自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
あなたは、どれだけ自動車と触れ合っていますか? 洗車、掃除、エアーフィルターの交換、オイル交換、タイヤのローテーション、自動車のオーナーとしては触れ合う機会はいくらでもあります。
多くのオーナーは、数年乗ると次の自動車へと乗り継いでいきますが、もしあなたがいつまでもその自動車と付き合い続けたいと願うのであれば、元プロメカニックである私がその方法をお伝えしましょう。
1.日本の自動車は10万キロ以上走っても問題がない
多くの自動車が乗り継がれている現状ですが、その理由が飽きによるものであれば正常でしょう。 しかし、どこかの不具合や自動車ディーラーからの促しであれば、それは勿体無いです。 なぜなら、ずいぶん前から国産車は何十万キロも走っていても正常に走行するだけのポテンシャルを持っているのです。 それを証明するように、中東の国々ではこぞって日本車の中古車が乗り回されています。 それも、日本国内では解体車となった謂わば不要品です。 一体どれだけメーターが回ってしまっているのかも分からない、どれだけ故障歴があるかもわからない自動車がです。 昭和時代のオールドなバスが、スクールバスに使われている地域さえあります。 それほどまでに日本車の造りはしっかりとしているものなのです。 それを支えているのは、しっかりとした部品供給をしてくれる部品製造者がいるということが大きいでしょう。
古いものは排他していく先進国の精神とは裏腹に、古き良き物や技術を受け継いでいく日本独自の精神が、いつまでも走り続けられる自動車を支えているのです。
2.自動車の寿命を伸ばすためのメンテナンスの基礎知識
あなたの自動車が、今現在どんな状態にあったとしても少しでも良い状態にしておきたいと思いませんか? そのためには、あなた自身が自動車に対して誠実でなければいけません。
自動車を健康な状態で保つためには、ある程度のメンテナンスをしていかなければなりません。
外装はしっかりと洗車をして、金属部分にサビが発生していないかを把握していきます。
内装は掃除をすることで臭いを防ぎ、しっかりと換気することでカビの発生を防ぎます。
そして、自動車の心臓部分となるエンジンは、血液となるオイル管理を最低限することが必要です。
自動車が走るためには、タイヤの空気圧も調整が必要です。
メンテナンスの基礎知識としてはこんなものでしょう。
自動車に乗っていて、これらを賄ってくれるのが自動車定期点検、通称【車検】になります。
しかし、これだけでは何十万キロ、何十年も自動車を走り続けさせることはできません。
では、あなたがどう自動車と接していけば、自動車はいつまでもあなたと走り続けることができるのでしょうか。
3.アマチュア整備士のための自動車メンテナンス
ある程度自動車に乗っていれば、少しの不具合などはあなた自身の手で対処していくことができるはずです。 ただ、どこに不具合があるのかというフローチャートがわからないため、いちいち自動車ディーラーに持ち込まなければならないという大きな手間と高い整備代金を支払うことになっているのです。
ほんの少し、あなたが自動車のことを知ることで、この手間と費用を軽減してみましょう。
まず、自動車を正常な状態にすることから始めましょう。 外装は、単純に洗車するだけではなく、キズがあればコンパウンドを使って磨いてキズを消しましょう。
サビが発生しているのであれば、そのままにせずに上からタッチペンで塗り直しておくことで侵食の進行を食い止めましょう。
内装の劣化は、自信がない場合はほとんど手を付けることができません。 しかし、エアコンのフィルターぐらいであれば、あなたの自動車の取扱説明書に交換方法が書かれています。 フィルターも、カーケアショップに純正部品同レベルのものから向上品まで販売されていますので、交換してみましょう。
車内のカビ臭さは、エアコンによって充満しますのでこれは必須項目と考えても良いです。
エンジンオイルの交換も、決して難しいものではありません。
エンジン下部にあるドレーンボルトを外せば抜け落ちてきます。ただし、抜け落ちるオイルを受けるための受け皿を忘れずに。そのまま可燃ゴミに出せる受け皿がホームセンターでも販売していますので利用しましょう。
注意点は、ドレーンボルトを無くさないことと、締め付けすぎてドレーンボルトをねじ切らないことです。 交換するオイルは、価格によって性能が違いますが、オススメするのは【安いオイルを頻繁に交換】していくことです。 できることなら年間4回以上もしくは1,000〜2,000キロごとに交換するのがベストでしょう。 高いオイルを頻繁に交換できるならその方が良いですが、コストは安いに越したことはありません。
オイルフィルターも、毎年交換しておくとエンジンに優しく乗っていられます。
タイヤの空気圧は、いつでも同じ条件で調整しておくことが良いわけではありません。 一般道を、60キロの大人が乗車定員上限で乗車している状態でのベストな空気圧が設定されている空気圧になります。 しかし、それ以上の荷重がかかった場合、設定されている空気圧では足りません。
0.2程度高めに調整しておくことが必要になります。
高速道路を走行する場合も、同じように少し高めの空気圧に調整しておくと、回転部分への負荷を軽減できるので自動車に優しい状態に保てます。
荷重が軽い分には、設定されている空気圧で問題ありません。
しかし、空気圧を高くしすぎると、タイヤ自体の耐えられる空気圧があるので気をつけましょう。
4.少し自信がある方にオススメなメンテナンスポイント
普段から自動車のメンテナンスは自分でしているようなオーナーであれば、もう少し突っ込んだメンテナンスにも挑戦してもらいたいです。 エンジンからの回転をタイヤに伝えているシャフトを【ドライブシャフト】といいます。 このシャフトには【ブーツ】とよばれるゴムがついていて、オイルやグリースを保持している部品です。 しかし、この部品は劣化が早く、破れてしまっていることが多いのです。
これを放っておくと、エンジン内部に砂や埃が回ってしまったり、車軸が正常な回転をすることができなくなってしまい、最後には故障という事態に陥ります。
これを防ぐためには、ドライブシャフトを抜いてブーツを付け直すか、補修用に販売されているカバーブーツを上から被せてやる他ありません。 車軸が故障してしまうと身動きができませんので、このブーツの補修は確実にしておきましょう。
これは自信がなければ触れないほうが良い部分です。
部品価格で言えば一個数百円ですが、これを自動車ディーラーに依頼した場合、部品価格は倍以上になり、作業費用として高額な請求書があなたの前に差し出されます。 しかし、それをあなた自身で済ませられるなら、数千円で済む作業です。
やるかやらないかは、あなたの自信と相談しましょう。
5.まとめ しっかりとメンテナンスしておくことで自動車査定価額をアップさせよう
自動車メンテナンスをしっかりとしておくことは、いざ自動車査定のときに確実なプラス評価を受けることができます。 あなたは目の前にある自動車とどのように付き合っていきますか?
この先ずっとともに歩き続けるにしろ、別れを迎えるにしろ、今目の前にある自動車に最大の愛情を注いであげてください。
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