産工具メーカー
モノづくり大国である日本製の工具メーカーも負けてはいません。
又、国産車の規格に合ったサイズが豊富なのは国産工具メーカーならではです。
❏KTC 京都機械工具 株式会社
国内に於いて自動車用工具の代表格といえば間違いなくKTCでしょう。
創業は1950年、主にトヨタの車載工具生産を担うところからスタートしています。
その後、日本の自動車産業と共に歩みを進め、防衛庁や国鉄からも指定銘柄として採用されている国内トップメーカーです。
F1チームや世界ラリー選手権でも採用されるなど信頼性は抜群で、1995年には最高品質の工具ブランド「ネプロㇲ」を立ち上げ、世界に認められる工具メーカーとなっています。
そんなKTCを筆者がイチオシするのには訳があります。
それは、日本で産まれ、日本のメカニックに愛されたKTCだからこそ持っている唯一無二のしなりという技術があるからです。
前項で海外製品のご紹介をしましたが、実は強度が高い海外製品というのは使う人を選ぶのです。
毎日工具を扱うプロの方であれば問題なく使いこなしてしまいますが、強度が高く硬い工具というのは、ある程度の力と使用方法に正確さが求められるのです。
特に強度が高いアメリカ製は、ビギナーが最初に持つ工具としてはあまりお勧めできません。
ドイツのハゼットは、比較的日本と同じような粘りにも拘っていますが、KTCの工具はそこから更にしなりにまで拘っているのです。
メーカー曰く「剛性を持たせつつトルクの掛かり具合を伝えるしなりを感じさせるなど、ツールを使う人の手の延長となれるよう微細な調整を行っている」という事です。
このしなりのおかげで、初めて工具を持つ人でも難なく使いこなすことができるのです。
表現が悪いですが、雑に扱ってもプロと同じように整備ができるのはこのしなりなしでは不可能だと断言できます。
尚、このしなりはKTCの他、日本のトップブランド工具に共通する技術ではありますが、中でもKTC独特の使い心地は、次項で紹介するTONEと好みの問題で二分されると思っています。
筆者がKTCを押すのにはもう1つ理由があります。
それは、T形レンチの精度の高さです。
T形レンチを使ったことがある方には共感していただけると思うのですが、我々プロメカニックは作業を速く行いたい時にT形の柄の部分を指でクルクル回すので、この時中心の精度がわずかでもズレているとテンポ良く綺麗に回せないのです。
非常に細かい事ではありますが、このわずかな差はストレスを感じる事となり、最悪は回している途中で工具がすっぽ抜けてしまう事もあります。
これは作業の中断を余儀なくされたりボルトナットを紛失するだけでなく、運が悪ければ怪我をしてしまう原因になり兼ねません。
ある程度名が通った工具メーカーであればそんなことはないのですが、特にKTCの工具は中心精度が大変優れています。
極端な話をすると、軽く回転をかけさえすれば後は工具に任せておくだけでネジが勝手に緩むのでかなり楽です。
また、回転精度が高いだけではありません。
ボルトナットへの喰いつきもしっかりしており、緩める際にボルトナットを落としてしまう心配も必要ないのです。
映画などでレースメカニックの作業風景を見たことがある人は、このクルクルと華麗にT形レンチを回すシーンを見掛けたことがあるかと思います。
こんな何気ないシーンでも安い工具では再現不可能なのですよ。
❏TONE 株式会社
自動車関連ツールではKTCに次いで人気なのがTONEです。
創業は1925年と、KTCよりも歴史があります。
昔は自動車関連というより産業機械や建築関係に強い工具メーカーという印象でしたが、ここ数年はKTC同様自動車やバイクのレースに力を入れている事で人気が高まっています。
ちなみに、社名のTONEは日本三大河川である関東地方の利根川にちなんで名付けられたそうですが、本社は大阪です。
TONEの強みは締結。
つまり、ボルトナットの締め付けに強いメーカーです。
日本のモノづくりを支えてきたTONEは、大型の産業機械や建築関連の工具、電動、エアー工具などのラインナップも充実しています。
それに関連して、トルク管理機器にも強いのがTONEの特徴です。
締め付けという事で、やはりソケット類の工具は充実しています。
信頼性は、自動車よりも強いトルクがかかる分野で長年使われてきた実績がありますので何ら問題は有りません。
嬉しいのはKTCよりも安価である事。
そして、ホームセンターで気軽に買える事です。
国産自動車のメンテナンスで使う工具の殆どはKTCでもTONEでも揃いはしますが、コスパでいえば国内No.1といえるでしょう。
また、自動車メンテナンスにも使える品質の高いエアー工具が、比較的安く手に入るという事で利用している人が増えています。
あと、多少の違いといえばKTCに比べると、TONEの工具は少し細身です。
しかしこの2社のレベルになると、どちらが良い悪いという事ではなく、ユーザーが感じる使い心地、手触り感、使用用途に合わせた適材適所の工具を選ぶというような判断で選択すれば良いかと思います。
❏コーケン
コーケンは1946年、静岡県で創業した自動車メンテナンス用ソケットレンチに特化した工具メーカーです。
特化しているだけにその信頼性は高く、他社に先駆けて世界展開が早かったのもこのメーカーの特徴です。
先に紹介した世界的工業技術大国であるドイツのDIN規格に則った製品も製造しており、世界的にも「ベストバイツールの1つ」という高い評価を受けています。
時代により進化していく自動車にあわせ、コーケンのソケットレンチも進化し続けており、どちらかというと古くから整備に携わる職人さんに愛されるという玄人好みの工具です。
コーケンのソケットレンチで特筆すべき機能がありますのでいくつかご紹介しましょう。
•ナットグリップ機能ソケット開口部に備えられた2つのスチールボールがボルトナットをしっかりとホールドしてくれます。
この機能のおかげで手の届かない場所に下向きに作業してもボルトナットが落下することがありません。
これは他社にはない素晴らしい機能です。
•セレーショングリップ
延長用のエクステンションバーにはギザギザに切目が入っており、回転が軽くなった際に手で楽に回せるようになっています。
実際に使用すると分かりますが、手で回せるときは手でやった方が圧倒的に早いのです。
細かい事ですが嬉しい機能です。
•フレックススピーダー
手回しのハンドルとトルクがかけやすいロングバーが1つになった便利工具です。
ホイルナットを外す際に、最初は大きなトルクが必要で次に早い回転が必要となる為通常手回しであれば2つの工具が必要なところですが、これさえあれば1本で済みます。
スピードが要求されるレーシングメカニックも使っています。
•空転トルクの軽さに拘ったラチェットギア
他社と圧倒的な違いを見せるコーケンラチェットの軽さは作業が早くなり本当に楽です。
コーケンの工具はすべて自動車メンテナンスに特化した痒い所に手が届くものばかりです。
ビギナーの時にそろえた工具に足りないものは全てここに揃っています。
玄人好みというのも納得です。
しかもこれだけ便利なのに手に入りやすい値段設定になっている所も薄給の整備士には嬉しいです。
❏ベッセル
1916年、日本初のドライバー量産メーカーとして創業した歴史ある企業。
ホームセンターなどで手に入るシェア日本一のメーカーです。
ドライバーを中心に幅広く関連製品を開発しています。
料金は安いが性能は必要にして十分。
職業を問わずあらゆる働く現場で目にします。
老舗企業らしくコスト内での機能追及に余儀なく、先端の特殊コーティングはドライバーの浮き上がり防止効果が高く使っていて大変重宝します。
ドライバーのラインナップは他の追随を許しません。
•グリップ素材 •形状
•サイズ
ドライバービットまで合わせると650種以上の種類があり、欲しいドライバーはきっとベッセルで見つけることができるでしょう。
❏トップ
1939年、金属加工で有名な新潟県三条市で創業。
ホームセンターで手にする工具の中では、最もプロの建築関係者に愛用されているイメージがあります。
それは品質の高さの証明でもあります。
値段と品質のバランスも良くもちろん自動車メンテナンスや色々な場面で役に立つ工具が揃っていますので人気があるのも頷けます。
特にモンキーレンチ、プライヤー、電動ドリル用先端パーツは、ハードな現場のプロ御用達ですので安心してお使い頂けます。
ホームセンターで、できるだけ安く最低限の工具を揃えるなら、トップとベッセルがあれば事足ります。
3.その他 プロお勧めの拘りたい便利工具
•エンジニア ネジザウルス
この工具が発売されたときは衝撃でした。
錆び付いて頭が丸くなったりネジ山が完全に潰れたビスも、これ1本で解決できるようになったのです。
強烈な喰いつきはこのメーカーならではの特殊な技術です。
•クニペックス
1882年、ドイツで産まれた、高品質ペンチ、プライヤー関連のメーカーです。
プロの電気工事業者間では有名な工具で、自動車メンテナンスで便利なのは、ウォーターポンププライヤー、バイスプライヤー、ペンチ、ニッパなどで使われます。
製品精度が大変高く、掴む力も強い為作業が楽になります。
•ロブテックス
1888年創業、今回紹介した国産工具の中では最古参。
ロブスターマークが特徴的な金属加工メーカーです。
クニペックス同様、電気、水道、建築関係でよく使われるプロ用工具メーカーです。
中でもモンキーレンチの精度は国産ではトップクラスです。
•アストロプロダクツ
様々なメーカーを扱う工具専門ショップ。
オリジナル製品も多くプロへの認知度も高いですが、便利な工具も多い反面、価格なりの製品もあるので見極めが必要です。
工具専門ショップとしては珍しく全国展開をしているので、メンテナンスオタクならふらっと遊びに行くだけでも楽しいショップです。
まとめ プロが求める工具は自身の信頼度から
様々な工具をご紹介しましたが、必ずしも高価な工具を揃えれば良いという訳ではありません。
まずはビギナー向けのセットを購入してみて、その後頻繁に使用する工具のグレードアップを少しずつ検討すれば良いと思います。
他人の評判だけで工具を揃えても、自分に合う合わない、オーバースペック、使いこなせない等の問題が後々出てきます。
本当の正しい買い方は、この作業の時間を短縮したい、確実にメンテナンスを行いたい、部品を傷めたくないという時にこそ適材適所の工具が見つかるものです。
また、安さだけに惹かれて信頼性のない国のノーブランド品を使うのは、逆に決定的なダメージを愛車に与えてしまいます。
自分自身が怪我をしてしまうといった事故に繋がることも実際にあります。
せっかく日曜メカニックからの脱却をしたかったのに、これでは本末転倒です。
もちろん、工具を揃えるのが趣味だという方もいらっしゃいますし、実際にプロは工具への投資は数百万円単位でも惜しみません。
私自身スナップオン、KTC、マックのフルセットキャビンを2〜3セットずつ買い揃えていますし、PB製ラチェットハンドルは見つけると必ず2〜3本は予備のために購入します。
あなたが満足できるのは
•確実なメンテナンスができた時ですか? •作業時間が短縮できた時ですか?
•美しい工具たちに囲まれている時ですか?
愛車との楽しい時間にもっと深みが増すように、工具を今一度見直してみませんか?
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