【ホンダ・トヨタ】採用の進むダウンサイジングターボのメリットとは | カーライフマガジン

2017年夏、マイナーチェンジしたトヨタ・ハリアーに2リッターターボモデルが追加され、350Nmという3.5リッターエンジン並のトルクを1650rpmから発揮する事などで注目されています。

このようなこれまでは大型のエンジンを搭載しなければ得られなかった出力(馬力)やトルクをターボの力を使って小型のエンジンで実現するものを「ダウンサイジングターボ」と呼んでいます。

■ダウンサイジングターボの歴史

ダウンサイジングターボを初めて市販車に採用したのは2005年に発売されたフォルクスワーゲン・ゴルフの5型GTIでした。

久しぶりに復活したGTIの目玉として投入されたのが、200馬力の出力と280Nmのトルクを持った4気筒2リッターターボ2.0TFSIエンジンでした。
実は筆者はこのGTIのオーナーだったのですが、この車を初めて運転した時にフラットなトルク特性による低速低回転域からの圧倒的なパワーとエンジンの吹け上がりの良さに感動したものです。

その後、フォルクスワーゲンは1.4リッターや1.2リッターにターボを加えたダウンサイジングターボエンジンを一般的なグレードにも採用しました。

そして、現在ではBMWやメルセデス・ベンツといった高級車メーカーでさえダウンサイジングターボエンジンを採用しています。

スポーツカーメーカーのポルシェですら911の3.4リッター6気筒NAエンジンから、3リッター6気筒ターボエンジンに「ライトサイジング」するなど、その波は広がっているといえるでしょう。

その最たるものが、BMW3シリーズの318iや、メルセデスベンツC180です。
318iはなんと、あの大柄なボディーを3気筒1.5リッターエンジンで不満無く動かすことができるというのですから驚きです。

このように、すでにヨーロッパのメーカーでは「小排気量エンジン+ターボ」によるダウンサイジングターボエンジンを搭載するのが一般的になっています。

■ダウンサイジングターボのメリットとは

ダウンサイジングターボエンジンのメリットはどこにあるのでしょうか。
それは、ドライバビリティの向上と環境性能の向上です。

ダウンサイジングターボは、ターボエンジンといっても容量の小さいターボチャージャーを採用し、ブーストなどを細かく制御することによって、効率的にパワーを引きだすことを実現しています。
そしてそれだけでなく、そもそものエンジンの排気量が下がっていることもあり、NAエンジンよりもパワーが上がって効率が良くなり、結果として燃費が良くなるということなのです。

また、ヨーロッパではDCT(デュアルクラッチトランスミッション)や、6速以上のトルクコンバーター型のATの採用があり、さらに運転のしやすさと環境性能を向上させることとなりました。

ヨーロッパでは、日本で主流のハイブリッドのようにモーターやバッテリーを搭載することなく燃費やパワーを改善することができるので、ハイブリッドよりもダウンサイジングターボが一般的になっていったのです。

■日本でダウンサイジングターボが流行しなかった理由

日本ではつい最近までダウンサイジングターボを採用した国産車は販売されていませんでした。

どうして日本ではダウンサイジングターボが主流とならなかったのでしょうか

その理由の一つは、日本はハイブリッド車が主流だったことにあります。
2000年代の国産メーカーはプリウスから始まったハイブリッド車のブームが絶頂で、ダウンサイジングターボに目がいかなかったということが考えられます。

また、もう一つの理由はダウンサイジングターボの制御の難しさにあるでしょう。
日本のメーカーにはダウンサイジングターボを研究していなかったため、すぐにはダウンサイジングターボを作ることができなかったという理由もあるでしょう。

そして最も大きな理由は、渋滞によるストップアンドゴーの多い日本の交通状況でしょう。
ハイブリッドが搭載するモーターの方が発進時のトルクが強いため、停止状態からの出だしが良く、渋滞状況ではハイブリッドのほうが燃費性能が高いために、燃費の面ではハイブリッド車の方にメリットがあると考えられます。

そんなこともあり、あえてハイブリッドから方針の転換をする必要がないと考えたのでしょう。

■今後の展開はどうなる?

では、今後国産メーカーでのダウンサイジングターボの採用は進むのでしょうか。
日本国内でも、ダウンサイジングターボのドライバビリティがよいことが認められてきて、採用例が増えてきています。

特に現在注目されているのは、レクサスやトヨタ車に採用されている直列4気筒2リッターターボエンジンと、トヨタC-HRに採用されている1.2リッターターボエンジンです。

そのほかにも、スバルの水平対向1.6リッターターボエンジンなどもダウンサイジングターボと言えるでしょう。

ホンダはステップワゴンで1.5リッター直噴VTECターボを採用しています。
最近発表された新型シビックにも1.5リッター直噴VTECターボ、シビックタイプRには2リッターVTECターボで320馬力400Nmを達成しています。

このようにダウンサイジングターボエンジンは、環境性能だけでなくパワー重視のエンジンとしても使用することができるのがメリットです。

■まとめ

今後、国産車でもダウンサイジングターボエンジンはある程度普及していくとみられています。
しかし、すでにヨーロッパの自動車メーカーは電動化に舵を切り始めています。

日本でもダウンサイジングターボは、ヨーロッパの後追い状態ですが、欧州メーカーが進めている電動化技術についてはハイブリッドでつちかったバッテリーとモーターの技術で、世界の先端を進んでいって欲しいものです。

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