自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
日本国内で自動車に乗るために、誰もが必ず通らなければならない関門が【自動車検査登録制度】通称【車検】です。 自動車ディーラー車検・車検専門業者・ユーザー車検と、あなたには選択肢が用意されています。
どの方法を選ぶのもあなた次第ですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
自動車ディーラー車検であれば、あなたの自動車のに対して全てのメンテナンスを受け持つことで、メーカーからの保証を得ることができるという最高のメリットがありますが、その保証料として掛かる料金が割高となるデメリットがあります。
車検専門業者は、入庫後に一通りの検査項目を下見してもらい、その結果の中からあなたが必要と思う部分、今は先送りしたい部分を選択して作業してもらえるというメリットがあります。 しかしその反面、作業しなかったことで不具合が生じても何も文句が言えないという手痛いデメリットが発生します。
しかし、作業を省いてもらったりできるので車検費用としては割安に抑えることができます。
ユーザー車検は、何もかもあなた自身の責任において自動車をメンテナンスすることで、自動車の現状をしっかりと把握しながら乗り続けていけるメリットと、何よりも車検に掛かる費用を最大限に抑えることができるというメリットがあります。 そして、当然ながらユーザー車検ですので、全ての責任はあなた持ちになります。
今後どんな不具合が生じた場合にも、責任の追求もその保証も得ることができないのがユーザー車検における最大のデメリットとなります。
あなたはどの方法で車検を受けていきますか?
今回は、最低限の費用で車検を済ませることができるユーザー車検に重きを置いてお伝えしたいと思います。
1.Let’s ユーザー車検
最低限24ヶ月ごとに必ず受けなければならない車検は、日本の道路を安全に走行することができるようにして、歩行者の安全を守るというために存在しています。
そして、ユーザー車検を選択することであなたが背負う自動車維持のための経費はグンッと少なくすることができます。
あなた自身がユーザー車検に臨むために、最低限しておかなければならないメンテナンスは【ブレーキフルードの交換とそのエア抜き】だけです。 安全に自動車を走行させるということで、何よりも重視しなければならないのが【止まる】という動作になります。 今まで正常に走行することができている自動車は、実のところわざわざ手を入れなくても検査自体は通過することができます。 そのため、検査で絶対に落とすことが許されない【ブレーキテスト】だけをクリアすることができれば、後の検査なんて何も難しいことはないのです。 もし検査に落ちたとしても、その場で少しの作業をすることでクリアしていくことができます。
その手間さえ惜しまなければ、本当に安く車検を受けることができるのです。
2.ユーザー車検に掛かる費用
自動車には二種類あります。
【軽自動車】と【乗用車】です。
軽自動車のユーザー車検にかかる費用は以下の通りです。
・自動車損害賠償責任保険 ¥25,070−/24ヶ月 ・軽自動車重量税 ¥8,800−
・必要印紙代 ¥1,400−
合計¥35,270−が最低限必要な軽自動車のユーザー車検に必要となる費用です。 これを法定費用と言います。
これに交換部品代が上乗せされますが、それでも¥40,000−前後で車検取得できるのです。
乗用車には、500kg以下・1,000kg以下・1,500kg以下・2,000kg以下・2,500kg以下・3,000kg以下と、エコカーなのかによっても費用が違います。 更に、継続使用年数が13年未満かどうか、18年を超えているかによっても大きく変わってきてしまいます。
そのため、ここでは乗用車のユーザー車検にかかる法定費用の一例についてお伝えします。
・自動車損害賠償責任保険 ¥27,840−/24ヶ月 ・自動車重量税 ¥24,600−
・必要印紙代 ¥1,800−
合計¥54,240−が乗用車に必要なユーザー車検にかかる法定費用の一例です。
一例ではありますが、この金額で車検を受けることができるのです。驚きでしょう?
3.全てを自分だけでやろうと思わないことが成功の鍵
あなたがユーザー車検を受けたいからといって、実はメンテナンスをあなたがしなければならないわけではありません。 車検場の周りには、いくらでも【予備検査場】という最低限のメンテナンスをしてくれるメンテナンス工場があります。 ここにメンテナンスを依頼することで、確実に検査を通過することができる状態にして貰えます。 ただし、その分の費用はかかります。 最低限の費用で車検を受けるためには、全てのメンテナンスをあなたがする必要がありますが、自信がなければこのようなメンテナンス工場を利用することも1つの手です。
何度も検査のやり直しをしなければならないより手早く車検を終わらせることができます。
4.焦る必要のないユーザー車検
車検場は自動車取り扱い業者だらけで、一般ユーザーには敷居が高いと感じがちです。
そのため、多くの自動車ユーザーは専門家の手に全てを委ねて車検を済ませていきます。
しかし、今私があなたにオススメしているユーザー車検は、その敷居を地面まで下げているはずです。 唯一すべきメンテナンスは【ブレーキメンテナンス】だけなのですから。 一度車検レーンに並んでしまえば、検査官のほうがあなたをユーザー車検者だと書類から判断してくれます。 一つ一つ丁寧にあなたのすべきことを教えてくれます。 日常的に使用しているだけの自動車であれば、サイドスリップテストに落ちてしまうことは無いでしょう。 ブレーキメンテナンスをしておけば、制動力テストも問題ありません。 唯一心配すべきなのは【前照灯テスト】です。 ヘッドライトには照らすべき向きがあります。 その調整は、無理をせずに予備検査場で調整してもらっておきましょう。 工場ごとに多少価格差がありますが、大抵¥2,000−程度で請け負ってくれます。 後はゆっくり検査を済ませていくだけです。 焦ってしまうと検査ラインを越えてしまうので、停止ラインでしっかり止まりましょう。
あなたは、落ち着いて前に進むだけです。
5.まとめ やってみて損はないユーザー車検
自動車ディーラーで毎回車検を受けていたあなた、車検専門業者で少し車検費用を抑えていたあなた、一度はユーザー車検に足を運んでみてはいかがでしょう。 自分のメンテナンスだけでは心配だという場合、ディーラー車検とユーザー車検とを交互に受けるのも良いでしょう。 あなたに必要なのは、自動車をしっかりとメンテナンスできる様な技術ではなく【ユーザー車検に行く少しの勇気】です。 日本で自動車を乗り続ける限り、車検はいつまでも続くものです。
ほんの少しの勇気を出してみてはいかがですか。
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