BMW MINIはイギリスのBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)の大衆車の名車「MINI」をモチーフに、BMWが新たに設計製造した車です。
BMW MINIは2001年に登場し、「ニューMINI」として、またBMW初のFF車として注目を集めました。
本家のBMCミニが現在の軽自動車よりも小さいボディサイズであったのに対して、BMWのMINIはかなり大型化されました。
当初は「こんな大きな車をMINIとは言えない」などの批判もありましたが、本家MINIの特徴を上手く取り入れたBMW MINIはユーザーに受け入れられ、今やMINIといえばBMW MINIだと言っても良いほどの人気車種となりました。
そして、BMW MINIが登場してから15年経過した現在、MINIはスタンダートな3ドアハッチバック以外に、さまざまなバリエーションのボディタイプが販売されるようになっています。
今回は、そんなMINIのラインナップをご紹介し、
「MINIは気になるけどどれを選べばいいかわからない!」
そんな疑問にお答えたいと思います。
■スタンダートなMINI。 3ドアハッチとコンバーチブル
MINIはさまざまなボディタイプが販売されていますが、やっぱりスタンダードなのは、3ドアハッチバックのMINIです。
モデルチェンジで新型のMINIが登場する際には、まず3ドアハッチバックが発表されます。
そして、その後にさまざまなタイプのMINIが発表されるというのが通常のパターンです。
MINIの走りの標準もMINI3ドアが基準となっていて、ゴーカート感覚と言われるダイレクトな操縦感覚は初代から変わらずMINI3ドアの走りが中心にあります。
つまり、やっぱり3ドアハッチバックのMINIが、現在でもMINIの中心だということなのです。
そして、3ドアハッチバックのオープン版が、コンバーチブルです。
MINI3ドアの屋根を取った様に見えるソフトトップのオープンモデルです。
コンバーチブルにはMINIらしいおしゃれや遊びの感覚が明確で、2016年夏時点で現行のコンバーチブルには、ソフトトップにイギリスの国旗ユニオンジャックがプリントできるオプションが設定されます。
MINIの生まれ故郷のイギリス国旗をデザインに取り入れて、遊び感覚を素晴らしいデザインと融合させているところが、MINIの人気のゆえんです。
■待望4枚ドア MINI5ドアとクラブマン
MINIは欲しいけど、3ドアしかなく、5ドアの設定がないからあきらめた。
そうなんです、実は筆者もMINIには乗りたいけどドアが3枚しかないのが不便で、購入に二の足を踏んでいました。
実は先代のMINIまで、ちゃんとしたリアドアがあるモデルは、クロスオーバーだけでした。
クロスオーバーは、スタンダードなMINIと少し違う大柄なモデルなので、純粋なMINIの5ドアとは違う印象がありました。
実は、MINI3ドアに近いサイズで、リアにドアがあるのはクラブマンの片側観音ドアだけでした。
先代のクラブマンは観音開きのドアが目立たないのと、片側にしか付いていないために、MINI3ドアに見えるにも関わらず、サイドビューをMINI3ドアと較べると、クラブマンはホイールベースが長く、胴長に見えるため「ダックスフント」などと揶揄(やゆ)されることもありました。
しかし、2013年に発売されたの3代目MINIでは、MINI3ドアに加えて、5ドアが追加され、クラブマンも普通のドアの5ドア(リヤドアは観音開き)になりました。
もちろん、MINI3ドアと較べると、ホイールベースは長くなっていますが、デザイン処理によってMINI3ドアと較べても違和感が少なくなりました。
これは、3ドアが理由でMINIをあきらめていた筆者のような家族持ちユーザーにはとても嬉しい変更です。
■もはやMINIとは言えないサイズ!?クロスオーバーとペースマン
2010年に追加されたMINIクロスオーバー(本国名:カントリーマン)は、MINI最大サイズのモデルです。
全長4,105mm×全幅1,790mm×全高1,550mm、ホイールベースが2,595mmと、大きくなった3代目のMINIと較べても一回り大きなサイズとなっています。
そして、シリーズ初の4輪駆動システム「ALL4」を採用したことも話題になりました。(3代目のクラブマンにも4輪駆動「ALL4」の設定があります。)
このALL4システムは油圧によるデファレンシャルの制御によって完全なFF(100:0)から完全FR(0:100)の駆動力配分が可能です。
実は、これまた4輪駆動で荷物がたくさん積めるということで、筆者も購入を検討したことがあります。
しかし、大型化の影響か、さすがにMINIのようなきびきび走る感じが少なく、良さが失われていたように見え、それが原因で結局購入には至りませんでした。
そして、2013年に発売されたペースマンは、クロスオーバーの3ドアバージョンです。
クロスオーバーより全高が20mm低いペースマンは、クロスオーバーよりもスポーティーなセッティングとなっています。
ここで、クロスオーバーを検討されている方に注意していただきたいのは、2016年現在のラインナップでクロスオーバーとペースマンは1世代前の2代目の車体のままということです。
クロスオーバーとペースマンは、近々モデルチェンジが予定されていますので、新型に切り替わるのを待つのも良いでしょう。
■幻となった2シーターMINI、クーペとロードスター
MINIクーペとロードスターはMINIでは珍しい2シーターモデルでした。
クーペは野球帽を逆さに被ったように見える、ルーフのリヤスポイラーが特徴の「ヘルメットルーフ」を持っていました。
ロードスターは、2シーターのオープンモデルで、コンバーチブルと違って独立したトランクリッドを持っていました。
しかし、幌は手動式だったため、コンバーチブルとくらべると、実用性は今ひとつと思われたのかもしれません。
そして、そもそも実用性を捨てて、スタイルを優先させたクーペとロードスターは2015年に廃止されてしまいました。
それは、MINIにはある程度の実用性が必要だと言うマーケットの要求を反映してのことだったかもしれません。
スタイリッシュで先鋭的デザインだったクーペとロードスターは、現在は中古車でしか手に入りません。
しかし、あえてこのおしゃれなMINIを中古車で探してみるのも良いでしょう。
■MINIにもクリーンディーゼルの波がやってきた!
日本でもクリーンディーゼルが見直され、流行しています。
そして、とうとうMINIにもクリーンディーゼルの波が押し寄せてきています。
なんとMINIコンバーチブルを除く、MINI3ドア、5ドア、クラブマン、クロスオーバー、ペースマンにクリーンディーゼル搭載車を選択可能なのです。
ただし、クリーンディーゼルを選択するとトランスミッションはATのみになります。
MT派のかたは自動的にガソリンエンジンを選択することになります。
搭載されるクリーンディーゼルエンジンは1.5リッター3気筒と2リッター4気筒エンジンです。
エンジンのスペックは、MINI3ドア、5ドアのグループ、クラブマン、クロスオーバーとペースマンのグループでスペックなどが異なります。
トランスミッションはすべてATで、クラブマンのディーゼルのみ8速ATが採用されます。
■忘れちゃいけない最強のMINI JCW(ジョン・クーパー・ワークス)
JCW(ジョン・クーパー・ワークス)はMINIの伝説チューナー、ジョン・クーパーの名前から取ったMINIのコンプリートチューン車両です。
2005年のジョン・クーパーキット発表当時は、MINIのチューニングキットを販売するのみでしたが、最近ではMINIのモデルを跨いだグレードの様なものとなっています。
JCWの装備内容は、いかにも走りを意識したようなエアロ、大型化したホイールとブレーキ、そして専用のサスペンションと、専用チューンでパワーアップしたエンジンです。
これだけの内容で、ベースモデルのクーパーSから70万円から90万円プラスの範囲に収まりますので、MINIでとことん走りを追求したい方には、是非お勧めしたいのがJCWです。
しかも、JCWの以前のモデルはMTだけの設定でしたが、最新のラインナップでは、ATも選択可能になっています。
AT限定の家族と一緒に使う場合でもJCWを選択することができるので、車が好きなお父さんには嬉しい配慮ですね。
■悩んでしまいそう。でも、自分の好みのMINIが必ず見つかるはず!
MINIのラインナップは、ボディタイプ、エンジン、トランスミッションなどの組み合わせがとても豊富で、選ぶのに悩んでしまいそうな程です。。
でも、別の面から見ると、それはさまざまなユーザーのニーズや要請に答えた結果として、現在の商品の展開がされているともいえます。
車の使い方や趣味によってどのタイプのMINIを選ぶか、エンジン、ミッション含めて、選択肢が多いMINIは好みの1台を選ぶことのできるブランドだと言えます。
これを機会に、どっぷりとMINIの世界にひたってみませんか?