「乗ってるだけで勝手に車が動いてくれたらどんなにいいか…」
あなたはこんな風に考えたことはないでしょうか。
「長距離運転は疲れるし、運転中に眠くなるのは正直キツい。それ以前に命の危機を感じる瞬間がある。」
最近では、高齢者の自動車事故も頻発するようになってきています。
勝手に運転して目的地まで安全に連れて行ってくれる、まるでドラえもんの道具に出てきそうな未来の自動車ですが、実は既に存在しています。
それが自動運転で走るTesla(テスラ)です。
自動運転機能を搭載した車といえば、日本では日産プロパイロットやスバルのアイサイトが有名ですが、これは運転を補助するという機能になっています。
それとは違い、テスラは条件さえ整えば本当の自動運転と呼べる「勝手に目的地へと運んでくれる自動車」の実現に成功しています。
とはいえ、機械に命を預けるというのはかなり勇気がいることです。
実際の自動運転機能の完成度はどれほどのものなのか。
テスラの自動運転について掘り下げていきます!
1.未来の車「テスラ」
電気自動車(EV)メーカーの最大手として話題に上るアメリカのTesla(テスラ)社。
キーを持って近づけばすぐさまミラーが開いて出発の準備が整う、高級車のスマートキー機能はもちろん、テスラではエンジンのスタートボタンさえないのです。
シートに座り、Dレンジにシフトを指定してアクセルを踏み込めば、あっという間に快適なドライブへとあなたを連れ出してくれます。
ナビの設定は音声認識で目的地を設定。
まさに未来の自動車さながらの仕様です。
2.テスラの自動運転は危険?
このテスラ社が開発した自動運転機能オートパイロット。
待望の自動車かと思われましたが、リリースされて1週間後に様々な交通違反を起こしたり、危ない思いをした人が続出してしまいました。
例えばスピード違反。
道路のスピード制限に対応しきれていなかったことが原因でした。
センサーが標識を認識してスピードの調整をするのですが、100円ショップの【100】の文字を認識してしまい100km/hに加速していってしまうというトラブルも発生しています。
まるでマンガのような展開ですが、意図せず自動的に一般道でいきなり100㎞/hに加速していくと想像しただけでも恐ろしいことです。
また、前の車に順調についていっても、広い緩やかなカーブで車線を認識しきれず、真っ直ぐ走行してぶつかりそうになった事例もあります。
・停車中の消防車に追突
アメリカでは停車中の消防車にオートパイロットモードの車が追突する事故が起きています。
前の自動車を検知するはずが、なぜこんな事故が発生してしまったのでしょうか。
このことから、機械では臨機応変な対応ができないということが判明しています。
時速80km以上で走行中、前の自動車がいなくなり、静止した車両や物体などが前方に現れるというイレギュラーバウンドに対し、物体を検知できずに様々なトラブルを引き起こしてしまう可能性が多いということになります。
これはかなり致命的です。
もし高速道路で同じ反応をしてしまった場合、あなた自身が大事故の当事者になりかねないということになります。
奇跡的に消防隊にも乗用車のドライバーにも怪我がなかった事故でしたが、自動運転の弱点が見えた瞬間でした。
・過信で落とした命
こちらもアメリカで、自動運転にて高速道路で中央分離帯に衝突し炎上する事故がありました。
運転していたのはApple社のプログラマーだったそうですが、自動運転を過信しすぎたことが原因の事故だと報道されています。
命を落とす事故にまで発展してしまったのは、クルーズコントロールの設定を最短車間距離にしていたこと、ハンドル操作の警告を無視していたことが引き金。
ハンドル操作を全くしなくてもいいわけではないというのがこの自動運転の落とし穴です。
ドライバーは、自分がプログラムの仕事に携わっているから過信していたのか、半自動運転にも関わらず、事故が起こる前の6秒間ハンドルを握らず全てを自動車任せにしてしまっていたのです。
この情報からだと、ドライバーの過失による事故である可能性が高く、オートパイロットモードの欠陥ではないと私は感じています。
自動だから大丈夫と任せきりにしていたために起きてしまった痛ましい事故でした。
「こんなの全然自動運転じゃないじゃないか!」と思うかもしれませんが、そもそもテスラの説明書にオートパイロットモードは高速道路と特定の環境のみで機能すると書かれているのです。
また、常に自動で走れるというわけではない旨も記載されています。
これらの事故から分かるように、自動運転ではシステムエラーもヒューマンエラーも同じくらい事故の引き金になりかねないということです。
自動だからといって、目と手は離すなということです。
3.テスラで安全なドライブをするために
事故事例の多さや恐怖感から「やっぱり自動運転は信用できない!」とがっかりするかもしれません。
しかし、テスラのオートパイロットモードがドライバーを大いに助けることもあるのです。
中でも、一番効果を発揮するのが渋滞での運転です。
前の車との車間距離、出口の見えないストップ&ゴーの繰り返しを自動でしてくれると思えば、かなり疲労が軽減されるものです。
玉突き事故やおかまを掘られる事故も渋滞ではよく起きています。
これはヒューマンエラーが引き起こしている事故ですが、これが大幅に抑制できるようになります。
オートパイロットモードを取り入れることで、ここを回避できるというのが非常に評価すべき点だと私は考えます。
このように使い方さえ間違えなければ、過信しすぎなければテスラのオートパイロットモードは安全にドライブができるということなのです。
4.テスラは進化し続けている!
機械に何もかもを任せるということは、何かしらの弱点があるということが理解できます。
しかし、その事実を踏まえた上でテスラは常に進化を続けています。
ソフトウェアがアップデートされているので、速度表示と勘違いしてしまっていた100円ショップの看板にも反応しなくなっています。
不具合が発見されればすぐに対応して、新たなシステムが更新されていくというのがテスラの凄いところです。
5.オートパイロットモードはあくまでも「ドライバー支援システム」
ステアリングを制御するオートステアリングは、ステアリングが自動的に操作されるため勝手に自動車が動いているという印象を覚えます。
最初は若干の恐怖心や猜疑心が生まれますが、使用による経験からオートパイロットへの信頼感を手にすることができます。
しかし、何1つ手を煩わされないのかというと、決してそんなことはありません。
まだまだ改良の余地がある状態のシステムなので、手放しにお任せというわけにはいかないのです。
現状の対策として、ドライバーがステアリングから手を離すと警告が表示されるようになっています。
ステアリングに設置されているタッチセンサーが反応しないと、自動車自身があなたの居眠り運転を先読みしてくれるため、事故防止に一役買ってくれています。
つまり、ドライバーの注意不十分を防ぐシステムになっているのです。
また、ナビとの連携をしているわけではありません。
分岐点になるとドライバーがウインカーを出すなどして進路を示す必要もあります。
事故からも分かるようにセミオートメーション運転だという認識をしていない人が、安易に命を預けてしまうようです。
こういった勘違いをなくすために、テスラ社はオートパイロット機能を「自動運転」とせず、「ドライバー支援システム」という位置付けにしています。
このため、もし事故が起きた時にはドライバーの責任となるということを肝に命じておいてください。
まとめ 現在の自動運転から見るドライバーの未来
テスラのオートパイロットモードは勝手に運転してくれる車ではありません。
その誤った認識をしているドライバーは、間違いなく行末で大きなトラブルを引き起こしてしまうでしょう。
実際にはフルオートメーションで動いているという感覚に陥っているだけなのです。
ここにテスラ社とドライバーとの認識の食い違いが生じてしまっています。
大事なことなのでもう1度いいます。
テスラ オートパイロットモードはフルオートのように見えても、ある程度の補助が必要です。
日産やスバルの運転補助機能よりも更に自動化を実現しているテスラですが、その情報が独り歩きしてしまっているのが問題です。
テスラに関しては、あなたが「機械の運転を補助する」という距離間が一番しっくりくるのかもしれません。
自動運転機能の導入において、私たち人間の進化も問われているということです。
これまでの交通事故の大半はヒューマンエラーが引き起こしていましたが、これから懸念されるのは自動運転中のシステムエラーが引き起こしてしまう可能性のある事故の責任の矛先です。
そこに注視すると、まだフルオートメーションの時代は程遠いように感じます。
フルオートメーション実現のためにも、この先いかに機械と共存していくか。
テスラのオートパイロットを通して、あなたはどの立ち位置で、どのくらいの距離間で便利さを受け入れていくかが今後の課題です。
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