近年、マイカーを所有しない世帯が増えています。
「車はレンタカーで済ませたほうが経済的」と考える方が多くおられるのです。
たしかに数回だけしか車を使わないなら、マイカーを買うよりレンタルを利用したほうが安上がりです。
また、近年はレンタカーのサービスが充実しているので、自分で車を持たなくても不便は感じないかもしれません。
しかし長期的な利用を考えた場合、本当にレンタカーは経済的なのでしょうか。
借りる回数が増えると、車のレンタル代もかなりの金額になってしまいそうです。
はたしてマイカーとレンタカーはどちらがお得なのか、その答えを本文で探ってみましょう。
■マイカーを持つために必要な費用
マイカーにかかる費用とレンタカー代を比較するために、まずは車の所有に必要な金額について見てみましょう。
マイカー所有のために最初に必要となるのは、車の購入費です。
車の価格は100万円前後から数千万円とピンキリなので、ここでは一定の条件を設定します。
たとえば排気量が1.5Lで5ナンバー登録、乗り出し価格200万円の新車を現金で一括購入したとしましょう。
さらに、この車を5年間乗り続けてから売却したと仮定します。
その際に得た買取金を200万円から差し引いた金額が、この車の購入にかかった賞味の費用です。
新車購入当時から5年もすれば、その車の価値は10分の1程度まで下がってしまうもの。
仮に車を20万円で売却したとすれば、車両購入にかかった賞味の費用は差引180万円になります。
これはあくまで一例ですが、新車で車を購入するなら、この程度の出費は最低限必要となるでしょう。
●車両代なみにかかる維持費
マイカーを使用し続けると、維持費としてさまざまな出費が生じます。
ここからは、前述の5ナンバー登録車を例にとって、マイカーにかかる維持費を見ていきましょう。
まずは自動車保険料について。
いわゆる任意保険料は保険会社や対象となる車両などによって大きく変わりますが、ここでは年間の保険料を7万円と仮定しておきましょう。
5年間マイカーに乗り続けた場合の保険料の総額は、単純計算で35万円。
通販型の保険なら、この程度の金額で車両保険までつけられる場合があります。
続いて自動車税について。
自動車税も所有する車両の排気量やサイズなどによって金額が違います。
1.5Lの5ナンバー登録車の場合なら、自動車税額は34,500円。
徴収は毎年行われるので、5年間車を使用した場合は17万2千5百円を税金として納めることになります。
次に車検代。
車検は新車購入時の3年後に1回、その後2年ごとに1回受けなければなりません。
新車で買った車を5年後に売るとしても、1回は車検を通す必要があります。
車検にかかる費用は車種や車検業者によってマチマチ。
ここでは車売却までに1回の検査を受けて、10万円を出費したとしておきます。
最後に駐車場代について。
駐車場代は地域によって料金に大きな差があります。
地方ではひと月あたり5千円以下で借りられる場合もありますし、東京都内ではひと月3万円以上かかる場合もあるでしょう。
ここでは間をとって、一ヶ月の駐車場代を2万円としておきます。5年間借りた場合の合計金額は120万円です。
では、ここまでにあげた維持費をトータルしてみましょう。
その金額は182万2千5百円。
車がもう1台買えそうな金額になってしまいましたね。
車の購入費と合わせると、360万円以上の費用がかかる計算になります。
あくまで一例ですが、やはり車の所有にはある程度の出費を覚悟したほうがよさそうです。
■レンタカーのほうがお得?
前節でご紹介したとおり、車の購入と維持にはかなりの費用が必要となります。
では、レンタカーを定期的に、5年間使い続けた場合はどうでしょうか。
レンタカーの費用は借りる車種によって変わりますが、ここでは1.5Lのコンパクトカーのみをレンタルすると仮定して話を進めましょう。
大手レンタカーでこのクラスの車を12時間借りた場合、車両レンタル代は5,500円前後となります。
ただし、ほとんどのレンタカーは返却時にガソリンの給油が必要。
もし毎回3千円分の給油を行ったとすれば、1回のレンタルにかかる費用は8,500円となります。
この料金のレンタカーをレジャー目的で月に4回利用したとすれば、ひと月にかかるレンタカー代は3万4千円。
5年間同じように借り続けると、合計204万円を出費する計算になります。
意外に高額ですね。
●使用頻度が高い場合にかかる費用
車を使う用事はレジャーだけとは限りません。
日頃の買い物に車を使う場合もあるでしょう。
もし買い物などにこまめにレンタカーを利用すると、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
ここでは短時間の利用に便利な、コインパーキングで借りられるレンタカーを活用した場合で話を進めます。
コインパーキングのレンタカーは15分あたり200円程度で借りることができ、かつ給油が不要とリーズナブルです。
このタイプのレンタカーを、買い物のために月に20日利用するとしましょう。
1日あたりの使用時間を1時間とすると、1ヶ月にかかるレンタカー代は1万6千円となります。
仮に5年間同じように利用しても、車にかかる費用は96万円。
この使用方法は意外に安く済みますね。
ただし、これは買い物だけにレンタカーを使用する場合の話。
レジャー目的でときおりレンタカーを長時間利用すれば、当然ながらその分のレンタル代の計算が別途必要となります。
レジャーと日常の買い物の両方にレンタカーを使っていると、車を購入した場合と同じかそれ以上に費用がかさむ場合があるので注意しましょう。
■基本的な維持費以外の費用について
ここまでにご紹介したもの以外にも、車の所有やレンタカーの使用にはプラスアルファの費用がかかる場合があります。
たとえばマイカーを所有していると、洗車道具や消耗品の購入費といった費用が必要となることでしょう。
ここでいう消耗品とは、ワイパーのゴムや電球、オイルなどです。
長期間使用すればタイヤの交換も必要になるでしょう。
地域によっては、スタッドレスタイヤも必要になるはずです。
このほか、車をどこかにぶつけてしまった場合は修理費用が発生しますね。
数年単位でマイカーを使用すれば、これらの出費もばかにならない金額になるかもしれません。
●レンタカーにかかるプラスアルファの費用
マイカー代わりにレンタカーをする場合は、洗車道具や消耗品を購入する必要がありません。
万が一車をぶつけてしまっても、レンタル時に補償に入っていれば修理代が免除されます。
この点はレンタカーの利点といえるでしょう。
ただし、レンタカーならではの注意点もあります。
たとえば車内を極端に汚してしまった場合は、レンタル代と別に清掃費用を請求されるかもしれません。
また、車にペットを乗せる場合は自前に予約をして、別料金を支払う必要があります。
ペットのニオイが車内に染み付いた場合は、数万円の清掃費を請求される場合もあるようです。
レンタカーを自家用車代わりに使用するなら、こうした点には十分注意しましょう。
取り扱いに少し気を使わなければならない点は、レンタカーの最大のデメリットといえるかもしれません。
■まとめ
以上ご紹介したことをまとめると、マイカーとレンタカーのどちらがお得かはケースバイケースだといえそうです。
たまにしか車を使わないなら、圧倒的にレンタカーのほうが安くつきます。
他方、日常的に車を使うなら、マイカーを買ったほうが結果的に費用を抑えられる場合もあるでしょう。
マイカーかレンタカーかで迷っているなら、まずは理想とするカーライフスタイルをイメージしてみてください。
具体的にイメージするほどに車の使用頻度もわかり、どちらの乗り方が自分に適しているのかも見えてくることでしょう。