自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
車を購入するときに、デザインや燃費だけで選んでいないですか?
そういった選び方をしていると、最初は気に入って購入した車のはずが、長く乗っていくうちに少しずつ不満が出てきてしまうかもしれません。
そういった小さな不満を我慢しながら乗り続けているという人も少なくないのではないでしょうか。
そのような事態を回避するためには、デザインや燃費性能だけでなく、様々なポイントをチェックしなければいけません。
そこで、今回は失敗しない車選びのポイントを紹介していきたいと思います。
車のタイプ別!メリットとデメリット
車には様々なタイプがあり、タイプごとにメリットやデメリットが異なります。
自分に合った車を見つけるためには、まずは車のタイプごとの大まかな特徴を把握しておきましょう。
車には、次のようなタイプがあります。
・軽自動車 ・コンパクトカー ・セダン ・ミニバン ・SUV
・スポーツカー
軽自動車
軽自動車は、自動車の中でも最も小さい規格の車です。
代表的な車種は、ダイハツのタントやホンダのN-BOXなどです。
軽自動車の魅力は、コストがかかりにくいことです。
他の車よりも車両代金がお手頃な車種が多く、燃費性能の高さや税金が普通自動車よりも安いなど維持費もかかりにくいこともポイントです。
またタントやN-BOXを始めとする室内空間の広さを売りにした車種は「スーパーハイトワゴン」や「トール・ハイトワゴン」などと呼ばれます。
このような車種は、軽自動車とは思えないほどの広さを実現しており、小さい子供を持つ家族のファミリーカーとしても人気があります。
デメリットは、軽自動車独自の規格です。
軽自動車は、排気量が660cc以下で乗車人数が4人までと決められています。
そのため、加速時や上り坂といった場面で普通自動車に比べてパワー不足を感じたり、少人数での移動に限定されてしまいます。
コンパクトカー
軽自動車よりかは大きいですが、普通自動車の中ではコンパクトで運転しやすいタイプの車がコンパクトカーです。
明確な基準があるわけではありませんが、5ナンバーで1000cc~1500ccの排気量の比較的に小さい普通自動車が多いです。
代表的な車種は、トヨタのアクアやホンダのフィットなどです。
コンパクトカーの魅力は、低コストと運転のしやすさです。 他の普通自動車に比べて低価格な車種が多く、燃費性能に優れているので維持費も抑えやすいです。
小回りも利くので街中での走行もしやすく、幅広い層に人気があります。
目立ったデメリットが少ないのもコンパクトカーの魅力ですが、デメリットを強いて言うなら、特出した特徴を出しにくく中途半端になりやすい点です。
ただし、最近のコンパクトカーは非常に良くできており、全体的にバランスのとれた車種が多いので、特別こだわりがある人でなければ、デメリットに感じる人も少ないかもしれません。
セダン
乗用車として最もベーシックなタイプとされている車がセダンです。
代表的な車種は、トヨタのクラウンやプリウスなどです。
セダンの特徴は、エンジンルーム、乗車スペース、トランクルームがそれぞれ独立した「3ボックス」と呼ばれる形状です。
3ボックスのメリットは、乗車スペースが独立していることで衝突に強く、乗り心地にも優れている点です。
セダンタイプの車は、以前は大衆車としての人気もありましたが、最近では3ボックスの特性を活かしやすい高級車に多い傾向にあります。
そのため、メーカーの技術を結集されたモデルが多く、走行性能や安全性能に優れた車種が多いのも特徴です。
デメリットとして、3ボックスという形状はトランクルームが小さくなりやすいので、荷物をたくさん載せたい人には向いていないかもしれません。
また背が低く前後に長くなりやすい形状は、死角が生まれやすく、人によっては運転しにくく感じる場合もあります。
ミニバン
居住性に優れていて大人数でも快適に移動できる車のタイプがミニバンです。
トヨタのヴォクシーや日産のセレナなどが人気です。
ミニバンの特徴は、3列シートで7~8人の大人数で乗れることです。
シートアレンジが可能な車種が多く、乗車人数や状況に合わせてシートを変更することで、様々なシーンで快適に移動することができます。
電動スライドドアなど使い勝手の良い装備が標準装備されている車種も多く、ファミリーカーとして非常に人気のあるタイプです。
大人数で快適に移動できる点が魅力のミニバンは、どうしても車両重量が重くなりやすく、全高のあるモデルが多いので、小回りが利きにくく、燃費も悪くなりやすいです。
また、その大きさのあまり、高さ制限のある立体駐車場では駐車できないことがほとんどです。
そのため、立体駐車場が多い都心での駐車に困るケースもあります。
SUV
SUVとは「Sports Utility Vehicle」の略で、スポーツやアウトドアといったシーンで活躍するタイプの車です。
多目的なシーンでの使い勝手を重視されるため、荷室の広さやオフロードでの走行性に優れた車種が多いのも特徴です。
代表的な車種は、トヨタのランドクルーザーや日産のエクストレイルなどです。
使い勝手の良さとデザインの良さから、最近では最も販売台数が伸びている若者に人気のタイプです。
特に、よりスタイリッシュなデザインで街乗りでも使いやすいクロスオーバータイプやホンダのヴェゼルのようなコンパクトSUVも人気が高いです。
若者を中心に人気の高いSUVですが、保険料が高くなりやすいというデメリットがあります。
SUVを始めとする車体の大きい車は、ベースの保険料が高く設定されている傾向にあります。
さらに、若い人だと保険の等級が低くなりやすいので、トータルの保険料が高くなりやすいです。
スポーツカー
使い勝手よりも運転を楽しむことを重視したタイプの車がスポーツカーです。 「走る」「曲がる」「止まる」といった車の基本的な性能に優れていることが特徴です。
代表的な車種は、マツダのロードスターやトヨタの86などがスポーツカーとして人気があります。
AT車が一般的になっている中で、MT車が多いのもスポーツカーの特徴です。 また、スポーツカーでは後輪駆動でエンジンを前方に積んだFR(フロントエンジン・リアドライブ)が多いです。
FR車は後輪駆動にすることで、大排気量のエンジンを積みやすく、ハンドル操作がしやすくなるので、車のパワーと操縦性を両立することができます。
クルマ本来の動力性能に優れたスポーツカーは運転を楽しむのに最適な反面、室内空間の狭さなど、普段使いとしての利便性には優れていないことがデメリットとしてあります。
車選びで注意したい5つのポイント
ここからは、車選びで注意すべきポイントを紹介したいと思います。
デザインや燃費以外にも、車には様々なポイントがあるので、車を比較するときには次のようなポイントをチェックしてみてください。
1.乗り心地 2.視界の良さ 3.車内空間の広さ 4.快適な装備
5.安全性能
1.乗り心地
車選びで大事なポイントが乗り心地です。
特に運転席の乗り心地は必ずチェックしましょう。
シートの硬さや形が自分に合っていないと長時間乗り続けていると腰が痛くなってしまうこともあります。
運転席の乗り心地を確認する場合は、ただ座ってみるのではなく、正しいドライビングポジションになるように実際にシートやハンドルのポジションを調節してみましょう。
できれば試乗してみて、運転時の乗り心地をチェックできるとさらに良いです。
リヤシートに人を乗せる機会が多い人は、リアシートの乗り心地もチェックしておきましょう。
十分な空間が確保されているか、リアシートのリクライニングは可能かといったポイントを確認しておくと良いでしょう。
2.視界の良さ
見落としがちですが、非常に大事なポイントが視界の良さです。
視界が悪いと事故を起こす危険性が高まってしまうので、かならずチェックするようにしましょう。
特にピラーによる死角は、必ずチェックしておきましょう。
フロントガラスの両端にあるピラーの形状によっては、交差点に進入する際に歩行者が死角に隠れてしまって、気づきにくいことがあります。
視界はシートポジションによっても変わってしまうので、同じ車でも乗る人が違えば視界の良さは変わってきます。
また、実際に運転してみないと分からないことも多いので、必ず試乗してみながら死角になりやすいポイントをチェックしておきましょう。
3.室内空間の広さ
最近では、室内空間の広さを重視する人も多いと思います。
室内空間の広さを重視する場合は、自分の使用目的に合っているかどうかをチェックしてみてください。
同じ室内空間の広さを売りにした車でも、乗車スペースを重視した車と荷物をたくさん載せられる車では特徴が少しずつ違うので、広さだけでなく使い勝手と合わせて比較すると良いでしょう。
また、シートアレンジができるタイプであれば室内空間を無駄なく使いやすいので、車を様々なシーンで活用したい人におすすめです。
4.快適な装備
最近では、車を快適に使うための装備が充実した車種が増えてきています。
自動でスピードを制御してくれるクルーズコントロールを始めとする運転支援技術や、手を使わずに開閉できる電動スライドドアのようなあると嬉しい装備まで様々です。
ただし、このような便利な装備は使わなければ宝の持ち腐れになってしまうことも多いです。
そのため、車の装備をチェックする場合は、どれだけ装備が充実しているかよりも自分に合った装備が備わっているかをチェックするようにしましょう。
5.安全性能
最近の車は、事故を未然に防ぐための技術に優れたものが豊富です。
障害物を検知して自動でブレーキをかけてくれる技術を始め、「ぶつからない車」をコンセプトとした技術や機能を売りにしている車種は多いです。
踏み間違いを防止する機能や、車線を逸脱しないようにハンドルを制御する機能もその1つです。
ただし、このような安全装備はメーカーごとに少しずつ内容が異なる場合があるので、性能の違いなどを細かくチェックしておく必要があります。
また、安全性能のチェックする上で、このような事故を予防する技術も大事ですが、万が一事故を起こしてしまったときの安全性能を確認しておくことも大事です。
横からの衝突に備えるためのサイドエアバッグが装備されているかどうかや、ぶつかった歩行者の保護性能の高さなどを確認しておくと良いでしょう。
自分に本当に合った車を見つけよう!
たくさんの車の中から、自分に合った車を見つけ出すのは、とても大変な作業です。
デザインや燃費性能などは、他の車との違いが分かりやすいので、そこばかりが注目されやすいですが、本当に自分に合っているかどうかは、その他の細かいポイントも非常に大事です。
これから車を購入しようという人は、ぜひ今回の記事を参考にしながら自分に合った車選びにチャレンジしてみてください。
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