日本は治安の良い国なことはよく知られています。
しかし、その分犯罪を未然に防ぐ視点というのがおざなりになってしまうことが多いのも事実です。
車両の盗難や車上荒らしは、私たちの身の回りにいつ起きたとしても不思議ではない犯罪です。
特に特定の国産車は盗難や車上荒らしの被害に遭うことが多い事が知られています。
盗難の手口はどのようなものか、どんな車が狙われやすいかなどを知ることによって車好きにとって憎むべき犯罪の被害に遭わないための対応を考えていきましょう。
■車両盗難、車上荒らしの手口と対策
車の盗難といえば、以前は鍵を車につけっぱなしで買い物や所用を済ましている間に、車を盗まれるなどという手口が多かったのに対して、最近では、駐車場や車庫に保管している間に車を盗まれるという手口が増えてきているそうです。
しかも、最近の車両窃盗犯は、個人が少なくなり、多くの場合には複数のプロフェッショナルによる犯行グループで窃盗を行う事が多くなっています。
彼ら、窃盗グループはあらかじめターゲットとなる車両に狙いを定めて、その車両を窃盗するというパターンが非常に増えています。
犯行グループは、場合によっては犯行の数週間前から狙いを定めて、準備を行います。
たとえば、よく言われる出口ですが、車のワイパーなどにビラを挟み、それが撤去されるされるかどうかでターゲットの安全を見極めることを行います。
つまり、車のビラがすぐに撤去されなければ、その車は所有者があまり目をかけておらず、盗みやすい車としてマークされてしまうのです。
また、たとえばセキュリティシステムを装備していたとしても、犯行グループが本当に欲しい車であれば、わざと車を揺らすなどしてわざとアラームの誤報を誘い、持ち主がセキュリティを切るまたは、感度を落とすなどしたタイミングで盗んで行くという手口を取ることもあります。
自分の車はイモビライザーが装備されているからといって安心もできません、最近の車両盗難の被害車両は、ほとんどがイモビライザーを装備してますが、盗まれています。
どうしてイモビライザーを装備した車両でも盗難されてしまうかというと、「イモビカッター」というツールが出回っているからです。
この「イモビカッター」は、イモビライザーを簡単に無効化できるツールで、このツールを車両のデータ通信ポートに接続するとイモビライザーを無効にし、簡単にエンジンを始動できてしまうと言うわけです。
たとえ、セキュリティーシステム専門の製品を導入していたとしても、それを解除するプロも存在します。
つまり、一度狙われると、もはや、対抗する手段が無いということになってしまいます。
では、盗難や車上荒らしの被害に遭わないためにはどうすれば良いでしょう、犯人が「面倒くさい」「捕まるリスクがある」と思わせることがもっとも有効な対抗手段となります。
例えば、車を駐車する場合に、暗くて人気の無い駐車場を避ける、車を長期間放置しない、ステアリングロックなどの目に見えるセキュリティデバイスを装着するなどが、考えられます。
また、自宅車庫であっても油断できませんので、自宅車庫の場合にはセンサーライトを導入するなども有効でしょう。
車上荒らしに対しては、何よりも車内に貴重品がないことを分からせることが重要です。
車内に貴重品を置かないことはもちろんですが、グローブボックスやコンソールボックスをあえて開けておくことによって、車内に何もないことを見せるという対策もあります。
■盗難車両はどうなってしまうの?
盗難された車両は、中古車として売却される事が多いようです。
そして、盗難された車両の売却先は、日本国内とは限りません。
それは、特定の日本車は海外で高値で取引されることも少なくないからです。
車両窃盗グループの中には特定の国産車をターゲットとした専門のグループがあるといわれています。
盗難された車は、海外で売却される場合は国内で解体され、ばらばらの状態で輸出され、海外で組み立てられたり、部品単位で売買されることもあります。
また、近年販売台数が増えているハイブリッドカーのバッテリーなども新品で購入すると高価なため、それが窃盗の対象となる事が多くなっています。
パーツの窃盗の場合は、自動車ごと盗むのではなく、車を壊してパーツだけ持ち去るというような多いようです。
■狙われやすい日本車とは
では、盗難や車上荒らしに遭いやすい車というのは、どんな車種でしょうか。
盗難されやすい車にはそれなりの理由があります。その理由と共に見ていきます。
○トヨタ・ランドクルーザー
トヨタ・ランドクルーザーは、不整地や悪路での走破性が高く、そして耐久性も折り紙付きです。
そのため、ランドクルーザーは昔から国内外問わず人気があり、常に窃盗グループに狙われ続ける人気車種です。
ランドクルーザーが日本国内でほぼ初めてイモビライザーが装備された車だというところからも盗難されやすい車種であることがわかります。
ちなみに、ランドクルーザーの自動車保険の車両保険は常に高額で、車両保険への加入を断る保険会社もあります。
○トヨタ・プリウス
トヨタ・プリウスも盗難の多い車種です。2015年には、盗難車両ワーストワンとなっています。
プリウスは、ハイブリッドカーとして世界中で販売されており、世界中で需要が高く常に引き合いがあることが、理由の一つとなっています。
プリウスが世界中で人気があるというということは、世界中でたくさんのプリウスが走っているということになります。
そうすると必然的に、プリウスの部品も狙われやすくなっています。
とくに、プリウスのバッテリーは高価で売れるため、車を破壊してでもバッテリーだけ持ち去るという事件も発生してしまっています。
○トヨタ・ハイエース
トヨタ・ハイエースもまた、窃盗グループには人気の車種です。
ハイエースは、その積載能力と耐久性で国内の業務用用途、個人用途と共に人気がありますが、もちろんそれは、海外でも同様に人気の高い車種だといえるのです。
ハイエースは、中東やアジア圏で人気で、とにかく頑丈で壊れないこと、壊れても修理部品がすぐに手に入るという点で人気があります。
ですので、事故車や多少古い型でも海外では高値が付きますので、狙われやすいという傾向にあります。
■車両盗難に遭わないように常に心がまえが必要
車両の盗難や、車両荒らしは一旦被害を受けると、その対応は精神面、金銭も面含めて想像以上に大変なことです。
盗難の被害に遭わないためにも、駐車の際には人目のある駐車場や機械式駐車場を選ぶ、車には貴重品を置かない、その他ハンドルロックなどの視覚的な盗難対策を行うなどの被害に遭わないための対策を常日頃から実施しておきましょう。