【奥深きホイールの世界】アルミホイールとマグタンホイール どう違う? | カーライフマガジン

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自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」

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アルミホイールは、スチールよりもはるかに軽量で熱伝導性も高いホイールです。

加工がしやすくデザイン性も高いので、自動車を簡単にドレスアップできます。

大量生産が可能でホイールとして一般的です。

マグネシウムホイールは、アルミホイールよりも軽く強度も優れています。

ホイールの性能としては理想的なのですが、材質のマグネシウムが高価で腐食にも弱いです。

その為、主に精度を必要とするレーシングカーや足元のドレスアップとして、高級車モデルにも使用されています。

しかし、一般的でなかったマグネシウムホイールも、マグタンホイールの普及により手に届きやすくなってきました。

マグタンホイールとは、マグネシウム鍛造ホイールの略称です。

材質のマグネシウム合金を鍛造する事により、耐腐食性がアルミホイール並みに強くなった理想のホイールです。

アルミホイールとマグタンホイール。

この両者の違いはどういうものなのか解説をしていきます。

1.アルミホイールについて

アルミホイールは軽いアルミ合金で成型されたホイールです。

アルミはスチールの約3分の1の重さ

持ち上げた瞬間から、明らかな軽さを実感する事ができます。

そして、熱伝導率は4倍。

その為放熱性もスチールホイールよりは優れています。

綺麗で加工性にも優れ、自動車の外観をスタイリッシュに変えてくれるアルミホイールは、スチールと比べて腐食にも強く、一般的なホイールとして優れた材質です。

自動車のドレスアップやデザイン性、またコストの面で選ぶなら鋳造ホイール。

スポーツ走行など、軽さや強度の性能アップでは鍛造ホイールが適しています。

2.アルミホイールの製造方法

製造方法は鋳造と鍛造の2通り存在しています。

各製造方法のメリットとデメリットを説明します。

鋳造(ちゅうぞう)

高温で溶かしたアルミ合金を、鋳型に流し込んでそのまま冷やして固める製造方法です。

メリット

 •アルミホイールの大半はこの製造方法  •大量生産が可能の為コストが低く安価  •加工がしやすい

 •多彩なデザインのものがあり、気軽にドレスアップができる

デメリット

 •製造工程で空洞や穴等の本来不要な空間(いわゆる巣)ができたり、強度も弱くなってしまう点  •強度をカバーする為に、厚く加工する必要がある

 •重量がスチールよりも、重くなる場合がある

鍛造(たんぞう)

金型に高温で溶かしたアルミ合金を流し込み、冷やして固める時に大きな圧力をかけて成形する製造方法です。

メリット

 •製造工程が複雑で合金が鍛えられる  •剛性が高く薄く作ることができる

 •軽く強度も高い

デメリット

 •製造に手間がかかる  •製造コストもかかる

 •販売価格が高い

3.マグネシウムホイールについて

マグネシウムホイールは、アルミ合金よりも更にに軽く、遥かに剛性のあるマグネシウム合金製のホイールです。

ホイールが軽くなると、バネ下荷重も軽量化されるのでハンドリングも良くなり、加速性能やブレーキ性能が向上します。

1960年代にフェラーリがカーレースに初めて採用し、それ以来スピードを要求されるレーシングカーへの装着が定着しています。

レーシングカーや軽量スペシャルモデル(ポルシェ911カレラRS、フェラーリF355、ブカッティヴェイロン16.4など)に次々と装着されました。

日本でも、トヨタ2000GTに装着された事で、カスタム愛好家の注目の的となりました。

地上最速のスピードで走るF1をはじめ、F3000やル・マン、インディなど、数々のモータースポーツシーンで目にする機会もあります。

レース界で不動の位置を得たマグネシウムホイールは、アルファロメオ、フェラーリ、ランボルギーニ等のスーパーカーをはじめ、一般公道を走るBMWやアバルト、ランチア等にもどんどん採用されています。

製造方法は、アルミと同じく鋳造と鍛造があります。

マグネシウム鋳造ホイールは成型の自由度が低いので、切削による加工や様々な表面処理がが全面的に施されます。

また、鋳造の場合は製造工程で素材に不純物が混ざりやすく、それが腐食しやすい原因でしたが、鍛造の場合は腐食原因の不純物が混ざりません。

更に、最近では高度な熱処理を数回施すなど、表面処理にもたくさんの工夫が施され耐腐食性も飛躍的に向上しました。

アルミホイール並みの、強い塗膜性能のある鋳造のマグタンホイールも誕生しています。

4.マグネシウムホイールのメリットとデメリット

メリット

 •ホイールの命題の軽さにおいて圧倒的に有利  •比重がスチール7.87、アルミニウム2.70に対して、マグネシウムは1.74  •軽くなるとステアリング操作も素早くなる  •比強度が大きく剛性においても優れている

 •「引っ張る強さ÷密度」で表される比強度において、スチール5、アルミニウム9に対し、マグネシウムは15

デメリット

 •加工が難しい  •傷ついて表面の塗装や防錆処理が剥がれるとすぐに錆びて腐食する  •材質のマグネシウムが高価な為、一般的にはほとんど普及しない

 •レーシングカーにおいては、速さや燃費の究極の性能を競う消耗品としての位置付け

5.F1におけるマグタンホイールの進化

レーシングカーが軽いホイールに求める要求は、いつでもシンプルで普遍的です。

軽量で剛性に優れ、放熱性も高く交換作業も簡単な事です。

レーシングカーの製造においては、肉厚さと強度の均一化を各部に強く求められます。

これは昔のターボ付きのF1マシンでも、現在のマイナーレーシング用のマシンでも、全く同じ条件です。

例えば、アマチュアレーサーがフレッシュマンレースで使用されるホイールは、スチールではバネ下荷重が重すぎて、性能が低下するので使えません。

しかし、経済的にあまりお金はかけられないので、アルミニウム鋳造の安価なホイールに落ち着きます。

スチールよりは断然軽く、コストパフォーマンスも良いアルミホイールなら、アマチュアレースで使うには丁度良いホイールです。

一方、F1などのトップレーシングにおいては、1/1000秒を争う性能が要求されます。

1990年代には、ほぼ全てのマシンでマグタンホイールが装着されていました。

その上マシンには、可動部分以外のパーツに一切の不要な動きは禁物です。

もし剛性が弱いと、ステアリングによるマシンを曲げようと働く力が、シャーシやサスペンションアームを歪ませます。

果てはホイールを歪ませ、それにより遅れた力のバランスが調整された後に、タイヤに届く事になります。

この遅れは速さを争うトップレースにおいては致命的です。

だから、アルミ二ウムよりも軽くコストのかかる鍛造によるマグネシウム合金が、ホイール以外のパーツにも使われるのです。

まとめ 身近になったマグタンホイール

かつて消耗品であったマグネシウムホイールは、マグタンホイールの出現により、ホイールの理想を具現化しました。

そして今でも、その軽さと強靭さでモーターカーの最先端で使用されています。

最近では、軽自動車にも装着できるBBSの「RP」モデルなど、小型の物も登場しています。

バネ下荷重の軽量化は、ガソリン車のみならずハイブリッドやEVにもその恩恵をもたらしてくれます。

アルミホイールのような一般性も兼ね備えながら、マグネシウムホイールのような高級感も兼ね備えているマグタンホイール。

その効果を実感していただきたいものです。

愛車をおしゃれに着飾るカスタム愛好家の手の届く位置にまで、マグタンホイールは身近になってきています。

自動車に優しく、環境にも優しいドライバーを目指してください。

その皮切りにマグタンホイールを検討してみてください。

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