自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
ヨコハマタイヤの真骨頂でもあるスポーツタイヤ。
一度は試してみたいADVANシリーズは、GT選手権などでもおなじみです。
そんな優れものぞろいのヨコハマタイヤのスポーツ用ラインナップのなかで、とりわけおすすめのモデルはどれか。
主なものをひとつずつ解説しながら選びだしてみましょう。
1.スポーツタイヤのマッチング
S.drive AS-01
早速期待を裏切りますが、S.driveはADVANシリーズではありません。
しかし、幅広いサイズをカバーしているスポーツコンフォートタイヤですので、スポーツタイヤの入門用としてはご紹介しないわけにはいきません。
このタイヤを購入する場合、DNA S.drive ES03とS.drive AS-01の2種類が存在しているので注意しましょう。 ES03はモデルチェンジ前のタイヤになります。
悪いものではありませんが、確実に一世代前の旧式ですね。
今回ご紹介するのはモデルチェンジ後のAS-01です。
元はDNAシリーズだったことからも分かるように、低燃費タイヤとしての特性を持っています。
スポーツタイヤにあるまじき特性ですが、ビジュアル的にはかなり満足できるのではないでしょうか。
14インチから20インチのサイズラインナップは悪くありません。
SUV以外のボディータイプであれば軽自動車であっても問題なくご使用いただけます。
通常ウェットコンディションに弱いのがスポーツタイヤなのですが、AS-01はコンフォートタイヤとして生まれたスポーツルックなタイヤなので、問題なくウェットコンディションでも安定した走行性能を発揮することができます。
極端に強いグリップ性能は持っていませんが、軽自動車やコンパクトカーで遊びたいあなたにはベストチョイスといえるでしょう。
スポーツタイヤのようなロードコンディションに強く左右されるのが嫌でも、ルックスはオシャレにしていたいというあなたにもアリです。
ADVAN Sport Z・P・S V103S
空気圧ゼロ状態でも、所定速度以内であれば走行することが可能なADVAN SportシリーズZ・P・S V103Sです。 ハイグリップ性能は、さすがADVANといえるレベルまで高まっています。
初めてのスポーツタイヤにチャレンジというあなたに強くオススメしたいタイヤです。
スポーツタイヤというのは、ハイグリップで力強い走行性能を発揮できる反面、一定範囲の摩耗を越えた時に突如剛性を失うという特性を併せ持っています。
いわゆるパンクやバーストを起こしやすい時期が存在するのです。
このV103Sの場合、Z・P・S(ゼロ・プレッシャー・システム)と呼ばれるヨコハマタイヤ独自の技術により、突如発生するかもしれないパンクやバーストによるホイールへのダメージを最小限に抑えることができるというありがたい特性を持っているのです。
初めてスポーツタイヤにチャレンジすることで、まだ見ぬアクシデントへの対策はしておくことに越したことはありません。
アクシデントに対する前準備のためだけなら、V103Sをわざわざご紹介する必要はありません。
例外なくADVAN Sportシリーズは、ハイスピードレンジでの安定性を自負しているタイヤです。
過酷状況下において安定した走行性能を発揮できるタイヤは、通常使用状況下においても一定以上の走行性能が期待できます。
特に、ウェットコンディションであってもドライコンディションと同レベルでの走行が可能なのがV103Sの最大の特徴です。
シリーズ中V103Sのドライ性能は75〜80点と決して低くありません。
その性能をウェットコンディションでも発揮できるというのは、1つの武器になるのではないでしょうか。
ADVAN NEOVA AD08 R
ヨコハマタイヤファンであれば誰でも一度は憧れる最高のストリートスポーツタイヤADVAN NEOVA AD08 Rです。
15インチから19インチまでのサイズラインナップが用意されていて、セダン・スポーツカー・コンパクトカーに対応しています。
ドライ・ウェットコンディションに左右されず、圧倒的なレスポンスで自動車を前へと突き進ませてくれるモンスタータイヤです。
静粛性や乗り心地は二の次、とにかくグリップさせて前へと進むタイヤという印象が強く、良くも悪くも極めてスポーツタイヤだといえます。
全モデルを通して、NEOVAの魅力はビジュアル面から始まります。
他にはない独特なトレッドパターンは、誰もが一目見ただけであなたがNEOVAユーザーだということが分かります。
ある意味優越感に浸ることができます。
特にスポーツカーに乗っている人間であれば、NEOVAのトレッドパターンは見逃さないはずです。
さて、次は性能面の魅力です。
グリップ性能については文句なしに大満足いただけます。
AD08 Rへとモデルチェンジしてからというもの、初期グリップ性能の見直しをされているため接地面の温度に関係なく力強いグリップ性能を発揮します。
コントロール性も向上していて、ハンドリングに対するレスポンスが一段とクイックなものとなりました。
前モデルのAD08も扱いやすく乗りやすいものでしたが、トータルバランスが飛躍的に向上しています。
これまでのNEOVAというのは、アグレッシブに攻めこむことを得意としてきたタイヤという個人的な感想がありましたが、AD08 Rはそれだけではない懐の深さを感じます。
コンフォートな使用感とまではいいませんが、一般道を平然と走行するだけの走行することができるスポーツタイヤにまで進化しているのです。
これまでも一般道で使用されてきたタイヤではありますが、どことなく神経を使うタイヤだったことは否めません。
それこそ、一瞬の気の迷いが平常だった走行性能が破綻してしまうような瞬間がなかったとはいい切れないのです。
そんな綱渡り的なシビアさをAD08 Rは払拭しています。
グリップ性能の飛躍的向上が、NEOVAをただのスポーツタイヤから一般使用にも適するストリートタイヤへのキャパシティーを与えたのです。
ADVAN Sport V105
欧州自動車メーカーの協力の下、新たなステージへと駆け上がったADVAN Sport V105はADVAN史上最高のタイヤとなっています。
16インチから23インチという高級車をターゲットとしたラインナップは、セダン・スポーツカーに対応しています。
V105専用の非対称・非方向性のトレッドパターンは、ドライ・ウェット性能を圧倒的なレベルまで引き上げています。
接地面の圧力をしっかりと面で捉えることができるように、各ブロックに微妙なアールを付けてあります。 アール中央が接地してから、車重により両端までしっかりと接地できるのは想像できると思いますが、通常のフラットな接地面の場合、車重により中央部分が浮き上がってしまうというのは意外な盲点です。
V105は、各ブロック個々にアールを付けることで接地面の均圧化を実現しました。
これによるグリップ性能飛躍的上昇は、あらゆるロードコンディションにも絶大な威力を発揮します。
グリップ性能だけでADVAN史上最高だなんていわないと思われるでしょうが、実は本当にこれだけです。
確かに素材の開発や見直しで、タイヤそのもののレベルが段違いに上がっているのは否めません。
サイドウォール構造を見直すことにより、タイヤのねじれを抑制しているという技術的アプローチも、燃費性能・静粛性・乗り心地に大きく貢献してくれてはいます。
しかし、このV105はそれらの技術的な性能アップよりも、本当にグリップ性能の素晴らしさが何よりも素晴らしいのです。
あえて例えるなら絶対に滑らない・ふらつかないという安心感でしょうか。
スポーツタイヤでありながら、その乗り心地は正に高級車のそれに類似しています。
V105に関しては、一度あなた自身で体感していただくのが一番だといえるでしょう。
ADVAN FLEVA V701
スポーツタイヤと呼ばれるハイグリップタイヤにあるまじき低燃費性能を要求されたADVAN FLEVA V701は、運転する楽しさを損なわないままこれを実現しました。
15インチから19インチのサイズラインナップは、SUV・軽自動車以外のボディータイプに適しています。
低燃費性能の向上には、徹底したゴム質の改善により実現しています。
これによる恩恵は燃費性能だけに留まらず、グリップ性能を維持したまま耐摩耗性能の向上にもつながっているというロングライフなスポーツタイヤを生み出すことになりました。
V701の魅力はウェットコンディションでのハンドリングのキレです。
排水性に優れたトレッドパターンの採用により、スポーツタイヤが苦手とするハイドロプレーニング現象を抑制し、肩部の溝を増やすことでロードノイズの低減を図りました。
このトレッドパターンの特徴は非貫通だということです。
排水口を1箇所にすることで逆流を防ぎ、接地面を確保し、トレッド面の剛性を向上させるというメリットがあります。
なかなか使い勝手の良いタイヤです。
ADVAN Sport V105のテクノロジーを採用しているので、直進安定性に優れ偏摩耗しづらいことも嬉しいポイントです。
接地面中央のブロックを幅広にすることで、レスポンスの良いハンドリングが可能となっています。
2.まとめ イチオシのスポーツタイヤはコレだ‼︎
私がイチオシのスポーツタイヤは、やはりこれを知らずにヨコハマタイヤ ADVANシリーズは語れません。
「ADVAN NEOVA AD08 R」
私は、スポーツタイヤはどこまでいってもスポーツタイヤであるべきだと考えています。
細かい性能を追求するよりも、どんな時でも確実な走行性能をフィードバックしてくれた方が、運転する者としては安心感があります。
そのために多少のノイズがあったとしても、それすら楽しめるようでなければスポーツタイヤを使用する意味がありません。
ロングライフ性能を求めたが故に、静粛性を求めたが故に、グリップ能力が低下してしまうのであれば本末転倒です。
スポーツタイヤなのですから。
それぞれに優れたタイヤばかりですが、私はADVAN NEOVA AD08 Rをあなたにオススメ致します。
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