ゴールデンウイークや年末年始になると、必ずニュースで名前を聞くようになる「渋滞」。
「家族での遠出や帰省は楽しいけど、渋滞のことを思うと気が重くなる」なんてドライバーさんも多いことでしょう。
延々と続くノロノロ運転は、まるで苦行ですよね。
しかし、なぜ渋滞は毎年のように発生するのでしょうか。
メカニズムさえわかれば、渋滞問題は解消できそうなものです。
この疑問に答えるために、今回は「渋滞学」から渋滞のメカニズムを学んでみることにしましょう。
渋滞を快適に過ごすコツも合わせてご紹介しますので、ぜひご一読ください。
■渋滞学から学ぶ、大渋滞発生のメカニズム
「渋滞学」は、東京大学の西成活裕教授が開拓した新しい学問です。
数学の研究から生まれた学問であり、渋滞のメカニズムを見事に解明しています。
この渋滞学をもとに、大渋滞が発生するメカニズムを紐解いてみましょう。
大渋滞は、必ず「小さな渋滞」が元となって発生します。
たとえば、何らかの原因で1台の車両がスピードを落とすとしましょう。
すると、後続車両もスピードを落とさざるを得なくなりますよね。
この速度低下の連鎖が数台続くことで起こるのが「小さな渋滞」です。
「小さな渋滞」の先頭車両はマイペースで進めますが、最後尾の車両は落としたスピードをなかなか回復できません。
一度ブレーキを踏んで車間距離を縮めてしまっているため、スピードを取り戻すまでにタイムラグが発生するからです。
最後尾車両がスピードを取り戻せずにいるうちに、さらに後ろから車がやって来てしまいます。
やがて小さな渋滞は後ろに伸びていき、ついには大渋滞を形成してしまうのです。
この仕組は、街中で起こる信号待ち渋滞を思い出すと容易に理解できます。
自分の運転する車の前方で、数台が信号待ちしている場面を想像してみてください。
遠くで信号が青になっても、なかなかすぐ前の車は動かないですよね。
後方車両は必ず先頭よりワンテンポ遅れて始動するため、後ろの車両になるにつれて走り出すまでに時間がかかってしまうのです。
一方、後方では後方車両がどんどん追いついてきて、さらなる渋滞を形成していきます。
つまり渋滞とは、一度発生したタイムラグを取り戻せないことで起こる現象なのです。
・渋滞の7割はサグ部で発生する
先に述べたように、何らかの原因で1台の車両が速度を落とすことによって、渋滞は発生します。
では、高速道路で車が速度を落とす原因とは、一体何なのでしょうか。
渋滞の先頭車両が速度を落とす原因は、事故や道路工事と思われがちです。
「事故現場を見る車による渋滞」といった言葉はよく耳にしますよね。
しかしほとんどの場合、渋滞の原因は「サグ部」での速度低下にあります。
サグ部の「サグ」は、窪地という意味。
高速道路でいうサグ部は、下り坂から上り坂にさしかかる部分を指します。
サグ部の手前は下り坂であるため、多くの車両はスピードを抑え気味にして走行します。
そのままサグ部を超えると上り坂になりますが、変化が緩やかなためドライバーは下り坂が終わったことに気付きません。
これにより、無意識に車速が低下。
後方車両もスピードを落とさざるを得なくなり、前述した「小さな渋滞」が発生してしまうというわけです。
もし、すべての車がサグ部でのスピード低下に注意して走行すれば、渋滞は起こりません。
しかし、年末年始やお盆、ゴールデンウイークといった交通量の増える時期には、あまり運転に慣れていないドライバーも高速道路を利用します。
このため、渋滞学が発表された現在も、帰省シーズンや行楽シーズンになると渋滞が発生してしまうのです。
■渋滞を快適に過ごすための工夫
渋滞のメカニズムを知っていても、渋滞に巻き込まれることは避けられません。
しかし、工夫次第で渋滞を快適に過ごすことはできるはずです。
電光掲示板で渋滞発生を確認したら、以下の対策を実践してみてください
・サービスエリアやパーキングでトイレを済ませる
・給油も早めに済ませておく
・左側車線を走る
渋滞を察知したら、まずはトイレを済ませておきましょう。
特にお子さんを乗せている場合は、必ず早めのトイレを心がけてください。
サービスエリアにガソリンスタンドがある場合は、ついでに給油も済ませておきましょう。
渋滞時に発進と停止を繰り返すと、意外なほどガソリンを消費してしまいます。
心にゆとりをもって渋滞を乗り切るためにも、ガソリンの残量には余裕をもたせましょう。
トイレと給油が済んだら、あとは左車線をキープして走行するのみです。
右車線は車速が遅くなりやすいので、できるだけ走らないようにしてください。
なぜ右車線の車速が遅くなるのかというと、気の急いた多くのドライバーが追い越し車線に入りたがるためです。
この逆をついて左車線を走ることで、よりスムーズに渋滞を突破しやすくなります。
特に上り車線ではこの傾向が強くなるので、ぜひ実践してみてください。
・渋滞時に避けるべき行動
渋滞時は、つい「下道を通ったほうが早いのでは?」と思ってしまいがち。
しかし多くの場合は、渋滞した高速道路を走り続けたほうが、早く目的地に到着します。
特に、時速30Km程度のノロノロ運転が続くような状況では、高速道路に乗り続けたほうが賢明です。
たとえば「渋滞30キロ」と電光掲示板に表示されていた場合、時速30Kmで進み続ければ1時間で渋滞を抜けることができます。
つまり、1時間後にはノロノロ運転を脱して、スムーズに目的地まで進めるのです。
一方下道は、高速を降りた車で渋滞している可能性があります。
下道には信号もあるため、渋滞はなかなか解消しません。
こうした理由から、渋滞時も高速道路に乗り続けたほうが、結果的に早く目的地に付けるといえるのです。
■便利なグッズで渋滞を乗り切ろう
本記事の最後に、渋滞を快適に乗り切るためのグッズを紹介しておきましょう。
以下のグッズを上手く利用することで、渋滞時の車内が快適になりますよ。
・ドライバーズクッション
長時間運転席に拘束されると、どうしても腰に負担がかかります。
そこで負担軽減に利用したいのが、ドライバーズクッション。
運転時の負担を軽減するように設計されているため、座席と腰の間に入れておくことで渋滞の疲れを緩和できます。
・ネックピロー
渋滞時に助手席の方に用意してあげたいのが、ネックピローです。
ネックピローは、その名のとおり首に巻く枕。
クッション素材で首を固定できるため、助手席でゆっくりと体を休めることができます。
・タブレットホルダー
渋滞時に後部座席のお子さんから「まだー?」なんて言われると、ちょっとイラッとしてしまいますよね。
そこで、後部座席の退屈対策に備えておきたいのが、タブレットホルダーです。
タブレットホルダーは、運転席や助手席のヘッドレストにiPadやタブレットを取り付けるためのアイテム。
タブレットで動画を再生しておけば、お子さんも退屈せずに過ごせるはずです。
・エアクッション
長時間続く渋滞は、後部座席の乗員にも負担をかけてしまいます。
そこで用意したいのが、エアクッション。
空気で膨らむフットレストになっており、後部座席の足元に置くことで渋滞時の疲労軽減に役立ちます。
・充電器
シガーソケットに挿せる充電器は、ロングドライブの必需品です。
USB端子を接続できる充電器を用意しておけば、スマホやタブレットのバッテリー切れを気にせずに済みますよ。
3台の端末に同時に充電できるタイプや、Quick Charge2.0(急速充電)に対応した充電器も販売されているので、一度カー用品店でチェックしてみてください。
・簡易トイレ
できれば使いたいくないが、それでも備えておいたほうがよいのが簡易トイレ。
渋滞発生時も、生理現象は待ってくれません。
特に、お子さんはトイレを我慢できないので、1つは車内に備えておきましょう。
■まとめ
近年は、渋滞を回避するための道路整備も頻繁に行われています。
とはいえ、年末年始やゴールデンウィークなどの渋滞ラッシュは、なかなか改善しないのが現状です。
ご家族で行楽や帰省のために出かける際は、ぜひ渋滞への備えを万全にしてください。
また、早めに移動を開始する努力もお忘れなく。