自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
EVとはElectric Vehicleの頭文字を取った言葉で、つまりは電気自動車のことです。
ガソリンエンジンではなく電動モーターで動いているのが特徴。
ミニ四駆と同じ原理の原動機(エンジン)がリアルな自動車にも採用される時代になりました。
従来の自動車に設置されていたエンジンは存在せず、電気モーターのダイレクトリニアなトルク感が小気味良い操縦性を感じさせてくれます。
とはいえ、EVにはまだまだマイナスイメージが多いのが現実です。
➢充電がめんどくさそう ➢電気代が莫大にかかりそう
➢高そう…
電気自動車と聞くとこのようなイメージを持つ人が多いようです。
確かにEVは普通の自動車に比べて販売価格はお高めです。
日産のリーフの最低価格は315万円しますからね。
また、充電設備を自宅に設置しなけれななりません。
初期費用がかさみEVを導入しづらい体制であることは否定できない事実でしょう。
これまでとは違った仕組みの車ということもあり、馴染みのないものには抵抗を感じるという人も多いかもしれません。
しかし、思っている以上にEVにはメリットがあるのです。
1.日産EVのメリット・デメリット
EVは導入時のデメリットこそ目立ちますが、蓋を開けてみると悪いことばかりではありません。
私が考える日産EVのメリットを6つ挙げていきます。
環境に優しい
排気ガスが出ないというポイントだけでも、環境に優しい自動車だというのは明らかです。
これまでに輩出されてきた自動車の歴史の中で、限りなくゼロエミッション(環境を汚染する物質を排出しない仕組み)に近い自動車はEVをおいて他にありません。
通常の燃料エンジンでは、排出されるCO2によって地球温暖化に拍車をかけてしまうばかりか、排気ガスによる大気汚染もしてしまいます。
利便さを追求していくあまり増えすぎた自動車は、地球にも人間にもよろしくないものをまき散らしてしまっていたのです。
その点で、EVは開発された当初から環境に優しいと支持されてきました。
➢CO2の排出をしない ➢排気ガスを出さない
➢エンジン音の騒音がない
EVにするということは環境に貢献するということにも繋がります。
お財布に優しい維持費
自動車を持つと維持費がかかるというのは鉄板ですが、EVは意外にも維持する上で経済的な自動車です。
ガソリンは高騰することもよくあり、実際問題燃料費の引き上げに頭を悩ませることがかなりあります。
電気の場合、電気料金が高騰することは今のところありませんし、深夜に充電すればその分割安にもなります。
先ほどお伝えしたように、初期費用こそ多少かかりますが、長い目で見るとEVは経済的なのです。
1ヶ月に1000㎞走行するとすれば、普通自動車との維持費の差額は【8000円】ほどになります。
月に1万円ちょっとかかっていたガソリン代が、2000円弱の電気代で抑えられると考えてみると、かなり魅力的なメリットです。
補助金制度が利用できる
EVは環境に優しい自動車ということで、様々な優遇が受けられるようになっています。
「初期費用がかかるから無理だな…」
と諦めそうになっていた人には特に朗報です!
EVに対する国の補助金には
クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金
というものがあり、EVを購入後に所定の書類を提出することで補助金を受け取ることができるのです。
日産リーフであれば最大40万円を受け取ることができるということで、かなり嬉しい臨時収入ではないでしょうか。
更には、各都道府県でも同様の補助金制度を設けている場合もあるので、二重で補助金をゲットすることも可能!
自治体によっては補助金制度の条件があったり、終了していたりする場合があるので、購入前にあらかじめご自身の住む自治体の制度を調べてから検討することをオススメします。
税金まで安い!
税金まで安くなるとは、もう至れり尽くせりなEVです。
補助金も受け取ることができる上に、税金が優遇されるというメリット。
EVはエコカー減税対象となり100%免除され、その額なんと約10万円
それに加えて翌年の自動車税も減額となります。
今の日本の制度では、自動車税は排気量別で決まることから、EVがこんなにもお得になっているのです。
もし、EVの普及率が上がったらこの決まりが変わる可能性も無きにしもあらずですから、メリットが活かせるうちに買い替えておくのもアリです。
故障時に修理しやすい
ガソリン車に比べて造りがシンプルなところもメリットです。
EVは
- バッテリーとなるリチウムイオン電池
- タイヤを回転させるモーター
- モーター出力をコントロールする制御装置
で成り立っています。
このため、故障時に修理しやすくなっているのです。
とはいうものの、メカニックとしては少々扱いに困ってしまうという面もあります。
なぜなら、従来のエンジン自動車とは全く別アプローチでの修理を余儀なくされるからです。
エンジン搭載の自動車であれば、不具合の出たパーツを
という2ステップで直していきます。
しかし、EVは即交換が基本となってしまうため、作業に必要以上のスピードを要求されがちになってしまうのです。
乗り心地が最高!
EVの乗り心地を体感したら、ガソリン車にあるトルク変動や振動などに過敏なほど反応してしまうでしょう。
それほどまでに特性の違いがあるのです。
特筆したいのがなんといってもその加速性能です。
ガソリン車でも加速性が高いスポーツカーはありますが、EVにはそれを抜き去るほどの加速性があります。
日産リーフのCMでスポーツカーとカーレースをしている映像がTVで放映されていましたが、EVは加速したいと思ったときにレスポンシブにスピードが乗せられる快感を味わえます。
また、電気モーターなので振動や騒音がないところもストレスフリーなドライブに繋がっています。
エンジン独特の加速音がないことに最初は違和感を覚えるかもしれませんが、リニアでシームレスなスタートダッシュは癖になります。
2.日産EVの3つのデメリット
充電に時間がかかる
EVにイマイチ踏み出せない理由No.1として挙げられるのがこの充電時間の不利ではないでしょうか。
ガソリンであればものの5分あれば給油可能ですが、充電はそういうわけにはいきません。
基本的にEVは最短でも30~40分と、そこそこの時間を要することになります。
日産の新型リーフでさえ急速充電時間は約40分です。
しかも、この40分間の間に充電できるのは全体の80%
つまり、長距離を走る場合はこまめな充電が必要という現実が降りかかってくるのです。
満充電するには8時間以上かかり、最大で16時間必要だとされています。
満充電で移動できる距離は240㎞
そのため、40分の充電では190㎞しか移動することができないということになります。
これを距離にすると東京〜静岡間程度となり、大体4時間の連続航続時間ごとに充電が必要になってくるということになります。
とはいえ、普通にドライブをして2時間ごとに休憩をとると考えると、意外とストレスなく充電タイミングを作ることができるという事実も頭の片隅に置いておきましょう。
天候に注意が必要
電気にとって最大の敵となるのが水です。
EVでももちろん雨や雪の日でも充電はできますが、漏電や感電などの事故が起こらないように意識する必要があります。
当然メーカー側でも対策は施されていますが、電気に関して注意しすぎて悪いことはありません。
大雨、大雪、雷などの悪天候時は、屋外での充電は基本的にNGです。
寒い日にも要注意で、リチウムイオン電池は外気温が10℃以下になるとバッテリー容量が低下してしまい、充電に余計な時間がかかってしまいます。
もちろん充電時には濡れた手で行わないことや接続部分が濡れないようにすることも必須です。
イレギュラーな話にはなりますが、感電の恐れに関しては豪雨災害時におけるデメリットもあります。
記録的な豪雨となった2018年夏の西日本災害はまだ記憶に新しい時事問題ですが、この時ひそかに警鐘が鳴らされていたのがEVだったのです。
水害の被害車両になり、後日処理する場合でも危険性は高いため、むやみに近づかないことを警告されています。
電気を使っている以上、水害時にどう対応していくのか、正しい知識の普及が今後の課題となります。
充電スタンドが少ない
これはかなり深刻な問題です。
販売台数も増え、メジャーになりつつあるEVですが、まだまだ電気スタンドの設置が追いついていないのが現実。
充電スタンドといっても、ただ充電できればいいわけではありません。
求められているのは急速充電ができる充電スタンドです。
経済産業省の調べによると、2018年9月時点、全国の充電スポットは28,500基あり、その中で急速充電ができるのは7000基程度です。
しかも、全国に点在していればいいですが、地域によっては対応していないところもあったりと、EVシェア拡大につなげるための突破口ができ上がっていません。
設置数が少ない分、あなたより前に充電を開始した人が終わるまでの待ち時間もトータルの充電時間として考えなければならないのが現時点での課題となります。
こればかりは、時代が追いつくのを待つしかありません。
まとめ 日産EVはメリットの方が大きい!
ここまで6つのメリットと3つのデメリットをご紹介していきました。
デメリットについては、まだまだ改善の余地がありますので、今後の対応に期待していきたいと思います。
メリットに関しても、現状に甘んじることなく改良していける部分はどんどん高みを目指して欲しいです。
現時点でもガソリン車からEVへの乗り換えに踏み切るだけのメリットはたくさんある、という個人的な印象を持っています。
経済面についても前向きに検討する要因が大きいですし、二の足を踏んで時間を燻らせる必要はありません。
あえてデメリットを強調するのであればエンジン音が楽しめないという運転する際の満足度に訴えるものぐらいです。
時代と共に自動車のニーズは変わりつつあります。
便利から、環境への配慮がなされている自動車へのシフト。
これからの未来を生きるあなたが最良の選択をできることを願っています。
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