自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
数多くの中古車販売店が世の中には点在しております。 そして、その中古車販売店の在庫の多くは、オークションに流れたり海外へと輸出されることで店舗の存続をしているのが実態です。 その中の一部が、中古車を買おうと考えているユーザーの手元へと回ってきているということになります。 あなたは、どんな風に中古車を選んでいますか? できるだけ綺麗な、走行距離の少ない、来歴がよく分かりそうな、目的の車種を選ぼうとしていると思います。 しかし、冒頭からネガティブ要素を申し上げますが、店舗在庫として置いてある自動車はほとんど問題がある自動車であるということをお伝えせねばなりません。 走行することに問題はありません。 しかし、状態の良い中古車というのは、店頭価格自体がそれなりに高額なものを提示されています。 中古車を購入しに来ているユーザーとしては、その選択肢として選ぶ範囲外の金額だったりします。
では、どのように中古車を選んでいけばよいのかということを、今回は元プロメカニックとしてあなたにお伝えしたいと思います。
1.中古車は見る目が必要
あなたは、なぜ中古車という選択をしたのでしょうか。 新車では価格的に見合わないから、中古車でなければ求めている自動車がもう販売していないから、その理由は人それぞれだと思います。 それでも、中古車を選ぶのですから、購入価格としてはできれば100万円までに収めたいと感じますよね。 欲しい車種によってはそれを越えてしまってもお値打ち価格となりますが、中古車として考えた時、できる限り店頭価格を引き下げるようにと尽力するものです。
では、あなたにはどのような方法で店頭価格を引き下げることができるでしょうか。
まず最初にできることは、狙い目の車種をピックアップすることです。 この点で気をつけたいことは、走行距離一点です。 中古車情報誌やネット情報では、確実に間違いなく分かる情報というとこの走行距離です。 あなたなら走行距離が少ない自動車を選びますか?
確かに、走行距離が少ない自動車のコンディションは、それなりに良いコンディションを保っていると考えがちです。
しかし、ココでよく考えてもらいたいのですが【中古車は新車に比べて既に悪コンディションである】と考えられます。 そのため、走行距離だけで自動車を選ぶのはオススメできません。 むしろ、走行距離が少ない自動車ほど【事故車】である可能性が高い場合があります。 軽いパーツ交換で済むような事故、たとえばフロント部分が潰れてしまったような自動車であれば、仕入れ価格として30〜50万円程度までで済みます。 それに30万円の新品パーツを付け直すことで、150万円からの中古車が出来上がります。 この時、フレーム修正などが必要ないと判断できるコンディションであれば、そのまま店頭販売に回りますが、実際にメカニックとして自動車と触れ合っていると、中古車のほとんどはツジツマ合わせで走行させているにすぎません。 そのため、中古車を選ぶ場合は自動車を見る目が必要となるのです。
ではどこをどのように見ればよいのでしょうか。
2.中古車の選び方
中古車は、そのほとんどがツジツマ合わせで走れる状態にしてあると先に述べましたが、あなたが中古車を選ぶ際に気をつけてみるべきポイントを3つの項目に分けてお伝えしていきます。
・まずは自動車の立姿から見る
中古車というのは、これまでにどのように使われてきたのかが正確に表れてくるのが【立ち姿】になります。 どの自動車でも、これまでの来歴というものがありますが、その全てをこまめに記帳しているとは限りません。 実際、パーツ交換で済む修理は事故歴などにはなりませんので、中古車販売店としてもわざわざ情報を開示することはありません。 しかし、そのようにパーツ交換をしている自動車は、どこか不自然さが残るものです。 遠目によーく見て下さい。 どこか角張ったライン、色合いにズレがある、左右が対称的じゃないなど見えてくるはずです。 この辺りに気付けたあなたは、既に価格引き下げに優位な立場に立てます。
まずは自動車の立ち姿をしっかり見ましょう。
・ステアリングのセンターを確認する
新車も中古車も、自動車を購入する際には試乗することが許されています。 この際に、ステアリングが真っ直ぐになっていることを確認しましょう。 それも、走行中に手を軽く離した状態での位置です。 事故車であった場合、ツジツマ合わせで自動車をまっすぐに走らせる措置を取ります。 ステアリングが真っ直ぐな状態であるならば、今度は左右にロックするまで回転させてみましょう。 左右ともに同じ回転数、同じ角度で回転が止まるのであれば問題ありません。
もしこれに違いがあったとしたら、間違いなく事故車ですので交渉の余地があります。
・下回りを確認する
しっかりと整備されてきた自動車であれば、交換すべきパーツはしっかりと交換されているはずです。 特にフロント周りのゴムパーツは交換必須パーツの1つです。 停車状態で、左右にロックするまでステアリングを回しておいたままタイヤの隙間から覗きこんでみて下さい。 ゴムが破れていないか、グリースは漏れていないか、ゴムパーツは劣化しやすいパーツです。
ゴムパーツがしっかりと交換されていれば、駆動部分やエンジン内部へのダメージは少ないと考えて良いでしょう。
この3つのポイントを意識して中古車選びをすることで、あなたに有利な交渉を持つことができたり、状態の良い中古車を探すことができます。
3.まとめ 中古車は楽しみがたくさん
中古車選びには時間がかかります。 しかも、在庫がある時間の範囲でしか自動車探しをすることができません。 今この瞬間に決めなければ他に流れてしまうかも知れない自動車です。 もっとも、この綱渡りのような状態での自動車探しを楽しめるのも、中古車を選択したあなたの特権なんです。
新車であれば、いつどんな時に購入を決めたとしても100%の状態の自動車が手に入ります。
しかし、中古車はそうはいきません。 できるだけ良いコンディションの自動車が、できるだけ購入希望額の範囲で、いつ目の前に現れるかなんてわからない楽しい買い物です。 たとえコンディションの悪い自動車だったとしても、それを改善させていくことができるのも中古車の特権です。
あなたの選択を大いに楽しみましょう。
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