自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
これまでたくさんの商用車の査定をしてきましたが、どの自動車も重い荷物を積み込まれてきているため消耗しきっているものが殆どでした。 しかし、消耗する部分は決まっているので、自動車査定士としてはとても仕事のしやすい部類の自動車なんです。
そんな経験の中から、商用車を売却する際のポイントをお伝えしたいと思います。
1.商用車はハードコンディション
商用車は、基本的に業務用に装備などを最小限にして貨物を最大限に積載できるように作られています。 そして、負荷がかかるのは貨物積載部分と後輪の車軸部分、それにブレーキになります。
商用車の場合、ココのダメージの大きさを見ることでその車両の使われ方の来歴が概算的に読み取れるのです。
そして、運転席でブレーキペダルのゴムの減り具合も同時に確認します。 重い貨物を積載した自動車を止めるには早めのブレーキが必要になります。 ブレーキは必ず焼けてしまっていますし、ミッションもかなり負担を負っています。 運転席も助手席も、シート生地のコストを下げているため損傷がある場合もあります。 外装に至ってはキズ・ヘコミ・サビがあって当たり前という状況です。 売却するには条件的には宜しくないのは明らかですよね?
これが商用車という自動車の現実です。
2.意外と商用車は一般車よりもニーズがある
上でご説明した通り、商用車というのは物凄いハードコンディションなものがほとんどになります。 しかし、それでもなお商用車のリユースは引く手数多な状況です。
それはなぜなのでしょう?
そのタネ明かしは、商用車は新車で購入しようと思うと一般車よりもコストが掛かるのです。 確かに一般車に比べて装備などはコスト削減されているので、新車購入代金としては安いです。 しかし、その後仕事をすると考えた場合、この新車価格は決して安いものではないのです。
いったい何年掛けてその購入コストを回収できるのかと考えた場合に、商用車を新車購入してしまうと時間が掛かりすぎるのです。
そのため、商用車の中古車市場はいつでも盛んに動きを見せています。 軽トラック・商用バン・2tトラック・ユニックなど、全てがしっかりとした金額にて取り引きされているのです。 ヤフーオークションなどを見てみると、10万円前後で商用車の取り引きが行われています。
しかし、このほとんどが10万キロ以上の走行距離であったり、メンテナンスが行き届いていないので購入後すぐに故障してしまうなどという保証対象外のものばかりです。
買い取り業者を通した取り引きの場合、買い取ったあと店頭販売に回すか、自動車業者オークションに回されるのが一般的です。 このオークションは、過走行などもしっかりとデータを確認していて、メーターの距離が違うものや事故車の場合、通常車両としてのオークションに通せないことになっています。
そのため、購入者としては安心して中古車両を購入することができるのです。
あなたが所有している商用車を売却する際に、しっかりとした業者を通すことで今後の信用にもつながってきます。 また、自動車査定一括見積りを利用することでどの店舗が一番高く買い取ってくれるかが分かります。 あなたが車両を購入した自動車販売店へ自動車査定を持ち込んでも、正直大した査定価額は提示してもらえないでしょう。 それは、これまでの来歴と車両の状況を少なからず理解しているのと、今後自分の店舗が負う在庫リスクというものを考えた結果なのです。
では、どうしたら自動車査定価額を出来る限りアップさせることができるのでしょうか。
3.商用車を高く査定してもらうポイント
商用車の場合、査定に関わるポイントは一般車よりも単純です。
・外装の状態 ・貨物積載部分の劣化度合い
・12ヶ月点検でのメンテナンス履歴
以上の3点です。 外装状態が良ければ、ほとんどが磨き上げるだけで終了です。 もしキズやヘコミがあったとしても、軽度であれば店舗でも直さずに販売してしまうのですが、底はしっかりと査定されてしまうのでパテ埋めで収まる範囲であればあなた自身で埋めてしまいましょう。 ありがたいことに、商用車の塗装は難しい色使いをしていません。
少しだけ手間ではありますが、ホームセンターにある部材で全てまかなえますので、全部ではなくとも直してしまいましょう。
そして、外装で一番問題にされるのが【黒プラスティック部分】です。 少しでも擦った後は白くなってしまいます。 この白くなってしまったままの状態が一番ダメな状態です。 線キズでも擦りキズでも白くなってしまう上に、その範囲全てが査定範囲になりますので、減額査定対象のトップポイントです。 一番良いのはボディ部分を隠して黒スプレーで塗装してしまうことです。 部分的にではなく、プラスティック部分全てです。 これをやっておくのとやっておかないのとでは、自動車査定価額は大きく変化します。 もし塗装範囲がバンパー全体になってしまうような場合は、一度外して塗り直してしまえば簡単に塗り直せます。
コーナー部分にあるガード部品は、外すと取り付け部分の爪が折れてしまうのでボディを隠して塗ってしまいましょう。
貨物積載部分の破損やサビは、直すのに確実に金額が掛かってしまいますので、余程自信がある方でない限り手を出すのはやめておきましょう。 たとえサビを塗り直しておいても、叩いた時の音で判断するので誤魔化せません。 通常サビてしまった鉄板部分は、大きく切り取った状態で鉄板を溶接しなおして塗装をします。
そこまでの技術が無いと判断できる場合、とりあえず塗り直すのも悪くはありませんが、色合わせなどに手間を避けないと思いますので放置しておいても構いません。
12ヶ月点検のメンテナンス状況はメンテナンスノートに記載されているのであなた自身が何かをする必要はありません。
4.まとめ
新車購入価額が安い分、商用車の買い取り相場は一般車の査定価額と比べると大きく下がってしまいます。
しかし、要点をおさえてあなた自身が手を加えてやることだけでその査定価額をアップさせることが可能です。
普段から使い方を優しくすることで査定価額は高くなりますが、仕事で使う自動車にそれはなかなか難しいので、売却を考え始めたら少しずつ手を掛けてやることをオススメいたします。
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