もしも事故の相手方が任意保険に入ってなかったら? | カーライフマガジン

以前より減少しているとはいえ、毎年何千人もの死亡者を出している交通事故。

死亡までいかなくとも重傷のケースまで含めれば、かなりの件数が発生しています。

誰だって巻き込まれたくない交通事故ですが、そうはいっても運悪く被害者になってしまうことも。

甚大な事故に遭ったことでその後働けなくなってしまったり、家族を残したまま死亡する可能性があるわけです。

とうていお金で解決する問題ではないですが、そんなときの補償のために存在するのが自動車保険。

しかし、もしも加害者が任意保険に加入していなかった場合はどうすればいいのでしょう?

加害者側に経済的余裕があり、反省して十分な補償金を支払ってくれればよいですが、そもそも任意保険に入っていないような人の場合、そんなことは極めて難しいでしょう。

しかも重大事故の場合、加害者は逮捕されて刑務所に入ってしまえば、さらに望みは薄くなります。

そうなると泣き寝入りするしかないなんて世間ではまことしやかに言われていますが、本当に望みはないのでしょうか?

加入が義務づけられている自賠責保険

名前の通り加入が任意である任意保険と違い、車両所有者が必ず加入することが義務づけられているのが自賠責保険。

一般に、保険金額が低すぎると認知されているこの自賠責保険ですが、具体的な額はどうなっているのでしょうか。

まず、重度でない被害であれば、治療費の上限は120万円とされています。

必ずしも上限額いっぱいが支払われるわけではないでしょうから、たしかに補償金としてあまり高くないように思えます。

では、後遺障害が残るような重度の被害や死亡の場合はどうでしょう。

これらの場合は桁がひとつ上がって、重度の場合は後遺障害の程度によりますが75~4000万円、死亡の場合で3000万円の補償とされています。

たしかに大金ではありますが、被害者のその後の人生を棒に振らせてしまったり、最悪死なせてしまった場合に、これではまだまだ少なすぎるのは確かです。

自賠責保険だけでは不十分な場合、どうすれば?

もし被害者が事故に遭わずにその後の人生を送っていたとしたら、残された人生の長さにもよりますが、自賠責保険で受けられる金額以上の額を働いて得られた可能性があります。

自賠責保険ではそれがカバーできませんし、また、事故により受けた精神的苦痛に対して慰謝料も自賠責保険では払われません。

裁判を起こして加害者に対して不足分を請求しようにも、前述のように支払い能力がなければ無駄骨となってしまいます。

そんなときは、被害者側の任意保険の特約をチェックしてみてください。

実は、任意保険のなかには自分が加害者になったときだけでなく、被害者になったときのための保険特約も存在するのです。

これらの特約には様々な種類があり、

  • 搭乗者傷害特約:死亡保険金や後遺障害に対する保険金を支払ってくれる
  • 人身傷害補償特約:慰謝料などを含めた金額を約款で定めらた範囲内で支払ってくれる
  • 無保険者傷害特約:加害者が任意保険に加入してない場合に、加害者の代わりに保険会社が保険金を支払ってくれる

などがあります。

さらに特約の中身次第では、保険契約をした本人だけでなく、同居の親族が事故に遭った時にも適用されるものも。

たとえば、事故に遭った妻は保険を契約していなくても、同居の夫の任意保険から支払いを受けられることがあります。

また、もし被害者が独身だった場合には、別居の両親が契約している任意保険にそういった特約があれば適用を受けられる可能性があるのです。

任意保険は相手のためだけでなく、自分のためでもある

上記のような任意保険の特約の知識は、知っているか否かでずいぶんと違ってくるものなのに、世間では必ずしも認知されていないように思います。

かりに不幸にも自分または大切な人が事故の被害に遭ってしまい、加害者が任意保険に入っていなかったとしても、相手の自賠責保険と被害者側の任意保険の特約を詳細に確認し、しかるべき補償を受けられる可能性があります。

任意保険は、決して加害者になった場合のためだけではなく、被害者になった場合にも役立ちます。

万が一に備え、ぜひこのことをおぼえておいてください。

また、まだ加入していないとか、今度車を所有するのでどの任意保険にしようか迷っているという方は、事故に遭ったそれ自体の悲しみに加え、補償を受けられない悔しさを味わわないためにも、ぜひ補償の内容をよく吟味したうえで任意保険に加入しておいてください。

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