自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
あなたは、自動車とどのように付き合っていますか? 購入当初のまま、車検を受けながらメカニックからの指摘を受けたものを直しながら乗っていますか?
あなたの趣味の部分を満たしてくれる改造車として、毎月アチコチ弄り倒していますか?
自動車には【チューニング】という楽しみ方があります。 簡単に言えば【改造】です。 しかし、大きな排気音やピカピカと光らせたりするものばかりが改造というわけではありません。
ココでは、メカニック的な立場から【チューニング】に対する正しい知識をあなたにお知らせしたいと思います。
1.良い改造と悪い改造がある
良い改造と悪い改造とは一体なんなのかという声が聞こえてまいりました。 自動車を通して、あなたのエゴを表現することは【あなた自身にとっての良いチューニング】です。
決してそれが悪いことだということではありませんが、自動車にとってはかなり負担を求められるチューニングとなるでしょう。
逆に、自動車にとってストレスとなるネガティヴ要素を徹底的に排除していくチューニングは【自動車にとって良いチューニング】ということになります。 ココをしっかりと考えながらチューニングしていくことが大切になります。
自動車にとって良いことを進めていくことで、今後の自動車との付き合い方にプラスな方向を見出すことができるはずです。
2.悪い改造の一例と説明
悪いチューニングというのは、自動車のことを考えずに手を加えていくことになります。 よくあるチューニングの1つに【車高調整】があります。
より低く下げるなど言語道断ですし、他の部分に掛かるストレスを考えないということは、自動車の故障を招く原因となります。
この場合、特にストレスが掛かるのが自動車にとって致命的な【フレーム】になります。 現代の自動車のフレームはボディ自体が担っています。 つまり、意味を理解せずに車高を調整することは自動車の寿命を短くすることでしか無いのです。
ボディにストレスが掛かるということは【ボディが歪む】ということになり、自動車が真っ直ぐに走れなくなる原因となります。
そして、ボディが歪めば自動車にとっては致命的なダメージだということなのです。 実際にはボディだけでなく、足回りにもエンジンにも大きなストレスを与えることになります。 最終的に自動車の命は尽きてしまいます。 たった1つの間違ったチューニングだけでの結果です。
これに加えて他にも悪いチューニングが重なれば、その分寿命が短くなっていくということになります。
3.良い改造の一例
良いチューニングというのは、自動車の性能を充分に発揮させていくためのチューニングになります。
あらゆる製品は、100%の性能を発揮し続けることは事実上無理です。
しかし、100%の状態に近い状態を維持し続けることは、確実に可能です。
自動車の場合もこの例に漏れず、80〜90%の性能を維持し続けることが自動車にとって良いチューニングとなります。
なぜ100%ではなく80〜90%なのかというと、100%というのは遊びがなく性能下降を踏み止まらない状態なのです。 自動車といえども【物】です。
少しの力の【逃げ場】が必ず必要なのです。
悪い例で上げた車高調整についてですが、ただ調整して車高を下げてみても悪い結果しか生みません。 しかし、ココにホイールサイズ・タイヤの選定やコイルスプリングのバネ圧の選定が加わることで、車高調整によるネガティヴ要素は消えていきます。
さらに付け加えるなら、マウントの選定まですることで自動車の寿命には大きく貢献できるでしょう。
4.改造は自動車の寿命に関わる
ここまで述べてきたことで、少しはチューニングにはしっかりとした知識が必要だということは分かって頂けたかと思います。 新車状態は、自動車性能として考えると60〜70%程度でしかありません。
危機回避のためのキャパシティーは多いに越したことがありません。
しかし、そのキャパシティーの多さがあなたのチューニング心をくすぐる原因となってしまいます。 たとえタイヤ1本変えることになったとしても、どれでも良いと考えて交換することで自動車には大きなストレスを与えることとなることを忘れないで下さい。 自動車と付き合うということは、このチューニングという魔力をも秘めています。
間違った事を重ねながらも正しい答えを導くことができますが、まずは知ることから始めて自動車の寿命にも目を向けていきましょう。
5.まとめ 改造を楽しむためには知識も必要
チューニングというのは、1つ始めてしまうと次から次へと手を付けたくなってしまう麻薬的な中毒性があります。
そして、最後にあなたに伝えておきたい大切な事実があります。
【決して100%を求めない】で下さい。
自動車の100%の状態というのは、レース場を風のように走り抜けていくようなレースカー状態です。 公道でここまでのヘヴィーコンディションを求める必要がないのもそうですが、何よりも一度走行させただけで全て分解・清掃・交換しなければならないような状態では、日常的に使用していくことなんてできません。 あなたがチューニングを通して自動車との楽しい時間を求めるのであれば、むやみに手を出すのではなく必要な情報をしっかりと手に入れるようにしましょう。 ネットの中には膨大な量の情報があふれています。 その全てが正しいとは限りません。 あなたは、その中から正しい情報を見抜き、自動車と真摯に付き合っていけるはずです。
正しいチューニングを続けることで、付き合い続けるにも別れるにも必ずあなたのプラスになるはずですので、いつでも自動車にしっかりと向き合えるユーザーでいましょう。
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