国産車が遅れているコネクテッドってどんな技術なの? | カーライフマガジン

「コネクティッドカー」または、「コネクティッド」と呼ばれる自動車の技術について聞いたことがあるでしょうか。

コネクティッドとは、簡単に言うとつながる技術です。
自動車が通信を行い、インターネットや自動車同士での通信を行うこと
です。

国産車は世界の中でも、このコネクティッド技術が遅れていると言われています。

今回は、コネクティッドとは何なのか、コネクティッドが進むとどんなメリットがあるかについて説明します。

■コネクティッドで実現されること

コネクティッド技術によって次のようなことが実現または発展するといわれています。

自動運転の分野

自動運転の領域において、車だけのセンサーで全てを賄うのは難しい部分もあると考えられています。
車と車、車と道路が通信を行うことによって、道路の状況を車のカメラだけでなく多面的に取得し、自動運転における自動車の自律走行を支えるものとなります。

安全性の向上

自動運転と領域が重なりますが、行く先の道路状況や車や人などの動きを自動車同士や、道路上の監視カメラなどの状況を情報として得られるようになります。

車内エンターテインメント

カーオーディオ、ナビゲーションシステムと統合しされた車内エンターテインメントシステムは、自動車の通信システムによってWifiスポットを実現したり、SNSやメール、道路路情報はもちろん、ニュース、天気なども提供します。

運転者の健康管理など

運転者の疲労度などを検知して注意・警告する機能などを車の動きや運転者を監視することによって、暴走事故などを未然に防ぐことが可能になります。

車両管理

車両の状況を常にモニタリングし、運転者に故障などのトラブルや事故があって走行不能な場合、事故が発生して運転者が連絡できない場合に自動的に警察や救急、販売店やメーカーなどに連絡を行いことができます。

■コネクティッドカーのプラットフォーム

コネクティッドカーのプラットフォームは現在各社が開発している最中で、まだこれと言った統一のものがあるわけではありません。

しかし、欧米やヨーロッパの自動車メーカーとその部品サプライヤーは、すでにコネクティッドカー実現に向けて着実に進歩しています。

例えば、テスラモデルSのセンターコンソールに鎮座する縦長大画面のモニターは車両のコントロールからナビゲーションシステムの表示、そして車両自体のシステムバージョンアップまでこなします。

同様にBMWメルセデス・ベンツアウディフォードなども独自のコネクティッド技術を採用しています。

そして、スマートフォンを車内で操作するための仕組みとして公開されたGoogleのAndroid AutoやAppleのCarPlayなども実は、コネクティッドのプラットフォームとしてなり得るように作られています。

※Android AutoやCarPlayについての関連記事はこちら

最近では、Microsoftが北米の家電ショーのCES2017で新しいコネクティッドカーのプラットフォームを公開して注目を集めましたし、この分野の開発競争は熾烈になっています。

■コネクティッドカーの覇権争い

自動車メーカーやそのサプライヤーだけでなく、これまで全く自動車と関係の無かったMicrosoftやGoogle、Appleと言ったIT企業がコネクティッドカーのプラットフォーム開発を急ぐのでしょうか。

それは自動車という移動体から、多くのデータを得ることができるからです。

車は人を乗せて移動し、人はさまざまな目的で車を使って移動します。
それらの移動情報や、車から得られる情報はビッグデータとしてさまざまなビジネスに活用できると考えられているからです。

たとえば、車内エンターテインメントとして、GoogleのAndroidAutoやAppleのCarPlayを採用するメーカーは増えていますが、ベースはあくまで自社のプラットフォームを採用し、そのなかの車内エンターテインメントの部分だけをGoogleやAppleに公開しているにすぎません。
つまり自動車メーカーは、これらの企業にデータを渡したくないと思っていると言うことなのです。

■日本でコネクティッド技術が遅れているわけ

日本ではコネクティッド技術が遅れていると言われていますがそれはどうしてなのでしょうか。

まずひとつは、コネクティッド技術にはお金がかかると言う問題があります。
車載モニターやコントローラー、センサーなどに加え、さまざまな機器を集中してコントロールするための機器などを追加する必要があるのです。

コスト重視の国産メーカーが販売価格が数十万円もアップするこれらの機器を搭載することに対して二の足を踏んでいるというのがひとつめの理由です。

もうひとつの理由は、オーディオ機器やナビゲーションシステムのサードパーティーメーカーの存在です。

日本の乗用車は普通、DIN規格というカーオーディオのスペースが設けられていて、そこに好きなメーカーのオーディオやナビゲーションシステムを組み込むのが普通でした。
しかし、コネクティッド技術を取り入れると、それらのサードパーティーメーカーの機器が取り付けられなくなってしまいます。

ユーザが自分の好みのオーディオやナビゲーションシステムを使うことができないといのは、国産車ではデメリットが大きいと考えられています。

マツダは国産メーカーでは珍しくコネクティッド技術を取り入れた車両インターフェイスである「マツダコネクト」を採用していますが、使い勝手が悪いということで、敬遠する人もいるほどです。

また、BMWの旧世代のiDriveという車両インターフェイスでは、ナビゲーションシステムが付いているにもかかわらず、外部入力インターフェイスを追加してサードパーティーの使いやすいナビゲーションシステムをモニターに表示させる機器が売れたりしました。

■まとめ

マツダコネクトがヨーロッパメーカーのBMWやメルセデスベンツなどとくらべると機能や操作性に劣るのは、コネクティッドに対する経験不足の面も大きいですが、日本においてははまだまだコネクティッドの有効性を使う側も作る側にも理解している人が少ないのが原因でしょう。

トヨタは今後のコネクティッドの重要性を認めていて、「トヨタメディアサービス」という子会社を「トヨタコネクティッド」に変更すると言っています。
今後、数年のうちに国産車でもコネクティッドは自動運転技術などの進歩と同様に急速に進むとみられます。

車がインターネットとつながり、今以上に便利になる未来はすぐそこまで来ています。

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