自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
あなたは自分がどれくらい車の税金を払っているのか、ちゃんと把握できていますか?
普段あまり気にしていない車の税金ですが、実は車を所有するためには、たくさんの税金が必要です。
しかし、税金がどのように課税されているのかが分かりにくいため、言われるがままに税金を支払っているという人も多いと思います。
そこで今回は、そんな分かりにくい車の税金について徹底解説したいと思います。
また、2017年から新しくなったエコカー減税の変更点についても分かりやすくまとめてみました。
自動車税とは?
自動車税とは、4月1日の時点での車の所有者に課せられる税金です。
4月から3月までの1年分の税金を5月の納付期間中に前払いで支払う必要があります。
ただし、車を購入するときにかかる自動車税は、1年分ではなく新車登録を行った翌月から3月までの月割り計算で算出されます。
自動車税は、所有している車の排気量によって、次のように税金の額が変わってきます。
ただし軽自動車に関しては、2015年4月以降に登録された車は一律で10,800円と決まっています。
(※、2015年4月以前に登録された軽自動車は一律7,000円)
自動車重量税とは?
自動車重量税は、車の重量に応じて課せられる税金です。
年間で、0.5トンごとに4,100円の税金が課せられます。
ただし、自動車重量税は、車検有効期間分の税金をまとめて納付します。
そのため、新車を購入する場合は次の車検までの3年分の自動車重量税を支払うことになります。
つまり、1.0トンの自動車だと、4,100円×2(1.0トンのため)×3年分=24,600円の自動車重量税を購入時に支払うことになります。
ただし軽自動車に限っては、重量関係なく、年間で一律3,300円の税金が課せられています。
自動車取得税とは?
自動車取得税とは、自動車を取得する際にのみ課せられる税金です。
普通自動車であれば取得価格の3%、軽自動車だと取得価格の2%が自動車取得税として課せられます。
注意しなければいけないことが、取得価格とは、購入代金そのものの金額ではないことです。
取得価格とは、自動車取得税の目安として設定されている基準額のことで、だいたい車両本体価格の90%程度の額になります。
なぜ車両本体価格の90%なのかというと、新車の購入代金は基本的に車両本体価格から値引きされることが前提にあるからです。
車両本体価格そのままの金額に課税してしまうと、ほとんどの人から税金を取りすぎてしまうことになるので、最初からある程度値引きされることを想定した金額を基準額として設定されています。
そのため、車両本体価格の10%以上の値引きをしてもらっている場合は、実際にかかった代金よりも少し多い金額に課税されることになります。
また、取得価格には、車両本体価格だけでなく、オプション費用にも税率がかかります。 ただし、全てのオプションに税率がかかるわけではなく、車の付加物と認められるオプションにのみ税金がかかります。
付加物とは、基本的には車にネジなどを使って固定されているオプションが対象となります。
そのため、メーカーオプションは当然のことながら、カーナビやETCといったディーラーオプションは付加物として対象に含まれます。
しかし、フロアカーペットのような車に固定するわけではないオプションに関しては税率はかかりません。
中古車でも自動車取得税はかかる?
中古車を購入する場合でも自動車取得税はかかります。
ただし、新車とは取得価格の計算が異なります。
中古車の取得価格は、基準額に残価率をかけたものになります。
具体的には、次のような計算で、中古車の自動車取得税は決められています。
基準額×残価率×税率(普通自動車は3%、軽自動車は2%)
残価率とは、車の経過年数に対して、新車と比べての大体の価値を割り出すためのものです。
残価率は次のように決められています。
経過年数は、初年度登録された年の1月1日を起算点として計算されます。
そして、起算点から車を取得した前年の12月31日までの年数に、1~6月に取得した場合は0.5年、7~12月に取得した場合は1.0年を加えます。
例えば、初年度登録が平成25年12月1日の中古車を平成29年5月31日に購入した場合は、次のような計算になります。
平成25年1月1日(起算点)~平成28年12月31日(取得した前年の12月31日)+0.5(1~6月に取得しているため)=4.5年
このように、実際には登録から3年半しか経っていませんが、残価率の計算では4年半の経過年数で計算されることになります。
この車の基準額が300万円であれば、残価率が4.5年で17.7%なので 300万円×0.177=53.1万円が取得価格になります。
普通自動車であれば3%の税率なので、53.1万円×0.03=15,930円の自動車取得税がかかります。
ちなみに、中古車に限らずですが、取得価格が50万円以下になるものは、自動車取得税はかかりません。
13年を経過すると税金が上がる?
ガソリン車の場合、初年度登録から13年を経過すると、自動車税と自動車取得税が上がります。
これは、環境性能に優れた車には税率を軽減し、逆に一定の年数を経過した車は環境に対する負荷が大きいために重税するというグリーン化特例によるものです。
普通自動車の場合、自動車税が約15%ほど上がり、年間の自動車重量税が0.5トンごとに4,100円だった税額が0.5トンごとに5,700円になります。
軽自動車の場合、軽自動車税が一律12,900円に上がり、年間の自動車重量税は、一律3,300円から一律4,100円に上がります。
2015年4月以前に登録された軽自動車は、元々の軽自動車税が7,200円なので、軽自動車税が5,700円も上がることになります。
(2015年4月以降の登録の場合は、10,800から12,900円に上がるので、2,100円の増税)
自動車重量税は、18年を経過するとさらに税額が上がります。
18年を超えると、普通自動車の自動車重量税が0.5トンごとに6,300円になり、軽自動車では一律4,400円になります。
「エコカー減税」は3つの税金を安くしてくれる!
ここまで読んだあなたは、車を所有するためには、こんなに税金がかかっているのだと驚いたと思います。
しかし、実際にはここまで説明した税金の全てを支払っているわけではありません。
最近の車は、燃費性能が飛躍的に向上しており、ほとんどの車が「エコカー減税」の対象になっているからです。
エコカー減税は、優れた環境性能の車であれば税金を優遇するという制度です。
エコカー減税の対象となっている車は、「自動車税」「自動車重量税」「自動車取得税」のそれぞれで減税または免除措置を受けることができます。
エコカー減税の対象になるには、国土交通省によって定められている排出ガスと燃費性能の基準をクリアしていなければいけません。
基準値よりもどれだけ多く達成しているかで、エコカー減税の減税率は変わっていきます。
そのため、燃費性能の良い車や電気自動車を始めとする次世代自動車は、より税率が優遇されるようになっています。
車の税金を少しでも安くしたいという人は、エコカー減税の減税率が高い環境性能に優れた車を選ぶと良いでしょう。
2017年から新しいエコカー減税がスタート済み
2017年から新しいエコカー減税が始まり、それまでの適用基準と変更がありました。 今回の変更は、どちらかと言えばエコカー減税の縮小にあたります。
エコカー減税が適用されるための基準が、全体的に引き上げられているからです。
今回の変更によって、今までエコカー減税の対象となっていた車種でも、減税の割合が減ってしまったり、そもそもエコカー減税の対象から外れてしまったケースもあります。
「自動車取得税」「自動車重量税」「自動車税」の3つの税金で、次のような変更がされています。
自動車取得税での変更
以前までは、平成32年度燃費基準を+20%以上達成していれば自動車取得税が免除されていました。
しかし、今回の変更で2017年4月1日からは免除の基準が平成32年度燃費基準を+30%以上の達成、さらに2018年4月1日からは平成32年度燃費基準を+40%以上の達成と、段階的に基準が引き上げられています。
免除の条件だけでなく、他の減税率も同じように条件が引き上げられています。
詳しい変化は、下の表を確認してみてください。
【自動車取得税の変更点】
自動車重量税での変更
自動車重量税でも、全体的に免税と減税率の条件が引き上げられています。
特に、初回車検時に免税が適用されるための条件がかなり厳しくなっている印象です。
これまでは、平成32年度燃費基準を+20%以上達成していれば、初回車検時の自動車重量税が免税されていましたが、2017年5月1日からは初回車検時の免税条件が、平成32年度燃費基準を+40%以上達成していなければいけません。
さらに2018年5月1日からは、初回車検時に免税が受けられるのは電気自動車等の次世代自動車のみとなっています。
【自動車重量税の変更点】
(※本則適用とは、年間の税額が0.5トンごとに2,500円になること)
他にも、車検時にエコカー減税の本則税率が適用されるための条件も変わっています。
本来なら年間で0.5トンごとに4,100円の自動車重量税がかかりますが、本則税率が適用されると0.5トンごとの税額が2,500円になります。
これまでは、車検時に本則税率が適用されるかどうかは、平成27年度燃費基準を+5%以上達成が条件でした。
しかし、2017年度に車検を受ける場合は平成27年度燃費基準を+10%以上の達成、2018年度に車検を受ける場合は平成32年度燃費基準を達成している車でないと本則税率が適用されません。
自動車税での変更
今回のエコカー減税の変更で、最も条件が厳しくなったのが自動車税です。
これまで、普通自動車の場合、平成27年度燃費基準を+20%以上を達成していれば、減税を受けられていたのに対して、2017年度からは平成32年度燃費基準を最低でも+10%を達成していないと減税を受けることができません。
自動車取得税や自動車重量税では、新しいエコカー減税になっても平成32年度燃費基準を達成していれば、何かしらの減税の対象になっています。
しかし、自動車税に関しては、平成32年度燃費基準を達成している車でも減税が適用されないケースが出てくるので、エコカー減税の対象となる車種が大幅に少なくなってしまいました。
【自動車税の変更点】
まとめ
車の税金についてやエコカー減税について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
普段は気にすることの少ない車の税金ですが、しっかりと把握しておけば、新しい車を購入するときに税金のかかりにくい車を選ぶこともできます。
もし、車の税金について分からないことがあれば、今回の記事を参考にしてみてください。
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