あなたは、エンジンを動かすためにどんなプロセスが必要か知っているでしょうか?
・良い火花 ・良い圧縮
・良い混合気
この3つのプロセスを経て、エンジンは円滑に動き続けることができるのです。
その中でも、今回は「良い火花」にフォーカスを当ててみたいと思います。
「エンジンの中で火花を起こす部分」というのがスパークプラグ。
ホームセンターでさえ販売されているほどメジャーなパーツであるにもかかわらず、ふと思い返してみるとあまり実態が明らかになっていない、付いていて当たり前なパーツとなっています。
今回は、そんなスパークプラグの基礎知識とチューニング方法について考えていきたいと思います。
1.スパークプラグの種類と特徴
スパークプラグを考えていく上で、何はともあれ種類が分かっていなければ始まりません。
ということで、まずはスパークプラグの種類と特徴をまとめてみたいと思います。
レジスタープラグ
一般的なスパークプラグの代表。
自動車のみならず農耕機械や発電機、一部ラジコンなどのホビー用品などにも用いられる。
内部にレジスター(抵抗器)を内蔵していて、スパーク時のエレクトリカルノイズを除去することで、電装品への影響を防ぐことができる。
比較的安価で取引されている。
グリーンプラグ
中心電極に90°の角度で溝が切られている。
突起部からスパークを発する特性を上手く利用し、電極外側からの確実なスパークを起こすようになっている。
混合気のミスファイアを防ぎ、スパークプラグのカブリを防止してくれる。
イリジウムプラグ
現代の主流スパークプラグとなっている。
中心電極にイリジウム合金を採用し、外側電極はテーパーカットされていて1方向への太く強い確実なスパークを発生することができる。
ミスファイアの少なさから燃費性能の向上も図ることができる
白金プラグ
イリジウムプラグが開発されるまで最良のスパークプラグとして位置されていた。
その名の通り白金(プラチナ)合金を中心電極に採用していて、超ロングライフ性能と力強いスパークが売り。
10万kmメンテナンスフリーを謳い文句に、ボクサーエンジンなどのスパークプラグへのアプローチがしづらいエンジンに重宝された。
マテリアルコストがかかるため高価なスパークプラグの代表。
レース用プラグ
高圧縮、高回転、高出力に耐え得るハイパワースパークプラグ。
エンジン特性により複数種類の形状のチョイスができ、トラブルフリーなスパークプラグ。
中心電極には白金合金やイリジウム合金を採用。
レースでの使用を第一に考えられ開発されたため、エレクトリカルノイズ除去よりも高効率なスパーク性能を求めた結果、レジスター値を大幅に度外視している。
多極プラグ
スパークプラグのロングライフ性能を高めるために、外側電極数を増やしたスパークプラグ。
カーボン付着を防ぐ清浄性能と、付着したカーボンを焼き切る洗浄性能に優れる。
要求電圧を下げることができるため、中心電極の摩耗スピードを遅らせることができる。
以上、ザッと数種類のスパークプラグの特性を表してみました。
現在スパークプラグの主流はイリジウムプラグとなりますが、間違っても電極をいじったりしようと考えないでください。
スパークプラグにはメーカー保証が付帯されています。
このメーカー保証が必要となるのは、純正状態であれば指定期間・距離数に対するメンテナンスフリーを大々的に掲げているからであります。
仮に電極間の幅を1mmでもずらしてしまった形跡があると、メーカー保証は下りなくなってしまうのです。
このメーカー保証に関しては、白金プラグにも同じことがいえますので気をつけましょう。
2.スパークプラグの基礎知識
スパークプラグの種類が分かったところで、次はスパークプラグの構成パーツについて見ていきたいと思います。
碍子(がいし)
スパークプラグの高電圧が電極間のみで発生するための絶縁体。
高純度アルミナを使用することで耐熱性、強度、絶縁性、熱伝導率を確保している。
ターミナル
ハイテンションコードの取り付け端子。
脱着可能なターミナルナットがあることで、あらゆるハイテンションコードに対応している。
ステム
ターミナルと中心電極をつなぐ軸。
高電圧をロスなく中心電極へと導く。
ハウジング
碍子を保持しつつエンジンにスパークプラグを取り付けるための外殻。
接地電極のマウントとなる
シール材
碍子内部の空間を埋めることで高電圧の逃げ場をなくす。
レジスターとしての役割を併せ持つ。
ガスケット
スパークプラグをエンジンに取り付けた際の気密保持のためのパーツ。
規定の締め付けトルクと回転角によって、確実な気密保持性能を発揮する。
パッキングワッシャー
碍子とハウジングの密着性を高める。
銅入り電極
熱伝導率を高めるため銅を仕込んである。
中心電極
スパークの発生源。 使用に伴い摩耗していく特性がある。
突起部からスパークする特性から、イリジウムプラグのように尖らせたものや、V字カットされているものもある。