毎日クルマを運転している人でも意外と知らないこと、それは自動車保険に関する基礎知識です。
平成30年6月末現在、自動車の登録台数は約800万台。
自動車だけでなくオートバイや原付といった自動二輪車を含めると膨大な数の
乗り物が走っているということになります。
そんな現代の社会問題でもある交通事故、毎日どこかで起こっているのが現実なのです。
そんな悲惨な事故からあなたを補償してくれるのが自賠責保険。
この自賠責保険、名前は知っていてもどんな役割をするものなの知っていますか?
自分たちの判断で加入する任意保険とは違い、気が付けば加入している保険。
そんな感覚になってしまう自賠責保険ですが、実はとても重大な役割を果たしているのです。
意外と知らない自賠責保険の役割についてご紹介していきます。
1.自賠責保険とはどんな保険?
自賠責保険とは、自動車やバイクを動かす際に必ず加入しなければならない責任保険です。
責任保険への加入義務は、自動車が日本で普及し始めた1955年に制定されました。
車検時には必ず自賠責保険に加入しています。
正式名称は自動車損害賠償責任保険。
自動車損害賠償保障法という法律で定められています。
❏自動車の場合:必ず車検証と一緒に証券を保管
❏バイクの場合:ナンバープレートに加入のステッカーを貼る
このように自賠責保険に必ず加入し、加入した証を携帯する義務があります。
では、加入を強制されているのはどうしてなのでしょうか。
2.自賠責保険の役割って何?
自賠責保険の定義は被害者の救済です。
交通事故にあった被害者が最低限の補償を受けられる役割を持っています。
交通事故が起きた場合、被害者が死傷した場合のみに支払われます。
事故を起こして破損した自動車や建物などの補償は一切ありません。
利用者個人が加入するのではなく、自動車やバイクそのものが加入する保険なのです。
物に対する保険のため、保険料も一律となります。
車検を受けるのは自家用乗用車、軽自動車で通常2年毎とされています。
❏平成30年現在保険料(24ヶ月分) ❏自家用乗用車:25,830円 ❏軽自動車:25,070円 ❏小型自動二輪車:11,520円
❏原付自転車:9,950円
自動車やバイクを購入した際、車検の際には必ず加入するのでディーラーや中古車販売店で加入することができます。
最近、原付自転車のように車検義務のないバイクが加入する際、コンビニでも気軽に加入が手続きできるようになりました。
それでは、あなたがもし事故を起こしてしまった場合、被害者に支払われる金額はどれだけあるのか掘り下げてみましょう。
自賠責保険からの保険金の対象は3つ。
支払金額は以下のようになります。
1.傷害の場合
被害者には1名に対し120万円が最高限度額です。
被害者が複数いた場合にはそれぞれに120万円支払われます。
例えば被害者が5名いた場合
120万円×5名=600万円
自賠責保険からは600万円支払われる計算になるのです。
2.後遺障害の場合
もし後遺障害が残ってしまった場合、補償金額は障害の度合いにより変わります。
最高保険金は常時介護を必要とした場合で3,500万円、最低保険金は75万円です。
これは障害認定が確定されてからの金額になります。
確定前は傷害での補償(120万円)が支払われます。
傷害同様に1名あたりの保険金支払いとなっています。
3.死亡の場合
被害者が死亡した場合、1名あたり3,000万円が支払われます。
死亡の場合も、傷害や後遺障害同様の保険金支払いとなっています。
これらの保険金の支払額を知ってどのように感じましたか?
もし、3名死亡してしまったとすれば
3,000万円×3名=9,000万円
9,000万円を自分の力で補償するのは、生涯報酬2億円といわれている現代ではかなり無理がある話です。
このような背景があるからこそ、自賠責保険は強制保険・責任保険と呼ばれ、加入していない自動車を運転した場合には厳しい罰則が科せられることになります。
❏1年以下の懲役または50万以下の罰金
❏免許停止(違反点数6点)
また自動車に自賠責保険を携帯していない場合でも30万円以下の罰金と厳しい処分となっています。
自賠責保険は被害者を救済する大前提のもとに加害者の負担軽減の役割も果たしているのです。
3.自賠責保険の請求方法
それでは自賠責保険を請求するためにはどのようにすればよいのか見ていきましょう。
請求方法には2つあります。
1.被害者請求
2.加害者請求
両者ともに加害者が加入する自賠責保険会社に請求します。
請求方法の違いがありますが、後に述べます任意保険の関係上、加害者請求が多くなっています。
4.自賠責保険と任意保険
自賠責保険の役割を知る上で忘れてはいけないのが任意保険。
任意というところからも分かるように、自賠責保険との大きな違いは加入義務がないということになります。
でも、自賠責保険は被害者の救済であり、被害者の身体だけの補償です。
被害者の身体に危害がなくても、家屋などの物を壊してしまった場合、その補償は自賠責保険では無理なのです。
自賠責保険でまかなえない損害を補償する。
それが任意保険なのです。
任意保険の主な補償はこのようになっています。
❏対人賠償保険 ❏対物賠償保険 ❏人身傷害補償保険 ❏搭乗者傷害保険 ❏無保険者傷害保険 ❏自損事故保険
❏車両保険
主なものだけでもこれだけの補償があり、3つの補償のみの自賠責保険に比べるとその範囲の広さは一目瞭然です。
また、これらの補償をカバーする特約も任意保険にはあります。
よく「店舗に車が突っ込んだ」というニュースを耳にしませんか?
この場合、人の身体に怪我がなくても店舗を破損されたという被害者が出ます。
事故例:Aさんの運転する自動車がBさんの経営するコンビニへ突っ込んだ。
❏Aさんの車の補償 ❏Bさんのコンビニの修理費用 ❏Bさんのお店の商品の破損費用
❏Bさんのお店の休業補償
これらの補償を自賠責保険で補償できないのです。
このような第2次被害を補償するためにも、自賠責保険と任意保険の2つを併せて加入するのが最近では一般化されていて、あなたができる最善の事前準備となっています。
まとめ 自賠責保険はあなたを守るガーディアン
自賠責保険が存在していることで、あなた自身は被害者に対し最低限の補償を約束することができるようになっています。
自動車に乗る以上、例外なく加入する義務がある自賠責保険。
自動車整備業者に車検を依頼すれば間違いなく加入されて返ってきます。
しかし、ユーザー車検も書類受付しかしないようなコンビニ車検で済ませてしまう場合、滅多なことでは加入忘れはないはずですが、稀に自賠責保険加入を忘れてしまう担当官がいますので、間違いなく自賠責保険の加入を完了するようにしましょう。
自動車や250cc以上のバイクは車検義務がある為、自賠責保険への加入は必ずされています。
しかし、原付のような車検義務のないものは自分から進んで加入手続きをしなくてはなりません。
❏保険料を抑えたい ❏少ししか乗らないから事故はしない
❏自賠責保険をかけるのがめんどくさい
勝手な理由で無保険のままにしてしまって万一事故を起こしてしまったら、被害者を救済することさえできないのです。
こんなバカバカしい悲劇を起こさないためにも自賠責保険の加入、証券の携帯は必須なのです。
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