自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
元ディーラー営業マンが教える値引きテクニックの第二弾です。
前回は営業マンを味方につけることで値引きをしやすくしてもらうための方法を紹介しましたが、今回は、同車種の競合を使った値引きテクニックを紹介したいと思います。
同じメーカーのディーラーでも競合はできる?
競合と聞くと、別メーカーのライバル車種と競合させて商談を有利に進める方法を思い浮かべる人が多いと思います。
このような他社メーカーでの競合以外にも、同じメーカー内で競合させることが可能なんです。
実は、同じ地域のディーラーでも、運営している販売会社が異なることがあり、そういった場合は同じ車を使って競合させることができます。
同車種で競合させられるパターンは主に次の3つです。
・資本の異なるディーラーでの競合 ・異なる販売チャネルのディーラーでの競合
・ディーラーと販売店(サブディーラー)での競合
資本の異なるディーラーでの競合
メーカー指定の同じ看板が使われているために分かりづらいですが、同じ地区でも異なる販売会社によってディーラーが運営されていることがあります。
このような場合、メーカー資本によるディーラーと地場資本によるディーラーに分かれている場合が多いです。
メーカー資本と地場資本の違いや見分け方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
異なる販売チャネルのディーラーでの競合
多くのメーカーが販売チャネルの統合を行いましたが、トヨタは未だに複数の販売チャネルを持っています。 異なる販売チャネルでも、プリウスやアクアなど全てのチャネルで販売されている車種や、オーリスのような複数のチャネルで販売されている車種があります。
このような併売車種を使って、異なる販売チャネルで競合させることができます。
販売チャネルについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
ディーラーと販売店(サブディーラー)での競合
販売店とは、ディーラーのようにメーカーと直接取り引きをしていない販売会社のことです。 ディーラーは契約している特定のメーカーの車種しか扱えませんが、販売店はそのような縛りがないので、複数のメーカーの車種を扱っている場合があります。
希望の車種を扱っている販売店があれば、その車種を扱っているディーラーと競合させることができます。
ディーラーと販売店(サブディーラー)の違いについては、こちらの記事がおすすめです。
競合させるならライバル車よりも同じ車種の方が効果的!
見落としがちな同車種での競合ですが、実は他社メーカーのライバル車種と競合させるよりも効果的に値引きしてもらえる可能性が高いです。
他社メーカーの車種と競合させる場合、ライバル車種といえど、性能や元の販売価格など様々な面で違いが出てきます。
元々の条件が違えば、値引きできる条件も変わってくるので、競合させたからといって必ず値引き額が増えるとは限りません。
一方で上で紹介したような方法で同車種の競合を行えば、元々の条件が同じ車なので、競合相手と差を出すために価格での勝負になりやすいです。
そのため、ライバル車種と競合させるよりも効果的に交渉を進めることが可能です。
ただしNGな競合に注意が必要
同車種の競合には、違う店舗だったらどこでも可能なわけではありません。
同じ販売会社の違う店舗同士では、競合は基本的にはできません。 競合が成立するのは、他社に顧客を奪われることを避けるために、より良い条件を提示してくれるからです。 そのため、同じ販売会社の別店舗同士で顧客を取り合う意味がないので、競合が成立しません。
それどころか、担当の営業マンの印象が悪くなり、どちらの店舗でもそれ以上の交渉をする余地がなくなってしまう可能性の方が高いです。
同車種による競合は、効果的に交渉を進めるができる反面、競合させる店舗の判断が難しい場合があるので注意が必要です。
同じメーカー内で競合にチャレンジする場合は、事前にホームページなどで販売会社が異なるかどうかをチェックしておくようにしましょう。
同車種の競合を使った値引きテクニック
同じメーカーでも異なる販売会社であれば競合が可能ですが、より効率的に交渉を進めるためにはちょっとしたコツがあります。
競合をさせるためには、異なる販売会社での見積もりを集める必要があります。 しかし、ただ複数のお店から見積もりを集めるだけでは、競合の効果は半減してしまいます。
より効率的に交渉を進めるためには、それぞれのディーラーで事前にできるだけ良い条件を引き出した上で、競合させる必要があります。
営業マンから良い条件の見積もりを引き出すためには、そのお店で購入する意志があると思わせることが重要です。 最初から同車種の競合を考えていることを伝えてしまうと、見積もり目当ての購入する見込みの低い顧客と判断されるかもしれません。 そうなると営業マンは積極的に良い条件を提示しようとはしなくなってしまいます。
そのため、まずは同じメーカー内での競合を考えていることは伝えずに複数の店舗で商談を進めるようにしましょう。
最初から同じメーカーでの競合を使うのはあまり良くありませんが、他社メーカーのライバル車種の競合を最初から使うのは効果的です。
ある程度の商談を進めた上での見積もりを複数集められたら、同車種での競合を使った最終的な交渉へと挑みます。
最終的な交渉をどのディーラーで行うかは、営業マンとの相性で選ぶと良いでしょう。
一度出された値引き額からさらに良い条件を出してもらえるかは、担当営業マンがどれだけ店長に交渉してくれるかにかかっているからです。
事前の見積もり内容がさほど良い条件でなかったとしても、競合によって良い条件を出してもらえる可能性が高くなります。 気に入った営業マンに「条件面では、他のお店の方が良いので悩んでいるが、できればあなたから買いたい」ということを伝えましょう。
それまでの商談で営業マンと良い関係が築けていれば、このセリフで営業マンは良い条件をだすために必死に店長を説得してくれるはずです。
営業マンを味方につけるための方法は、前回のこちらの記事を参考にしてみてください。
同車種競合は交渉の切り札として使おう!
同車種による競合は効果は大きいですが、何度も使えるテクニックではありません。
商談の早い段階で同車種による競合を使うと逆効果になってしまうこともあるので、もう一声が欲しい場合の切り札に取っておくようにしましょう。
競合を使った交渉も、基本は営業マンとの関係性が大事になってくるので、ぜひ前回の記事と合わせて参考にしてみてください。
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