「さて、次はどんな車を買おうかな・・・ムフフ」
車が好きな人であればあるほど、そうやって悩むのは至福の時間ですね。
外装や内装のデザイン、走りの良さなど、自分好みの一台を選ぶ作業は楽しいもの。
もちろん、すべてが自分の思い通りにいくわけではなく、価格や燃費、乗車定員などといった制約も考慮しつつ決めなければなりません。
ただ、それらは経済状況や家族構成といった“自分ごと”なので仕方ないというか、まだあきらめつくというもの。
問題は、マンション暮らしなどで、機械式立体駐車場のサイズ制限がある場合ではないでしょうか。
いままで駐車に関して制限のなかった住居から、機械式立体駐車場のマンションなどに引っ越すことになった人にとっては、新たにとても大きな制約が加わることになります。
日本の立体駐車場で最も多いサイズ制限は、なんと【高さ1550mm・全幅1850mm程度】。
最近の自動車のサイズ事情に鑑みれば、明らかに低すぎ、狭すぎなのです。
いま乗っている車を手放す必要が出てくるかもしれませんし、次に買おうと思っている車の選択肢も大幅に狭くなってしまうことになります。
昔は自家用車といえば全高の低いセダンが中心でしたが、近年はクラウンなど一部の高級車を除けばセダンを選ぶ人はすっかり少数派になりました。
代わりに増えてきたのがミニバンやSUVのような高さのある車種で、軽自動車やコンパクトカーのような小型ジャンルでさえ、最近は室内空間に余裕をもたせるため全高を上げたモデルが多くなっています。
そのため、せっかく乗りたい車に出会っても、駐車場の事情でそれが叶わない…。
そう嘆く人があとを絶ちません。
この問題をなんとかクリアしようと、さすがに全幅は変えられませんが、タイヤの空気圧を下げたり、サスペンションを変えたりして全高を下げようと涙ぐましい努力をする人もいるようです。
もっとも、変ないじり方をすれば安全面や使い勝手に支障をきたしかねませんから、万人にはおすすめできませんし、できるだけノーマルの状態を維持したいもの。
また、実際の立体駐車場の高さは余裕を持って1550mmよりも高く作ってあることから、なんとか入庫させてもらおうとマンションの管理組合に頼み込む人も存在します。
しかし、通常、立体駐車場は金属製ですから、重量や強風、夏の暑さなどで金属に“たわみ”が生じる可能性もあり、それで天井をこすってしまうことがありえます。
そんなとき、補償を求めようにもルールに則った使い方をしていないと補償が受けられません。
管理組合としても、正しい使い方をしてもらわないと定期的な保守点検をクリアすることができませんし、なにか事故が起きた際の管理責任を問われてしまうため、無理にお願いしても断られるのが関の山です。
残念ながら、この立体駐車場のサイズ問題について魔法のような解決策はなく、制限内の車選びをするか、近隣で制限のない駐車場を探すかしかありません。
次はミニバンやSUVに乗りたいなと思っている人にとっては厳しい現実といえます。
ただ、立体駐車場への入庫が可能なモデルも少数ながら存在します。
たとえばミニバンでは、2015年初頭にホンダが発売したジェイド。
大型化して全高1550mmを超えてしまった同社のオデッセイに代わり、マンション暮らしのユーザーで家族の人数が多い方にとって嬉しい選択肢となりそうです。
また、SUVでは2012年に発売されたスバルのXVというモデルが全高を1550mmに抑えて好評を得ています。
さらに、2015年2月には近年絶好調のマツダから新型モデルCX-3が発売され、こちらも都市部のユーザーのニーズに合わせ、全高1550mmとなっています。
同じコンパクトSUVジャンルで人気のホンダヴェゼルなどは1550mmという制限をクリアしていないことから、今後マンションユーザーの間ではスバルXVとマツダCX-3のシェアが広がっていくかもしれませんね。
「マンション暮らしだけどSUVやミニバンに乗りたい、だけど立体駐車場の制限のためあきらめていた」
という層は、潜在的にかなり存在すると思われます。
そのためメーカー各社としても、今後上記のモデルに続く車種を投入してくると思われますが、今のところはまだまだ立体駐車場のサイズ制限に対応した車種は少ないのが事実。
「マンションに引っ越してみたら、自分の車が入らなかった!」では話になりません。
このタイミングで車の買い替えを検討するなり、くれぐれも慎重に事を進めてくださいね。
→ 購入前に知っておきたい立体駐車場に入る車種一覧はこちら