自動車業界の経験者が教える、他では聞けない「クルマの基礎知識」
人生の中でも大きな買い物である車は、少しでもお得に買いたいと思う人も多いと思います。 そのため、新車の購入を検討し始めると、「値引き術」や「交渉テクニック」といった情報が気になりだす人も多いのではないでしょうか?
雑誌やネットでは、そのような情報がたくさん載っていますが、効果的なものもあれば、逆効果になりかねないものまで存在します。
そこで今回は、元ディーラー営業マンである筆者が本当に使える「値引き術」や「交渉テクニック」をまとめてみました。
値引きを考える前にデメリットも理解しておこう
値引きについて語る前に、まず知ってほしいことがあります。
それは、値引きにもデメリットがあるということです。
車をできるだけお得に購入したいという気持ちは、誰しもが持つものだと思います。 しかし、値引きが多い=お得とは限らないのです。
お得に購入したい気持ちが強すぎるあまり、値引きばかりに意識が向いてしまうと判断を鈍らせてしまうなど様々なデメリットが出てきてしまいます。
どれだけ値引きしてもらえたとしても、あなたに合っていない車を購入してしまってはお得な買い物だったとは言えなくなってしまいます。
本当の意味でお得に車を購入するためには、値引きのデメリットを理解した上で、上手に交渉を進める必要があります。
値引きのデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しているので、値引きのテクニックを調べる前に、ぜひ目を通してみてください。
値引きを成功させる3つのポイント
値引きは、強気に交渉すれば良いというものではありません。
お得に購入したいからと無理に交渉をすれば、値引きが成功しないだけでなく、営業マンやディーラーとの関係が悪くなってしまって逆効果になってしまうことも少なくありません。
実は、値引きには成功しやすくなるための3つのポイントがあります。
値引きを成功させるポイントとは「時期」「お店」「営業マン」の3つです。
これらの基本的なポイントを押さえるだけで、交渉が得意ではないという人でも値引きが成功しやすくなります。
お得に車を購入したいけど「グイグイ交渉するのはちょっと苦手…」という人は、これから紹介する3つのポイントを参考にしてみてください。
1.お得に購入できる時期やタイミング
よりお得に購入したいのであれば、いつ車を購入するのかというのも非常に大事です。 実は、値引きを引き出しやすい時期とそうでない時期があるからです。 そのため、同じ車でも購入する時期によってトータルの購入金額が異なることも少なくありません。
お得に購入しやすいタイミングを逃してしまうと、どれだけ交渉しても値引きが困難なケースもあります。
値引きを交渉しやすい決算期がオススメ
おすすめの時期は、8~9月と2~3月の「決算期」と呼ばれる時期です。 決算期には、メーカーからディーラーに特別なノルマが与えられ、販売台数に応じて奨励金が与えられます。
メーカーによる奨励金が出ることで、赤字ギリギリで売ってでも販売台数を増やした方がディーラーにとっても利益が出る場合もあります。
そのため、1年を通して最も値引きを引き出しやすい時期になるので、できるだけ決算期を狙って交渉すると良いでしょう。 ただし、決算期であれば必ずたくさん値引きをしてもらえるという訳ではないので、注意が必要です。
決算期に値引きを引き出す方法は、こちらの記事を参考にしてみてください。
「大商談会」のようなイベントを利用するのもオススメ
決算期に車を購入することが難しいという人は、「大商談会」を利用するというのもおすすめです。
大商談会とは、ディーラーの店舗ではなくイベント会場などで行われる大規模な商談イベントです。
大商談会には、店舗で行う通常の商談にはないメリットがたくさんあるので、上手く活用することでお得に車を購入することも可能です。
ただし、大商談会でお得に購入するのには少しコツが必要なので、こちらの記事を参考にしながら交渉にチャレンジしてみてください。
2.値引き交渉はお店選びも大事!
値引き交渉を成功させるためには、実はお店選びも大事なポイントです。 同じ車を扱っていたとしても、値引き額が異なる場合があります。
なぜ、このようなことが起きるのかと言うと、お店を運営している販売会社が異なるケースがあるためです。
お店選びで大事なのは、販売会社の違いを理解して自分に合ったお店を見つけることです。
販売会社には、次のような違いがあります。
・ディーラーと販売店の違い
・メーカー資本と地場資本の違い
ディーラーと販売店の違い
車を販売しているお店は、「ディーラー」の他にも「販売店(サブディーラー)」があります。
ディーラーとは、自動車メーカーと特約店契約を結んだ販売会社のことで、いわゆる正規ディーラーと呼ばれるお店のことです。
一方で、販売店(サブディーラー)とは、特定のメーカーと特約店契約を結んでいないお店のことです。
ディーラーと販売店(サブディーラー)では、同じ車を扱っていたとしても経営方針やサービスの内容が異なるため、値引きに対するスタンスも違ってきます。
そのため、交渉を成功しやすくするためには、自分に合ったお店選びが必要です。
ディーラーと販売店(サブディーラー)の違いは、こちらの記事でより詳しく説明しているのでおすすめです。
メーカー資本と地場資本の違い
「Honda Cars〇〇」と「Honda Cars△△」(※〇〇や△△には地域名などが入ります)といった同じホンダのディーラーでも、運営している会社が違うケースがあります。
そういった場合、販売会社の資本が違うことが多いです。
実は、資本の違いによって、同じメーカーのディーラーでも値引きのしやすさが違うこともあります。
メーカー資本のディーラーとは、メーカーによって出資されているディーラーのことで、メーカーの子会社的な位置づけになり、運営方針としてメーカーの意向が強い傾向にあります。
一方で地場資本のディーラーとは、メーカーから出資を受けているわけではないので、メーカー資本のディーラーとは異なる運営方針であることも少なくありません。
それぞれの運営方針の大きな違いは、販売台数と利益のどちらをより重視するかというものです。
メーカー資本のディーラーは販売台数を優先する傾向にあり、地場資本のディーラーは利益を優先した運営方針になりやすいです。
実はこのような運営方針の違いが、同じメーカーのディーラーであっても値引き額に影響を与えることがあります。
そのため、同じ地域の「Honda Cars〇〇」と「Honda Cars△△」で同じ車の見積もりをもらってもトータルの値段が違うことも少なくありません。
資本の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しているので、お店選びの参考にしてみてください。
3.値引き交渉のカギを握る担当営業マン
正直なことを言えば、どれだけ値引きをしてもらえるのかは担当してもらう営業マンによっても変わってきます。
そのため、よりお得に購入したいのであれば、お店選びだけでなく、担当の営業マンをしっかり見極めることも大事です。
優れた営業マンの見分け方
優れた営業マンのすごいところは、値引きはもちろんのこと、それ以外の部分での満足度も高いことです。
あなたのニーズを理解した上で適切なアドバイスをくれるので、本当にあなたに合った1台を見つけてくれるはずです。
値引きにはデメリットもあることを最初に説明しましたが、良い営業マンに担当してもらえると、値引きによるデメリットの心配も少なくなります。
本当の意味でお得に車を購入するためには、担当営業マンの力は必要不可欠なので、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
営業マンに上手に接客してもらうためには?
よりお得に車を購入するためには、担当の営業マンに上手に接客される必要があります。
もし、良い営業マンに担当してもらえないと感じているのなら、もしかすると営業マンへの接し方を間違えているのかもしれません。
せっかく良い営業マンに担当してもらえたとしても、あなたの接し方次第では上手に接客してもらえないこともあるからです。
そうなってしまうと、どれだけ頑張って交渉をしても上手くいかない可能性が高いです。
営業マンに上手に接客してもらえると、そこまで頑張って交渉しなくても営業マンの方から進んで値引きをしてくれることもあるので、お得に購入しやすくなります。
上手に接客されるための方法は、以下の記事で詳しく解説しているので、ディーラーに足を運んだのに上手く接客してもらえないと感じたことのある人は、ぜひ参考にしてみてください。
新入社員はハズレ?それともアタリ?
大事な車を購入するなら、できれば知識の豊富なベテラン営業マンに担当してもらいたいと思う人も多いかもしれません。 新入社員の営業マンが担当だと、質問に答えられなかったり、対応が遅かったりと不満に感じることも多いかもしれません。
特に、今年入社したばかりの新入社員であればなおさらです。
知識の豊富さや対応の良さという点では、新入社員はハズレに感じるかもしれません。 しかし、実は値引きにおいては新入社員に担当してもらった方がアタリの場合もあります。 入社したばかりの新入社員は、交渉次第では通常よりも値引きを引き出せることも可能です。
ただし、新入社員の営業マンであれば、誰でも良いというわけではなく、一定の条件を満たしている営業マンだと交渉の成功率がぐっとアップします。
詳しい解説は、こちらの記事に載っているので、もし新入社員が担当になったという人は参考にしてみてください。
元ディーラー営業マンが教える値引きテクニックシリーズ!
ここまでに紹介してきた3つのポイントを実践するだけでも、値引き交渉がぐっと成功しやすくなると思います。 さらに、これから紹介する値引きテクニックを合わせて実践すると、よりお得に購入しやすくなるので、最大限にお得に車を購入したいという人におすすめです。
実際にディーラーに勤めていた筆者が、本当に効果のあると感じたテクニックだけをまとめました。
競合は他社メーカーよりも同車種競合がおすすめ!
交渉テクニックとして、他の車種と競合させる方法は良く知られていると思います。
一般的に知られている競合のテクニックは、他社メーカーのライバル車種と競合させる方法です。
しかし、他社メーカーとの競合は、比較する車種の間で販売価格や性能などが違ってしまうので、競合相手としては効率的ではありません。
より効率的に競合させるには、同車種の競合がおすすめです。
お店選びのポイントでも説明しましたが、同じメーカーの看板を掲げたディーラーでも違う販売会社によって運営されていることがあります。
実は販売会社が違えば、同じメーカー内でも競合させることが可能なんです。
同じメーカーの同じ車種で競合させれば、元々の条件が同じなので、競合相手との差を出すために値引きを引き出しやすくなります。
ただし、お店が違えばどこでも同車種の競合ができるわけではありません。
同じ販売会社内で競合の交渉をしてしまうと逆効果になってしまうので注意が必要です。
同車種の競合を成功させるためには、ディーラーの仕組みについてしっかり理解しておくことが必要なので、お店選びのポイントで紹介した記事や、こちらの記事を事前に確認しておくと成功しやすいです。
見落としがちな見積もりのフル活用術!
最大限お得に車を購入するためには、見積もりを正しく見られることが必要です。
値引き交渉をしようとすると、どうしても車両本体価格ばかりに意識しがちですが、実は車両本体価格以外からも値引きをすることが可能だからです。
見積もりにはたくさんの項目がありますが、値引きの可能な箇所とそうでない箇所があります。
1つ1つの項目を正しく理解することができると、損をしにくく最大限にお得に車を買うことができます。
見積もりの正しい見方や見積もりを使った交渉テクニックは、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
奥の手「下取りアップ」の交渉術!
値引き交渉の奥の手が下取り価格を交渉することです。 通常の値引きが難しい場合でも、下取り価格の交渉であれば成功する可能性があります。
そのため、最後の一押しとして下取り価格の交渉をすると効果的です。
ただし、下取り価格の交渉には少しコツがいります。 普通に下取り価格を上げて欲しいと交渉するだけでは、なかなか成功しません。
下取り価格を上手く交渉するための方法は、こちらの記事で詳しく解説しているのでおすすめです。
また、こちらの買い取りと下取りの違いについて解説した記事もおすすめです。
営業マンへの交渉は無駄!?
ここまで値引きを成功させるためのポイントやテクニックを解説してきましたが、実は最も大事なことが抜けていると、どれだけ交渉しても値引きは成功しません。
それは、営業マンを味方につけることです。
実は、ディーラーの営業マン自体には値引きをどこまでしても良いかを決める権限はありません。 そのため、営業マンにどれだけ交渉してもしょうがないのです。
本当の交渉すべき相手とは、値引きの権限を持った店長なのです。
しかし、一般的には顧客が店長に直接交渉をする機会はありません。
そこで大事なことが営業マンを味方につけることです。
担当の営業マンを味方につけることができれば、あなたの代わりに営業マンは店長に値引きの交渉をしてくれるのです。
店長を説得できるかは、営業マンをどれだけ味方にできているかにかかっています。
つまり、値引きを成功させるために最も大事なのは、交渉テクニックよりも、営業マンを味方につけるためのテクニックです。
営業マンを味方につける方法はこちらの記事がおすすめなので、ぜひ参考にしてみてください。
あなたも最大限にお得に車を買おう!
今回紹介したポイントやテクニックは、ディーラーに勤めていた著者が実際に有効な方法だと判断したものばかりです。 お得に車を購入したいとう人は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
車の購入を検討している人の少しでも役に立つことができれば幸いです。
クルマに関する豆知識や旬な情報をお伝えする「クルマの基礎知識」