2016年、日本最高峰のスーパースポーツカーが復活をとげます。
その車の名はNSX。
スポーツカーにそれほど興味のない方でも、名前ぐらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
1990年にホンダから発売された初代NSXは、日本初のスーパーカーとして車ファンを熱狂させました。
フェラーリ328以上の性能を目指してチューンアップされたその走りは、日本だけでなく世界中のドライバーを夢中にさせたのです。
そんな名車である初代NSXが発売されてから26年。
満を持して登場する新型NSXとは、どんな車なのでしょうか。
初代モデルとの比較を交えつつ、その魅力に迫ってみましょう。
■ワンランク上のスーパースポーツカー
NSXを一言で表現するなら、「ホンダが威信をかけて創りあげたスーパースポーツカー」となります。
初代NSXが登場した当時も、「R32GTR」や「Z32型フェアレディZ」などの国産スポーツカーは存在していました。
しかし、NSXはそれらの車とは一線を画すモデルといえます。
というのも初代NSXがライバルとしていたのは、世界の高級スポーツカーだったからです。
初代NSXの走行性能は、世界的に見ても一級品。
アイルトン・セナなどのアドバイスを受けて磨かれたその走りは、多くのドライバーを唸らせました。
また、ボディーの製造がほぼ手作業で行われていたことからも、いかに初代NSXが特別な車だったかがうかがえます。
当然ながら、新型NSXもいわゆる普通のスポーツカーではありません。
ホンダがもつ技術力を結集した、ワンランク上のスーパースポーツカーと呼ぶに相応しいモデルに仕上がっています。
●初代とは異なる特徴をもつ新型NSX
世界に誇れるスポーツカーである点は、新旧のNSXどちらも同じです。
ただし、車としての特徴はかなり異なったものになっています。
ここでスペックを比較しながら、初代と新型の違いについて見てみましょう。
まず、初代モデルについて。
初代NSXの車体サイズは、全長が4,430mm、全幅が1,810mm、全高が1,170mmとなっています。
車重は1,340Kgと軽く、この車体にV6 3,179ccのNAエンジンが搭載されていました(以上は最終型MT車のデータ)。
エンジンレイアウトはMR(エンジンが車体中央にあり、後輪で駆動する方式)が採用され、トランスミッションは6速MTまたは4速ATとなっています。
続いて新型のスペックを見てみましょう。
新型NSXの車体サイズは、全長が4,470mm、全幅が1,940mm、全高が1,215mmとなっています。
初代と比べると少し大柄ですね。
車重も1,725Kgと、初代より約400Kgも重くなっています。
この車体に搭載されるエンジンは、V6 3.5Lのツインターボ。
これに加えて、新型NSXには3基のモーターも搭載されます。
そう、新型NSXはハイブリッドカーなのです。
さらに駆動系式はAWD、トランスミッションは9速DCTと、新型NSXには初代とかなり異なるシステムが採用されています。
ちなみに、新型のエンジンとモーターを合わせた最高出力は573psと強力。
こうしたスペックを見るだけで、新型NSXが初代とは次元の異なるマシンになっていることを理解できるのではないでしょうか。
■新型NSX開発への道のり
前述のとおり、新型NSXは初代とはかなり違った特徴をもつモデルとなっています。
なぜホンダは、新型をここまで初代と異なる車に仕上げたのでしょうか。
実は新型NSXの開発初期において、エンジンとモーターの併用は検討されていませんでした。
2008年に企画されていた新型モデルには、V10 5Lエンジンの搭載が予定されていたのです。
しかし、この大排気量モデルの開発は、同年9月に発生したリーマン・ショックのあおりを受けて頓挫。
以後新型NSXの開発が再開するのは、2011年の震災を経てからのことになります。
ふたたび新型制作の企画が立ち上がったとき、NSXは新時代を象徴するスポーツカーを目指すこととなりました。
そこで、3基のモーターを搭載したハイブリッドカーというコンセプトが浮上したのです。
●時流の流れに沿ったモデル
車ファンの中には、新型NSXにV10エンジンが採用されなかったことに不満を持つ人もいるようです。
しかし、ホンダのとった選択は時流の流れに沿ったものだといえます。
排気量の大きさでパワーを稼ぐ車づくりは、もはや時代遅れ。環境問題が深刻化する昨今、車業界は排気量を抑えつつパワーを引き出す技術を競うようになっています。
NSXに採用されたシステムも、こうした時代背景を汲んだものといえるでしょう。
また、経済的に見ても、ホンダの選択は正しいものといえます。
巨額の費用をかけてV10エンジンを制作しても、その技術は一般向けの車開発に活かすことができません。
しかし、ハイブリッドの技術はセダンやSUVから軽自動車に至るまで、幅広く応用できます。
車メーカーにとって、技術開発はひとつの大きな投資です。
どうせ費用をかけるなら、より汎用性のある技術を開発したいと思うのは当然のことでしょう。
こうした視点で見ると、新型NSXにハイブリッドシステムが採用されたことも納得がいくのではないでしょうか。
■NSXっていくらで買えるの?
ここまで読んでいただいた方の中には、「新型NSXのオーナーになりたい」と考える方も多いかもしれませんね。
ホンダの最新技術が詰まったスーパースポーツカーですから、所有してみたくなるのも当然です。
そこで気になるのが、新型NSXの価格。
ホンダ最高峰の車はいくらで買えるのでしょうか。
答えを述べましょう。
新型NSXの価格は、ベースグレードでなんと約1,900万円!
分譲マンションが買えそうな値段ですね。
ちなみに、同程度の値段で新車の「ポルシェ911カレラ4 GTS」や中古の「フェラーリ458イタリア」が購入できます。
新型NSXはこれらの名だたるスポーツカーと同等か、それ以上の性能を誇るモデル。やはり値段も同じレベルになってしまうようですね。
●中古の初代NSXなら手が届く?
多くの方にとって、新型NSXは手の届かない高額な車といえそうです。
では、中古の初代NSXならどうでしょうか。
25年前に開発された車ですから、安く買えそうな気がしますね。
もちろん初代NSXは新型ほど高額ではありません。
とはいえ、その中古車価格は300万円台から。
程度のよい車両となると、700万円以上の値がつくことも珍しくありません。
実は、日本で販売された初代NSXはわずか7,400台程度。
その希少性からファンの間でプレミアがつき、中古価格が高騰しているのが現状です。
700万円あれば、ほとんどの国産車が新車で購入できます。
初代NSXも決して気軽に買える車ではないといえそうですね。
■まとめ
新型NSXの発売は、2016年の車業界において最大級のトピックとなることでしょう。
NSXは「日本で唯一のスーパーカー」と称されたモデル。
そのスーパーカーがパワーアップして帰ってくるのですから、車好きなら期待せずにはいられませんね。
国内での販売が始まれば、試乗会が開催される可能性も大。
チャンスがあれば、ぜひ実際に新型NSXのハンドルを握ってみてください。
きっとその魅力に惚れ込んでしまうことでしょう。