2018年の夏はたいへん暑かったように記憶していますが、気がつけばもう冬の足音が近づいてきています。
雪国にお住まいの方は別として、東京のような都市圏では冬のあいだスタッドレスタイヤに交換するという方は少数派ではないでしょうか。
とはいえ、東京でも年に1度や2度は雪が積もることもありますし、数年から10年に一度は記録的な大雪で交通が麻痺することもあります。
だからといって年に1回あるかないかの雪の日のために、高価なスタッドレスタイヤを購入し、保管場所を確保して年に2回タイヤ交換するのは無駄じゃないかと思う人が多いのも当然のことです。
なにか良い方法はないのでしょうか?
今回はそんな悩みに応えることができるオールシーズンタイヤの紹介です。
スタッドレスタイヤとサマータイヤの違い
スタッドレスタイヤとサマータイヤの違いはどこにあるのでしょうか。
スタッドレスタイヤのトレッド面(地面と接する部分)をよく見ると、タイヤのブロックの中に細かい溝(サイプ)が刻まれているのが確認できます。
雪や氷で車のタイヤが滑ってしまう大きな理由は、車の重さで雪や氷が溶けてタイヤと雪面の間にうすい水の膜ができてしまうことです。
この水の膜によって、サマータイヤはグリップが効かなくなりスリップしてしまうのです。
それに対して、スタッドレスタイヤはトレッド面につけられた細かい溝のおかげでタイヤと雪や氷のあいだに溜まった水を吸収して排出することができるのです。
この溝があることと、雪の降る日でも固くならなない柔らかいゴムのおかげてスタッドレスタイヤは雪道でも安心して走行することが可能です。
スタッドレスタイヤを1年中履きっぱなしにしたらどうなる?
じゃあ、いっその事スタッドレスタイヤを購入して1年中スタッドレスタイヤで過ごせばいいじゃないか、と考える人もいるかもしれませんが、一般的にスタッドレスタイヤを雪のない路面や夏期に使用することは”危険”だと言われています。
その理由は2つあります。
スタッドレスタイヤのゴムは柔らかい
スタッドレスタイヤのゴムは雪や氷のあるような低温でも柔らかさを保つことができるようにゴムが柔らかくなっています。
柔らかいゴムは熱に弱いため、夏などのタイヤの温度が高温になる状況では、ゴムが加熱してタイヤが早くすり減ります。
それだけなら交換時期が早まるだけなので安全面では問題がないのですが、トレッド面に細かい溝が刻まれているスタッドレスタイヤは、タイヤのブロックの高さが高くなっています。
柔らかいゴムと高いブロックによって、車がコーナリングする時に踏ん張る力がサマータイヤと比べると大きく劣ってしまいます。
夏にスタッドレスタイヤを履いて飛ばしすぎるとカーブを曲がりきれなくなる可能性があるのです。
スタッドレスタイヤは雨に弱い!?
スタッドレスタイヤのトレッド面には細かい溝が刻まれていて、雪の日にはこの溝がタイヤと雪面の水をかき出してくれると説明しました。
しかし、逆に雨の日には大量の水が路面に発生し、スタッドレスタイヤに刻まれた細かい溝のなかが水で溢れてしまいます。
そうなると、水を排出することができなくなり、サマータイヤよりも水の排水性能が低下してしまします。
その結果、高速道路などの水たまりにスタッドレスタイヤで突っ込むとハイドロプレーニング現象が発生してコントロールを失ってしまうことが考えられます。
このように、スタッドレスタイヤを装着したまま1年を通して過ごすことはあまりおすすめできないと言えます。
いいとこ取りのオールシーズンタイヤって知ってた?
スタッドレスタイヤは、雪国などの過酷な状況に対応するために開発されたタイヤです。
積雪の少ない地域で、冬の間だけスタッドレスタイヤに交換ためには、タイヤを2セットの保管場所も考えなければなりません。
数年に1度あるかないかの雪のためにそこまでの準備はできないよという都会のドライバーに向けた良い方法はないのでしょうか。
実は、積雪の少ない地域でスタッドレスタイヤを買わずに多少の雪道でも走ることのできるタイヤがあるのです。
それが、”オールシーズンタイヤ”と呼ばれるタイヤです。
オールシーズンタイヤの特徴
オールシーズンタイヤの特徴は、雪のない路面での走行性能と雪道の走行性能を両立させている点です。
日本で購入することができるオールシーズンタイヤはグッドイヤーのVector 4Seasons(ベクター フォーシーズンズ)とピレリのCinturato ALL SEASON(チントゥラート オールシーズン)があります。
とくに、グットイヤーのVector 4Seasonsは、日本の高速道路での冬用タイヤ規制でも走行可能となっていて、降雪が少ない場合には、安心して走らせることができるのです。
しかし、オールシーズンタイヤといっても万能なわけではありません。
オールシーズンタイヤでは雪道(圧雪路)をある程度のグリップで走ることができますが、アイスバーンやシャーベット状の雪道のような過酷な路面では簡単にスリップしてしまいます。
雪国に行く場合にはオールシーズンタイヤを過信せずにチェーンも準備しましょう。
また、逆にドライの路面ではサマータイヤほどグリップが高いわけではなく、低燃費タイヤのように転がり抵抗が低いわけではありません。
また、タイヤからの騒音も静音タイヤに比べるとどうしても大きくなってしまいます。
とはいえ、突然の積雪にも対応可能で、1年中履きっぱなしで過ごすことができる点にメリットを感じる人も多いのではないでしょうか。
実は、ヨーロッパでは国境を超えて長距離移動する事が多いため、スポーツカーなどの特殊な車を除いた普通車には標準装着のタイヤとしてオールシーズンタイヤのような特性を持ったタイヤが装着されていることが多いのです。
もし、突然の雪が心配で、そろそろタイヤ交換も考えないとなあという時期の方、今年の冬に備えてオールシーズンタイヤを検討してみるという選択肢もありますよ。
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