かつての日本において、オープンカーは憧れの対象でした。
風を感じながら走る開放的なスタイルは、まさに羨望の的だったのです。
しかし近年、日本のオープンカー人気は影を潜めています。
ミニバンなどの便利な車の人気に押され、オープンカーはすっかり日陰の存在となっているのです。
一方で海外に目を向けると、オープンカーのラインナップが充実しています。
ラインナップが多いということは、それだけ需要があるということ。
なぜ、これほど日本と海外でオープンカーの人気に違いがあるのでしょうか。
お国柄の違いのせい?
それとも国産オープンカーに魅力がないからでしょうか。
本記事で、その答えに迫ってみましょう。
新車あるいは中古で買える魅力的な国産オープンカーもたくさんご紹介しますので、ぜひご一読ください。
■なぜ日本でオープンカーは不人気なのか
日本においてオープンカーが不人気である理由は、いくつか考えられます。
まずあげられるのが、日本独特の気候。
オープンカーは夏に楽しむものというイメージがありますが、日本の夏は高温多湿です。
現代人は空調の効いた室内で過ごすのが常ですから、わざわざ屋根や窓のない車に乗ろうとは思わないのかもしれませんね。
次に考えられるのが、オープンカーの不便さ。
多人数で乗れるミニバンやSUVと違い、オープンカーの多くは2人乗りです。
荷物を置くスペースもほとんどないので、実用性はほとんどないといってよいでしょう。
以上の点をまとめると、快適性がなくて不便であることがオープンカー不人気の大きな要因と考えられます。
●オープンカーは外車の専売特許?
冒頭でも触れましたが、海外の自動車メーカーのカーラインナップには、当たり前のようにオープンカーが用意されています。
フェラーリには458スパイダーが、フォルクスワーゲンにはビートル・カブリオレが、といった具合に、各メーカーがこぞってオープンカーを販売しているのです。
ヨーロッパの中でも南欧は気候が温暖なため、オープンモデルの需要は自ずと高くなります。
では、オープンカーは外車だけの専売特許なのでしょうか。
いえ、そうではありません。
日本にも魅力的なオープントップモデルは多数存在します。
次節からは、日本のオープンカーをチェックしてみることにしましょう。
■新車で購入できる国産オープンカー
新車で入手できる国産のオープンカーはいくつか存在します。
その中でも特に人気のモデルとなっているのが、マツダの「ロードスター」です。
ロードスターといえば、1989年に発売されて世界的な大ヒットを記録した国産オープンスポーツカー。
現在新車で入手できるロードスターは、4代目モデルにあたります。
現行型ロードスターの魅力は、なんといってもそのスタイリッシュなフォルム。
マツダ車のエッセンスが凝縮されたボディデザインは、一瞬で見る人を惹きつけます。
もちろん屋根をオープンしても、ロードスターの洗練されたスタイルは崩れません。
絶妙なボディレイアウトにより、車だけでなくオーナを引き立たせてくれますよ。
ちなみにロードスターの屋根はソフトトップで、開閉は手動です。
とはいえ、屋根の開閉操作は実に簡単。
数秒で屋根を閉じることができるので、急な天候の悪化にもスムーズに対処できます。
●軽規格で楽しめる本格オープンカー
ロードスター以外にも、新車で入手可能な国産オープンカーは2モデルあります。
その2モデルとは、ダイハツの「コペン」とホンダの「S660」。
この2車種はどちらも軽自動車です。
オープンカーは2シーターのモデルが多いため、メインの車に選びにくいもの。
ですが維持費の安い軽自動車なら、セカンドカーとして気軽に楽しめるのではないでしょうか。
コペンはFFレイアウトを採用した、本格的なオープンカーです。
ボディタイプはテイストの違う3種類が用意されており、屋根は電動開閉できるハードトップ。
開閉時間は20秒と速く、ボタン一つでいつでもオープンとクローズを切り替えられます。
一方のS660は、より本格的な走りが楽しめるオープンスポーツカーです。
エンジンレイアウトには名車NSXと同じミッドシップが採用されており、旋回性能は本格スポーツカーに引けを取りません。
国産オープンカーでスポーツ走行を楽しみたい方にとって、S660は最適のモデルといえるでしょう。
なお、S660の屋根は軽量化のためにソフトトップとなっていますが、着脱はとても簡単ですよ。
■中古で狙える国産オープンカー
ここからは、中古市場に流通している国産オープンカーをご紹介しましょう。
歴代の国産車には、バラエティに飛んだオープンカーが存在しています。
気に入るモデルが見つかったら、中古市場をチェックしてみるのもよいでしょう。
・旧型ロードスター
先ほどは新型ロードスターをご紹介しましたが、旧モデルもいまだ高い人気を博しています。
特に初代ロードスターの人気は根強く、20年以上前のモデルに60万円以上の値が付くことも珍しくありません。
・S2000
ホンダが1999年に発売した本格オープンカー「S2000」。
S2000のスポーツカーとしての完成度は非常に高く、当時のスポーツカーファンを熱狂させました。
現在S2000にはプレミアが付いており、程度のよい中古車に400万円以上の値がつくことも珍しくありません。
・MR-S
MR-Sは、トヨタが販売していたオープンカーです。
ミッドシップレイアウトが採用されており、屋根は手動開閉のソフトトップ。
軽量で運転そのものを楽しみやすいモデルとなっています。
・フェアレディZロードスター
Z33系フェアレディZのソフトトップモデルです。
グラマラスでスタイリッシュなボディデザインは、日本車であることを忘れさせるほどに洗練されています。
大人に似合う国産オープンスポーツをお探しの方に、フェアレディZロードスターは最適なモデルといえるでしょう。
・ビート
ビートは1991年にホンダが発売した、軽自動車規格のオープンカーです。
エンジンレイアウトは、先ほどご紹介したS660と同じくミッドシップ。
NAエンジンでありながら最高出力64PSを誇る、元気のよいモデルとなっています。
・カプチーノ
カプチーノは、ビートと同時期に発売されたオープンタイプの軽自動車です。
ビートはソフトトップを採用していますが、カプチーノの天井は着脱式のハードトップ。
取り外しには手間がかかりますが、キビキビした走りにはそれを補うほどの魅力があります。
●スポーツタイプ以外の国産オープンカー
すべてのオープンカーが、スポーティーな性能を追求しているわけではありません。
中古市場を探せば、スポーツカーとは違ったテイストの国産オープンカーも見つかります。
・マイクラC+C
マイクラC+Cは、日産マーチをベースとして生産されていたオープンカーです。
ベース車両からわかるとおり、マイクラC+Cはスポーティーな車ではありません。
とはいえ電動開閉トップを装備するなど、オープンカーとしての機能は本格的。
オープン走行を気軽に楽しめるモデルとなっています。
・レクサスISコンバーチブル
2代目レクサスISのコンバーチブルモデルです。
レクサスらしい高級感と、4人乗車できるシートを持つことがISコンバーチブルの魅力。
オープンの開放感とレクサスの上質さを同時に味わえる、贅沢なモデルとなっています。
■まとめ
以上、新旧の国産オープンカーをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
たしかに、オープンカーにミニバンの便利さや快適さはありません。
しかし、オープントップが与えてくれる開放感は、車に乗る喜びを思い出させてくれるはずです。
もし本記事を読んでオープンカーに興味を持ったなら、ぜひ試乗などを利用してその魅力に直に触れてみてください。
初めて車に触れたときの感動が、ふたたび蘇ってくるかもしれませんよ。