季節は秋を過ぎ、だんだんと冬の気配が感じられるようになってきました。
ところで、あなたはオープンカーの季節はいつだと思いますか?
多くの人がオープンカーイコール「夏」というイメージをお持ちではないでしょうか。
実は、オープンカーが一番楽しいのは秋から冬にかけてなのです。
どうしてオープンカーの季節が「冬」なのか。
そして、オープンカーの季節に乗りたいおすすめのオープンカーをご紹介します。
■どうして冬こそオープンカーなのか?
オープンカーを買って夏の海辺をドライブしたい。
そんな夢を持っている人は多いのではないでしょうか。
たしかに、なんとなくオープンカーと言えば夏というイメージがあるのですが、これはアメリカのドラマや映画の影響を多分に受けているのではないかと思います。
では実際に、夏にオープンで走るとどうなるかというと、夏の強い日差しが、アスファルトの照り返しと直射日光によってドライバーに襲いかかり、暑いというより「熱い」く、日焼け対策も万全じゃないと数時間のドライブで真っ赤に日焼けしてしまうほどです。
なにより、熱中症の危険すらあります。
それに対して、冬のオープンはというと、確かに寒いのは寒いのですが上半身はしっかり着込んで防寒し、車のヒーターを最大にして足下を暖めます。
そして、シートヒーターがあればさらに腰元から暖かくすることができます。
そうして、澄み渡った冬の空気のなかをオープンで走る。
いちど体験したらきっと病みつきになると思いますし、筆者もオープンカーを所有していたことがあり、やはり夏よりも冬のオープンドライブの方が楽しかったことを覚えています。
そして、この上半身を冷たい空気にさらして下半身を温める冬のオープンドライブを「露天風呂」に例える人もいるくらい気持ちいいものなのです!
さて、冬のオープンカーが気持ちいいということを説明した上で、国産車で新車購入ができるオープンカーをご紹介したいと思います。
■オープンカーと言えばなんと言ってもマツダ・ロードスター
国産のオープンカーと言えば、やはりマツダ・ロードスターでしょう。
マツダ・ロードスターは、1989年に「ユーノス・ロードスター」として発売されました。
ロードスターは、発表から翌年までに世界でなんと9万台以上を販売して大ヒットとなりました。
ロードスターのヒットによって、消滅しかかっていたライトウェイトのオープンスポーツカーのカテゴリーが見直され、BMWのZ3、フィアットのバルケッタ、メルセデス・ベンツのSLKや、今はなきMGのMGFなどの世界のメーカーがロードスターの後に続きました。
そして、2015年にマツダ・ロードスター4代目のND型が発表されました。
4代目ロードスターは、3代目で2リッターまで拡大された排気量を、1.5リッターNAに縮小し、初代ロードスターに立ち戻った軽量コンパクトなオープンカーに仕上がっています。
今後は、リトラクタブルハードトップのRFの登場が予定されていますし、もしかすると海外にしかデリバリーしていない、2リッターNAエンジンが日本にも導入されるかもしれません。
そして、マツダ・ロードスターはフィアット124スパイダーのベースにもなっています。
なんとフィアット124スパイダーは広島のマツダの工場で製造されてるのです。
フィアット124スパイダーは輸入車メーカーの車だけど実は国内で生産された国産車なのです。
■軽のメタルトップオープン ダイハツ・コペン
軽自動車で、あえて複雑なメタルトップのオープン機構を持つのがダイハツのコペンです。
初代のコペンはキュートで可愛いエクステリアデザインと、駆動方式がFFということもあり、走りは期待できないと思われていましたが、なかなかどうして走りもライトウェイトスポーツとして十分な資質を持っていました。
2002年に発売された初代コペンはなんと2012年までモデルチェンジなしで販売されていました。
その後、一時期廃盤となっている時期もありましたが、無事に2代目にバトンタッチしています。
2代目コペンは、ボディの外板を樹脂製にして、着せ替えができる事も特徴の一つです。(着せ替えには一定の制約があります)
■ホンダ・ビートの生まれ変わりS660
国産オープンカーの最後の1台は、ホンダのS660です。
S660は軽自動車でありながら、ミッドシップの二人乗りのオープンスポーツで、本格的なスポーツカーをイメージさせるようなエクステリアデザインを持っています。
ホンダの軽ミッドシップと言えば、ホンダ・ビートが思い出されます。
ホンダ・ビートは1991年に発売された軽自動車のミッドシップオープンカーで、S660と異なるのは、64馬力をNAエンジンで実現していたため、超高回転型エンジンであったこととフルオープンカーであったことです。
S660は同じミッドシップですが、ビートと異なりタルガトップ(屋根部分だけが取れる形状)とし、エンジンも660ccターボとなったおかげで、剛性が高くビートでは非力だと言われていたエンジンもターボ化によって低回転からトルクが出るようになり、運転がしやすくなりました。
■なんと、新車で買える国産オープンカーは3車種のみ
実は現在、新車で購入できる国産のオープンカーは以上の3車種のみです。
つい最近までは、日産・フェアレディZのカブリオレなどもありましたが、現在は販売停止になっています。
90年代以降、これまで説明した以外にも、スズキ・カプチーノや、ホンダ・S2000、トヨタ・MR-Sやソアラのコンバーチブルや、日産シルビアにもオープンモデルがあるなど、国産車のオープンモデルは本当にたくさんありました。
しかし現在では、自動車の販売台数が減り、ある程度の販売が見込めるモデル以外は廃止される方向になり、たくさんあったオープンカーも現在では3車種のみです。
国内での新車の需要が減っている現在、売り上げが見込めないオープンカーを企画しても販売には至らないという事情があるのかもしれませんが、せっかく成長していたオープンカーの文化を自ら縮小しているような気がします。
車が売れないからといって、売れる車しか作らなくなるのは経営としては正解なのかもしれませんが、それでは自動車の文化をはぐくむことはできないのではないでしょうか。
次回は、国産とは反対にオープンカーを文化として認め、さまざまな車種でオープンモデルが販売されている欧州の輸入車で手の届く価格の輸入車オープンモデルを紹介したいと思います。