GTとスポーツカーの境界線が曖昧になっている。
これは、日本だけでなく世界でも同様のことが発生しています。
古い話になりますが、スカイラインと言えばGTの赤バッチが付いているのがスポーツセダンの証などと言われていました。
そんな話を知っているのは、もうかなり年配の世代でしょうが、GTとスポーツカーの境界線が曖昧になっていることを感じます。
日本では、GTと付くグレードはエンジンが大きく走りを意識したグレードとして認識されているようです。
たとえば、スカイラインGT-Rや、ちょっと古いですがセリカGT-Fourなどは、GTが車名にもなっているくらいです。
しかし、本当の意味のGTとはスポーツカーとは少し違った意味を持っています。
そこで今回は、よく間違いがちなGTカーとスポーツカーの違いについてご説明します。
■GTの意味って知ってる?
GTは、イタリア語のGran Turismo(グランツーリスモ)の略称で、本来、グランツーリスモにカテゴライズされる車は、長距離の移動伴うドライブを快適に過ごすことのできる動力性能と、操縦性を持つ車とされてきました。
そういう意味で言うとスポーツカーとGTカーは別のカテゴリーの車と考えても良いでしょう。
しかし、ヨーロッパのレースで安全性を高めるため、レース専用に開発した車ではなく、市販車をベースとした高性能車を対象としたことから「GT」という名称がレースにも対応した高性能車、優れた車という意味に理解されるようになりました。
■GTの語源とは
GTのそもそもの語源は、イギリスのGrand Tour(グランドツアー)から来ています。
グランドツアーとは、貴族などの裕福な家庭の子女が、教育課程の最後に2〜3年かけてヨーロッパを回る修学旅行のことを言ったのが起源です。
グランドツアーに使われた馬車はイタリアやフランスのビルダーが作ったといわれますが、それが車のカテゴリーの名称になり、そして日本では自動車先進国のヨーロッパへのあこがれを含めて、GTというグレードや車名が広まった物と考えられています。
■日本者でのGTの解釈
国産車で初めてGTを使ったのはいすゞのベレットと言われて居ます。
いまでは、乗用車から撤退してしまっているいすゞですが、自動車の黎明期には名車を沢山生み出しているメーカーです。
つづいて、プリンス・スカイラインがスカイラインGTを発表して、「羊の皮を被った狼」と評されました。
それ以来、GTというグレードは国産メーカーでは必要十分以上の動力性能やコーナリング性能を持つ車についてGTというグレードを付けることが慣習となってきました。
国産車で、純粋なスポーツカーがあまり存在しないなかで、GTというグレードによって高性能であることをアピールすることは自然な流れだったのかもしれません。
しかし、GTという名前が、GT-Rなどによって過剰に一人歩きした感は否めません。
もっとも、よく考えて見ればGT-Rなどは4人乗りですし、グランツーリスモと言っても問題は無いのかもしれません。
■スポーツカーとは?
運転をスポーツになぞらえ、運転すること自体を楽しむ車というのが、スポーツカーの定義です。
スポーツカーは運転を楽しむために、運動性能を重視しています。 そのために、駆動方式や乗車定員、エンジンの出力などを決定しています。
運動性能のためには、ラゲッジスペースなども最小限に制限することもあるという意味で、GT(グランツーリスモ)とは異なります。