「自動運転」のレベル分けってどういう意味?各メーカーの運転支援機能のポイント解説 | カーライフマガジン

最近何かと話題の「自動運転技術」ですが、現在のところ、厳密にはどのメーカーも完全な「自動運転」を達成してはいません。

CMで「自動運転技術」とうたっている日産の各車や、アップデートで自動運転技術を追加したと言っているテスラですらレベル2(人間が常に監視しなければならない、部分的な自動運転)に留まっています。

ちなみに、全く人間が関与しないでシステムが運転を行うことができるのはレベル4と呼ばれ、限られた環境(高速道路など)で人間が監視や運転から解放されるが、システムが扱えない状況になると人間が交代する必要があるのがレベル3と呼ばれています。

レベル3の市販車はアウディが2018年に市販すると伝えられていますが、ほかのメーカーからは発表はありません。
またレベル4の自動運転技術を日本政府が2020年に実用化を目指すと発表していますが、今のところレベル4の市販車の明確な予定はどのメーカーからも出てない状態です。

ということで、現在の主流といえる部分的なレベル2の自動運転はどのような技術に支えられているのか考えてみましょう。

■レーダーとカメラ技術

運転支援技術の中心となる技術は、レーダーとカメラが中心となっています。
レーダーは「ミリ波レーダー」と「赤外線レーダー」、カメラは「単眼式カメラ」と「ステレオカメラ」に分類できます。

ミリ波レーダー

ミリ波レーダーとは、非常に高い周波数帯の電波を車が発信し、それが跳ね返って来るかどうかによって障害物を判別するシステムです。

ミリ波レーダーの到達距離は200メートルから400メートルと広い範囲をカバーできます。

特に自動車のようなスチールでできた物体はよく電波を反射するので認識度が高く、かたや人間は電波を反射せずに吸収する性質があるために、人間を検出する必要があるシステムの場合はカメラを併用することが多いようです。

ミリ波レーダーは、衝突時被害軽減ブレーキ(自動ブレーキと呼ばれることもあり)やACC(アダプティブクルーズコントロール)ブラインドスポット警告(車両後方確認)のセンサーとして利用されます。

赤外線レーダー

赤外線レーダーは、ミリ波レーダーと同じ原理ですが、照射するのが電波ではなく赤外線である点に違いがあります。

赤外線とは、テレビのリモコンから発信されるのと基本的に同じもので、部品の価格が安く、到達距離が短いのが特徴です。

赤外線レーダーは、到達距離が短いため簡易的な衝突時被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)にのみ利用されます。
レーダーの認識距離が短いので、低速時にしか動作しないという制限が付きます。

カメラ

カメラといえば、スバルの「アイサイト」を連想される方も多いと思います。
カメラは、人間の目と同じように、画像認識によって車の前方にあるものを認識します。

また、カメラを搭載する場合には、カメラが1台の「単眼式カメラ」とカメラを2台搭載する「ステレオカメラ」の2種類があります。

違いは、単眼式カメラの場合はカメラで距離の測定は行わず、ミリ波レーダーなどと組み合わせて使用されることが多異様です。
カメラは車の前方に何があるかの認識と車線の認識を行い、障害物までの距離はミリ波レーダーによって認識するという分業体制をとるわけです。

対して、「ステレオカメラ」タイプは、人間の目の仕組みと同じように二つの目で見る視差を利用することによって、対象物の認識と距離の測定を同時に行うことができるシステムです。

■レベル2は運転支援技術の組み合わせで成り立っている

日産やテスラなどが自動運転と言っているレベル2の自動運転技術は、カメラによるレーンキープアシストと、カメラもしくはミリ波レーダーによる、ACC(アダプティブクルーズコントロール)を組み合わせたものです。

多くのメーカーは、ミリ波レーダーと単眼式カメラの組み合わせによって実現しているレベル2の自動運転のシステムを、スバルはステレオカメラのみで実現しています。

スバルだけがステレオカメラを利用している理由は、アイサイトが登場したころは、衝突時被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)を、ミリ波レーダーで実現することが多かったのですが、ミリ波レーダーの部品は非常に高価で、輸入車の高級グレードやレクサスなど限られた高級車にしか装備されていませんでした。

それを、レーダーと比べると安価なカメラシステムで実現したのが「アイサイト」の始まりだったわけです。

「アイサイト」が10万円というオプション価格で、「自動ブレーキ」として衝突時被害軽減ブレーキを装備できるようになったことによって、「自動ブレーキ」が急速に認知されるようになり、各メーカーもこぞって「自動ブレーキ」を採用するようになったのです。

結局、高価だったミリ波レーダーは多くのメーカーが「自動ブレーキ」を装備することによって、価格が下がり、アイサイトとも変わらない値段で作ることができるようになってきました。

その結果、レベル2の自動運転を採用する日産や、そのほかのメーカーの安全運転支援技術は、ミリ波レーダーとカメラの組み合わせの方が多くなっています。
また、今後スバルが「ステレオカメラ」式をやめて他者と同様の単眼式カメラとレーダータイプに切り替えるという噂もあります。

■自動運転中にハンドルから手を離すとどうなるか

レーンキープアシストと、アダプティブクルーズコントロールを両方動作させると、レベル2の自動運転の状態になります。

高速道路など、カーブのゆるい道路状況ではそれこそ手放しでも車は自立して走ることができます。

しかし、この時にも運転者は不測の事態に対して常に対応できる状態になければならないことになっています。
前方を注視し、ハンドルを握っていなければならないのですが、運転者がハンドルから手を離すとどうなるでしょう?

日本政府は、レベル2の自動運転中に手を離すと一定時間後に警告を行い、その後自動運転がキャンセルされるように指導しています。
実際、日産の「プロパイロット」やスバルの「アイサイト・ツーリングアシスト」は、ハンドルから手が離れたことを検知すると、警告の後、1分程度で自動運転がキャンセルされる仕様になっています。

それに対して、輸入車はどうかというと、キャンセルまでの時間の長さは国産車より長いのですが、BMWやボルボなどは国産と概ね同じような警告の後に自動運転のキャンセルとなります。

特徴的なのは、メルセデス・ベンツです。

メルセデスは、自動運転中に運転者がハンドルから手を離すと、警告がでるまでは同じなのですが、その後運転者がハンドルを握らない状態が続くいた時、車は運転者に急病などのアクシデントが発生したと考えて、ハザードランプを点滅させながらゆっくり減速して最終的には停止するようになっています

筆者の個人的な意見だと、多くのメーカーの車が自動運転をキャンセルしてそれで終わりなのに対して、メルセデスの考え方はとても運転者や周りへの影響のを考えた仕様になっていると感じます。

これから、レベル3やレベル4の自動運転技術が開発されていくでしょう。
しかし、安全というものをどのように捉えるか、メーカーによって考え方が異なる状況はあまり好ましくないと思います。
どうすれば安全を保てるかのルールづくりも、きちんとグローバルなルールを定めてほしいものですね。

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