自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
ドライブを楽しんでいる時、突然ハンドルに違和感…
走行中、急に自動車の下から削れるような音がして、慌てて降りたらタイヤが無残にパンクしていた。
この状態に気付かず走行すれば、大事故を起こしてしまう可能性もあります。
自動車にとってエンジン同様に軸となる足回り。
タイヤも重要な役割を果たしているからこそメンテナンスが大切です。
小さな穴のパンクの修理からバーストした時の対策まで理解しておけば慌てずに済みます。
緊急事態に慌てて巻き込み事故を起こさない為にも、パンクした時の対策や修理の極意を徹底追求していきます。
1.タイヤの基本構造を知ろう!
タイヤは、表面だけ見ると硬いゴムでできていると感じます。
しかし、その構造はいくつもの素材が重なっているのです。
•トレッド部(地面と直接接している部分) •サイドウォール部(タイヤの側面部分) •ショルダー部(トレッド部とサイドウォール部のつなぎ目部分) •ビート部(サイドウォール部の末端でホイールに取り付けられている部分) •ベルト(タイヤの補強帯)
•カーカス(タイヤの骨格)
これらの部材の元で、構造の違った2種類のタイヤが作られています。
•バイアス構造
カーカスが回転方向に対して斜めに配置されているのが特徴。
斜めに配置する事で、サイドウォール部の剛性が高く、高荷重に耐える事ができます。
その反面、高速走行の安定性には欠くので、小型・中型のオートバイや小型車向けです。
•ラジアル構造
カーカスが回転方向に対して放射線上に配置されているのが特徴。
柔軟性のあるサイドウォール部によって、道路の接地面が安定するので高速走行での乗り心地が良く快適に走れます。
高速道路の普及や道路状態が良くなっている昨今、乗用車にはラジアルタイヤが主流です。
2.走行中タイヤがパンクしてしまったら?
「走行中、タイヤがパンクしてしまった!」
ドライバーは慌てず、的確な対処をしなければいけません。
1.安全な場所に停車する
パンクに気が付いたら素早く安全な場所に停車する事。
そのまま長距離を走るのは、タイヤを傷めてしまい修理が不可能になります。
2.交通の安全に配慮する
路肩に停車した場合、ハザードランプを点灯させ周囲の安全を確保します。
高速道路で停車した場合は、三角停止板を設置、発煙筒などで停車している事を知らせて下さい。
3.スペアタイヤがある場合
スペアタイヤがあれば、すぐに交換します。
自分で交換できない時には、JAFか任意保険のロードサービスへ連絡して下さい。
4.スペアタイヤがない場合
最近の自動車には、スペアタイヤの代わりに【パンク修理キット】が搭載されています。
スペアタイヤを交換するよりも作業は簡単です。
修理キットを使って、自分でパンクを修理し応急処置をします。
5.パンクしたタイヤの対応
パンクの状態にも修理可能なものと不可能なものがあります。
•パンク修理剤の有効期限が切れている •タイヤが2本以上パンクしている •タイヤの側面が損傷してパンクしている •タイヤがホイールから外れてしまっている •ホイールやエアバルブなどタイヤ以外に損傷がある •タイヤに4mm以上の傷がある
•1本のタイヤに2ヶ所以上の傷がある
これらは応急処置での対応は不可能です。
その際はJAFか任意保険のロードサービスへ連絡して下さい。
それでは、パンク修理方法とバーストしてしまった時の対処方法を見ていきます。
3.自分でパンク修理をしてみよう!
パンクのほとんどが釘など踏んでしまい、タイヤの接地面に刺さったままの状態で走ってしまった、というものです。
釘などが刺さっているのですぐに空気が抜けたり裂ける事はありません。
しかし、走行中の違和感は分かります。
おかしいなぁと感じたらすぐに停車して下さい。
とはいえ、停車した場所で時間をかけてパンク修理をするのは他の車に大迷惑になります。
素早く応急処置が素人にでも簡単にできるアイテム、それが【パンク修理キット】です。
一般的なパンク修理キットの中身はこんな感じになっています。
•コンプレッサー •修理剤
•チューブ
ここで必ず確認しておくものが取扱説明書です。
修理キットにより使い方に若干の違いがありますので必ず熟読しておきます。
それでは【パンク修理】開始です。
最初に、パンクが軽度で修理ができるものか確認します。
ガラスなどの切り傷も釘が刺さってしまった場合は、むやみに取るのは危険です。
怪我やタイヤの損傷を大きくしますので抜き取らないようにして下さい。
ここからが修理キットの出番です。
修理キットを使う場合は、ジャッキアップの必要がないので簡単な作業となります。
1.タイヤに空気が残っている場合、専用工具で空気を抜く
空気の出る勢いが激しいので、バルブを飛ばさないようにして下さい。
2.空気が抜けたことを確認後、パンク修理剤に専用チューブを取り付け流し込む
修理剤は、全量流し込みます。
3.修理剤を入れ終わったら、バルブをつけ付属のコンプレッサーで空気を入れる
修理剤を入れ終えたら、バルブを取り付け、コンプレッサーで空気を入れていきます。
コンプレッサーの充電はシガーソケットなどから取って下さい。
完了したら後は走行します。
ただし、修理キットを使用したタイヤは直った訳ではありません。
応急処置しただけなので、そのまま走り続けるのは控えてできるだけ早く修理工場へ向かい修理、交換してもらって下さい。
また、釘が刺さった時のように、まっすぐに穴が空いたパンク限定の修理方法があります。
釘を抜いて空いた穴の中にゴム材を流しこみ専用の工具で溶かして固めるものです。
こちらは修理工場などで行われていますが、やり方は修理キットとさほど変わりません。
4.バーストしてしまった時の対策は?
バーストとはタイヤが破裂する事です。
主な原因は以下のようになります。
•空気圧が低い、または高い •タイヤの劣化
•タイヤの溝がない
この状態のタイヤで高速走行や過積載などの悪条件が重なると、突然タイヤが破裂してしまいます。
バーストの恐ろしさは二次災害を招く事です。
バーストした自動車はコントロールが効かなくなります。
もし、高速道路のようなスピードの出る場所でバーストすれば大惨事になりかねません。
バーストを未然に防ぐ為に、ディーラーや修理工場での定期点検や自動車に乗る前の日々の点検を自分の目でして下さい。
それでも、もしバーストしてしまったら的確な対処をして事故を起こさない事を心がけます。
1.ハザードランプをつけ、速やかに路肩に自動車を寄せる 2.同乗者を安全な場所に避難させる
3.反射板などで故障を知らせる
スペアタイヤがあれば装着しますが、高速道路や道幅の狭い場所など他の人の通行の妨げになる場所では作業しないでJAFやロードサービスなどに連絡して下さい。
まとめ パンク修理は応急処置である事を覚えておこう
大丈夫だろうと過信していると、いざパンクしてしまった時焦ってしまいます。
乗り慣れているからこそ、毎日タイヤの状態を確かめる事が大切なのです。
最近の自動車にはほとんどパンク修理キットが搭載されていますが、ついていないものもあるので、自分の乗っている自動車に搭載されてあるか確認しておきます。
また、修理キットに入っている修理剤は期限もありますので、定期的なチェックが必要です。
自動車のエンジン回りだけでなくタイヤもしっかり点検して下さい。
誤って何かを踏んでしまい、タイヤがおかしいと感じた時は余裕を持って停車し、安全を確保する事が先決。
また、パンク修理ができたタイヤは耐久性が落ちているので、継続して使用するのは危険です。
直ったと思わず、修理工場に見てもらう必要があります。
自動車を便利なアイテムというだけで済まさないで下さい。
意識を高めてハンドルを握る事で、快適なカーライフを過ごせるのです。
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