自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
トヨタRAV-4の事実上の後継車種として2016年12月14日にC-HRが販売される予定です。
少し小さめのコンパクトSUVクラスは、現在、2年連続SUV販売台数No.1のホンダヴェゼルがひとり勝ち状態ですが、C-HRがこれに待ったをかけられるでしょうか。
実は、C-HRの他にも2017年にはニッサン・ジュークのモデルチェンジ、スバルXVのモデルチェンジが控えており、2017年はコンパクトSUVクラスのトップ争いが過熱すると思われます。
現在販売されているコンパクトSUVクラスのオススメをご紹介します。
■トヨタ渾身の力作C-HR
C-HRはトヨタが練りに練って世に出す久々のコンパクトSUVです。
「走り」と「デザイン」に妥協しないという開発陣の言葉通り、まず一番目をひくのは有機的なエクステリアデザインでしょう。
ダイヤモンドのブリリアントカットをイメージしたというボディはあらゆる角度から光を反射するように、さまざまな面構成になっています。 そしてそれが、有機的でありながら、シャープなイメージを与える事に成功しているのです。
SUVらしい力強いフロントフェイスや、SUVらしいホイールフレアー、そしてLEDヘッドライトやシーケンシャル(流れる)LEDウインカーなどが先進性をアピールしています。
室内も、世界戦略車らしくモニターがダッシュボード上部に設置され、視線移動が少なくすむように設計されています。
上級グレードは、黒のファブリックとブラウンの本革表皮の切り替えが、まるでフランス車のようなお洒落な空間を演出しています。
搭載されるエンジンは1.8リッター直列4気筒エンジンのハイブリッドと1.2リッター直列4気筒ターボエンジンの2種類です。
トランスミッションはCVTのみの設定で、駆動方式は、1.8ハイブリッドがFFのみで、1.2リッターターボエンジンが4WDのみの設定です。
と、このように最新モデルだけあって非常に期待の持てるC-HRですが、残念な点が2つあります。
それは、4WDを選ぶとハイブリッドが選べず、ガソリンエンジンモデルしか選択できない点です。 売れ筋のハイブリッドに4WDを設定できなかったのは技術的な制約だと思いますが、ヴェゼルはハイブリッドでも4WDを選択できること考えると、もう少し頑張れなかったのかと残念です。
ハイブリッド+4WDということでC-HRからヴェゼルに流れるユーザーもありそうです。
もう一つは、リヤシートの居住性とトランクルームの広さです。 ルーフ部分が短く、リヤウィンドウがかなり寝かせているデザインのC-HRのリヤシートとトランクはデザインの犠牲になっている可能性があります。
デザイン上の制約とはいえ、後席を多用したりトランクにたくさん荷物を積む用途には向いていないでしょう。
■王者の貫禄、ホンダヴェゼル
ホンダヴェゼルはC-HRと同様に、クーペのような流麗なデザインが売りのコンパクトSUVです。 ヴェゼルも一見すると、コンパクトで室内が狭いように思える車です。
しかし、ヴェゼルはベースとなったFIT譲りのセンタータンクレイアウトによって、広い住空間と、多彩なシートアレンジが可能なトランクルームを持っています。
しかも、インテリアも後発のC-HRと比べると若干古さは感じますが、ジャズブラウンを選択するとダッシュボード、センターコンソール、ドアレストが明るいブラウンになり、お洒落でポップな内装を選択することができます。
エンジンは、1.5リッター直列4気筒エンジン+CVT、もしくは1.5リッター直列4気筒エンジンとモーターに7速のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)の組み合わせで、駆動方式はエンジンでもハイブリッドでもFFと4WDを選択可能です。
■ディーゼルオンリーのCX-3
マツダCX-3は、マツダのコンパクトSUVで、コンパクトクラスのデミオをベースに開発されています。
エクステリアデザインは、マツダ共通の「鼓動デザイン」を採用しており、兄貴分のCX-5と並べても引けを取らない堂々としたSUVらしいたたずまいを持っています。
室内も、モニターがダッシュボート上部にあることや、ステッチの入ったレザーの使い方が上手く、欧州車と見間違うような上品なデザインになっています。
また、アダプティブLEDヘッドライトや、交通標識の読み取り機能、ヘッドアップディスプレイなどの先進装備も装着可能です。
エンジンは、ディーゼルエンジンのみのラインナップでハイブリッドはありません。 トランスミッションは6ATと6MTを選択することが可能です。 国産車ではMTの選択肢がほとんどない中、マツダはがんばっています。
MT党の筆者は、是非ともCX-3をMTで乗ってみたいところです。
さて、そんなCX-3ですが、C-HR同様室内空間についてはヴェゼルに一歩譲る事になります。
後席は、大人の男性にとって必要十分ですが、ゆったりとくつろぐというわけにはいきませんし、トランクも350Lとそこそこの容量はありますが、トランクの出し入れが地上から760mm(ヴェゼルは630mm)もあるのでちょっと厳しいという評価です。
■3車種のどれがベストバイ?
C-HR、ヴェゼル、CX-3を代表的なコンパクトSUVとして紹介しましたが、どれも個性があって、これが一番とはいいにくい状況です。
あえていうと、後席に人を乗せたりキャンプ用品や自転車などを積んで、遊びに行くことが多い方、または、ハイブリッドの4WDが欲しい方はヴェゼルが最適でしょう。
後席やトランクルームをあまり必要としない方はC-HRかCX-3を選択するのも面白いでしょう。
CH-Rはハイブリッドとガソリンエンジン、CX-3はディーゼルエンジンのみと棲み分けが出来ているので、迷うことは少ないはずです。
■輸入車に目を向けると..こんな選択肢も
今回紹介した国産小型SUVは、グレードの高いモデルでおおそ300万ぐらいの価格レンジになります。
300万円払えば、実は選択肢は輸入車にまで広がるのです。
例えば、JeepレネゲートはJeepの一番小さな弟分ですが、ポップでありながら無骨なデザインで現在大人気です。
レネゲートのLONGITUDEは、直列4気筒1.4リッターターボエンジン(140ps)と、6速のデュアルクラッチトランスミッションで297万円と300万円を切る価格で購入可能です。
レネゲートと兄弟車のフィアット500Xは、レネゲートとは真逆の可愛くてお洒落なインテリアとエクステリアデザインが好評のモデルで、レネゲートLONGITUDEと同じエンジン同じトランスミッションのグレードが286万で購入可能です。
また、2016年12月上旬時点で本国ではモデルチェンジ済みのMINI CROSSOVERですが、現行モデルでは、MINI CROSSOVER ONEが275万円から購入可能です。
もう少し足して340万円払うと、BMWの最新ディーゼルエンジンを搭載したMINI CROOSSOVER COOPER Dが購入できてしまいます。
■来年登場予定の国産小型SUVも含めて2017年は小型SUVが熱い!
来年にはニッサンジュークのモデルチェンジが予定されています。 ジュークはニッサンノートと同様のシリーズハイブリッドを搭載されるのではないかと予想されていますし、スバルXVも来年インプレッサのモデルチェンジに続いてモデルチェンジされると言われています。
そして、スバルXVはトヨタのハイブリッドシステムを採用するという噂もあります。
このように、2016年から2017年にかけて、ニューモデルが続々登場予定のコンパクトSUVのマーケットは、来年2017年はとても盛り上がること間違いなしです。
筆者も来年は車検ですし、コンパクトSUVには大変興味があるので、買い換えを検討しています。
自動車メーカーにはがんばって頂き、面白い車をたくさん世に出してほしいものです。
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